表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/44

16

 マウンドに立ち蓮と対峙する。蓮はニヤニヤとこちらを見下した目で見ている。


「さてと、どうするかな」


 正直バッティングにも雰囲気というかオーラみたいなのは出ている。下手に甘いコースや球を投げたら命取りになりそうだ。できれば高速シンカーBを試してあいつの反応を見てみたい。


 そう考えていた所、良二は相手の顔付近からインハイに入る高速シンカーBを要求してきた。この位置はもし手元が狂ったら危険なデッドボールとなってしまう。しかし、俺ならできるとこちらの目を見つめてくる良二の期待に答えたい。


 初球、大きく振りかぶって腕を全力で振る。あわや相手の顔面に当たるかもしれないという球に相手側のベンチも驚く。バッターである蓮は避けようとして大きくのけぞる。


 だが、俺の球はしっかりとストライクゾーンに入っていた。


「ストライク!」


 俺は気持ちがよく口元が笑ってしまった。それをみた蓮は顔を赤くしてイライラした様子でバッターボックスに戻る。


 ここまで興奮していたら上手く翻弄できそうだ。俺は良二のチェンジアップに頷き低めのチェンジアップをなげる。遊び球はなしだ。


 流石と言っていいのか、体勢を崩されながらも蓮はファルゾーン深くまで持っていく。さて、ここからが本当の勝負になる。もう一度高速シンカーBを投げるかスラーブを投げるか、投げるとしたらアウトローかインハイか。


 良二はここで高速シンカーAを要求してきた。インハイからアウトローに移動するストライクゾーンいっぱいの高速シンカー。ここしかないというタイミングでもある。


 俺は良二のサインに頷いて高速シンカーAを投げ込む。蓮は高速シンカーBを待っていたのかニヤリと笑ってストライクゾーン真ん中あたり、もし高速シンカーBだったらミートしていたであろうポイントにバットを振っていた。


しかし、このシンカーはそれ以上に動くんだよな。


「ストライク!バッターアウト!」


周りは声も出せずに唖然とする。中学、高校を通して出逢えるかどうかなど分からないような魔球のひとつだ。

シンカーでここまでキレが良く大きく変化するシンカーの使い分けなどプロ野球選手でも滅多にみない。良二はそれを分かっていてここでデビューのような形にさせたのだ。

本当の切り札は高速シンカーだと思うように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ