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第三試合は三重高対うちだ。三重高に対して商業の面々はビビっているようで早く終わって欲しいー、恥かきたくないみたいな話をしている。初心者もいる外野などはもう絶望しているようだ。
「みんな大丈夫だ。零のあのピッチングを思い出してみろよっぽど難しい打球が来ない限り抑えられるさ!むしろ打席でガンガンバット振って揺さぶって1点でも取ろうぜ!」
良二が俺をダシにみんなにやる気を出させようとしている。実際俺が元々抑える予定だったから何も問題はないのだがプレッシャーはかかる。
「ん?なんだなんだ、チームを組むメンバーも集まらない雑魚チームのピッチャーに俺たちが抑えられるわけないだろ」
「あ?お前なんだよ」
見た目を見る限り三重高の一年生のようだが良二達に教えてもらったメンツにはいなかった選手だ。
「俺は海堂蓮、大阪からスカウトされてわざわざ三重まで来てやった天才プレイヤーだよ!お前ら如き俺様が全員三振にしてやるし、雑魚ピの玉なんぞホームランにしてやるよ。」
「てめぇ!なめてんのか!しばいたるぞ!」
綾人が言い返し剣呑な雰囲気が立ち込める中
「何をやっているんだお前は!」
三重高の先輩らしい人が頭を叩いて下げさせる。
「すまない、このバカが調子に乗って黙っておけば良いのに失礼なことを言ったかもしれない。」
「いえ、お気になさらず、弱い犬ほどよく吠えるらしいのでしょうがないでしょう。理性もない犬なのでね。」
黙っておけば良いってことは、先輩自体もそう思っているということだろう。俺は皮肉で返してやる。
「そうか、それはプレイで確認してみると良い、態度はでかいが実際こいつは上手いぞ」
俺たちはそのまま問題が起きる前にベンチに別れた。
「なんだあいつ、昼から来てやる気あんのかよ。」
「まあまあ、落ち着いて、実際本当に上手いのかも知れないし気をつけていこう。相手ベンチの様子を見る限りあの蓮ってやつが先発みたいだ。こちらが先攻だし2ストライクまでは落ち着いてボールを見極めていこう。」
「よし!いくぞ!」
「「「応!」」」