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3/3

プロローグ

???side


「あわわ…あわわわわ。ど、どうしよう。不味いよう…」


そこは何処までも果てがない白い空間の一角。

周りのただ白いだけの空間とは異なり床には畳が六畳分広がり、中央には丸テーブルが置かれ、その丸テーブルの側には座布団が数枚置いてある。といった、なんともちぐはぐな和風のような空間。そこでは先程の言葉からも分かるように、丸テーブルの上にある水瓶を覗き込みながら何やら慌てた様子の少女が一人いた。


「よ、よし。こうなったら誰か助けを()びましょう!えーと、確かこの辺りに非常事態の時用の対策本を入れていたような…」


そして一頻り首を傾げて悩んだ後、何やら決心したようで懐をゴソゴソと探り出す。しかし中々目当てのモノを見つけることが出来ないのか、少女は更に焦ると徐に立ち上がり羽織っていたものを脱いでバサバサと上下に振りだした。


そんな少女の様子を見ている者がいたら、きっと二重の意味で驚いていたかもしれない。

少女の格好が巫女装束―因みに膝上丈のミニスカ―であり、先ほど潔く脱いだのは千早だということに。

少女が千早をバサバサと上下に振ると、煎餅だったりレシートだったり、飴玉だったり、はたまたポテチや漫画だったりといった色々なモノが落ちてきたということに。


次々と落ちてくるモノに目もくれず、少女が千早を振る作業を続けていると一冊の本が落ちてきた。それは目も覚めるような青色の背表紙であり、参考書くらいの厚さの本だった。少女はそれを見て目を輝かせ嬉々として拾い上げ捲りだしたため、如何やらそれが目当てのモノだったようである。

…本の題名が『職業「管理者」の(ひと)必見!!場面別対応マニュアル~最新版~』ととても胡散臭いことこの上ないが、ここにはツッコミを入れる者はいなかった。いたのなら「いやなにそれ怪しい」「絶対嘘」「おい税込み価格が358(円)ってどういうことだよ」「最新版っていうことはその前の版が((ry」などと鋭いツッコミが入ったかもしれない。


「あっ、ありましたありました。えーと、緊急時の対応法は4868頁から…」


少女はパラパラとページを捲り該当するページを読み込む。そしてフムフムと頷いたかと思うとパタリと本を閉じた。

そして本を丸テーブルの上に置き、先程本を見つけたと同時に放り出した千早を羽織り身嗜みを軽く整える。それからどこからともなく現れた鈴-形状から神楽鈴に似ている-を両手に持ち深呼吸を2回ほどした後、鈴を振りながら呪文(?)を唱え出した。


「ラヅレ、クァテタハソ。ジンウ、ヒライ」


端から見たらシュールな光景だ。しかし本人はいたって真面目である。

鈴の澄んだ音と怪しげな呪文を3回繰り返す。そして最後に一際強く鈴を振ると、その鈴の音を合図にしたかのように前方が光り出した。

















「あっれ~?…あっ、ヴォルちゃんだ。やっほ~、おはようだよ♪」

「えっ、せ、セルシア様?お、おはようございます??」

「うんうん、ヴォルちゃんは今日も可愛いだよぉ~」

「あう、ちょっ、だ、抱き着かないでくださ…うぐっ」


光は数秒で収まり、そこには新たな人影が佇んでいた。

その新たに現れた人物(セルシア)は最初は不思議そうに周りを見渡していたが、目の前に立っている人物を認めるとそう親し気に話しかけた。そして戸惑っている少女(ヴォルヴァ)に勢いよく抱き着き、ヴォルヴァの頭をその豊満な谷間へと沈めた。

因みにそんなセルシアの格好は、深緑色のビキニアーマーを身に纏い、その上からは袖を通しただけの着物を羽織っている格好だ。その羽織っている着物は濃紺と白が配色され、檜扇や美しい花々がデザインされた大層美しいものであるだけにセルシアの着方は非常に勿体ない。そして手には何故かフォークを握りしめていたが、ヴォルヴァを抱きしめる際に放り投げたため今は近くの床に転がっていた。

ここにはツッコミを入れる者は以下略。


「あぁ、ホントにヴォルちゃんは可愛いねぇ~。いいこ、いいこだよ~♪」

「くっ、くるし…」



「…いい加減、離してやったらどうだ?セルシア」

「「!?」」


抱き合った(一方的にです!byヴォルヴァ)二人の傍らから唐突に男性の声が上がった。

二人が揃って声の聴こえた方を見ると、全身黒で統一された背の高い男が憮然とした表情で立っていた。セルシアはヴォルヴァを抱きしめて愛でることに、ヴォルヴァは息ができない地獄から抜け出すことに必死だったため、声が聞こえるまで男がいることに二人揃って気づいていなかった。


「く、クロノ様!?」

「あれ、クロちゃん?どうしたの?」

「どうしたのって…はぁ。お前がいきなり消えたからだろ。だから気配を追ってきた」


クロノはそう言って、ヴォルヴァを未だに抱きしめているセルシアをべりっと引きはがした。それにセルシアは不満を訴え、ヴォルヴァは逆に感謝を告げるとクロノは苦笑を浮かべながらヴォルヴァの頭を撫でる。それを見て益々セルシアの抗議の声が大きくなったが、クロノは我関せずといった態度だ。


「それで?ヴォルヴァは一体何故こいつを喚んだんだ?」

「あっ、そうだったそうだった。なんでヴォルちゃんはセルっちを喚んだのかな?もしかして会いたくなったから?そうなの?んもう、ヴォルちゃん可愛い~」

「えっ、いや、その…」

「セルシア。ヴォルヴァが話せていないから少し黙ってろ」

「えー、セルっちもヴォルちゃんと話したいー。話したいー。話した…もがっ」

「よし。ヴォルヴァ、話していいぞ」

「は、はい。えっと、その、確かに何方かを喚ぼうとは考えていましたが、セルシア様と断定して喚んだわけではありません。ただ、この状況の対応に適していて、尚且つ手の空いている(ひと)をお喚びする儀式をしたのですが…」


クロノは騒ぐセルシアの口を片手で塞ぎ、ヴォルヴァに話の続きを促す。そしてヴォルヴァはクロノ(とセルシア)に今抱えている問題を打ち明けた。



ヴォルヴァは『管理者』である。

『管理者』とは、世界の規律を見守ることが主な仕事だ。

ここでいう世界の規律とは、主に別の世界への干渉のことを指す。ラノベやゲームで話題の異世界召喚や転生といったモノは、例えその世界の住人が行ったことだとしても、実際にはこの『管理者』である互いの世界の神がしっかりと話し合って行っていることなのだ。













……そう、今いる三人はヴォルヴァは勿論のこと、セルシアとクロノも”神”なのである。






【新たな人物が登場しました。『登場人物』に追加されます】


作中で新規キャラが登場した場合、上記の文言を記載します。

また、キャラの情報を更新する場合は新たな情報が出ている話に


【"(一人、又は複数人の名前、グループ名)"の情報が更新されました】


と記載します。確認したい方は『登場人物』をお読みください。


次からは主人公サイドの話です。

更新は不定期となりますので、申し訳ありませんが気長に待ってください。


因みに358という数字は神の数字です。エンジェルナンバー。

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