ダメらしいです
「うむ・・・つまりレオンが無属性魔法でセリカを救ったと・・・そういうことか?」
渋い顔に困惑を張り付けて父上はそう聞いてくる。
それに対して俺の隣にいるセリカは頷いて返した。
「はい。レオン様が私を助けてくださいました」
「ふむ・・・」
何やら深く考えてこむ父上。
どうしてこうなったのか・・・端的に言えば社交界から戻ったきた父上に昨日おこったことーーーセリカが倒れて、俺が回復魔法でセリカを助けたことを説明したのだが、それに対して父上はかなり困惑した様子を見せていた。
隣にいるセリカは昨日倒れた時のような酷い顔色から普通の状態になっており、俺の魔法が成功したようなので一安心ではあるが、多分俺がしたことはあくまで延命措置ーーー俺の生命力をセリカにわけたようなものなので、しばらくは大丈夫だと思うが定期的に行わないとまた同じようなことがおこりそうなので、これから更に魔法の勉強をしなければいけないだろう。
「・・・セリカはさがっていい。レオン少し話がある」
「わかりました」
心配そうなセリカに大丈夫だと笑いかけるとセリカはとりあえず納得したのか一礼して部屋を出ていった。
「さてレオン・・・」
セリカが出ていってから父上は少し声のトーンをおとして言った。
「お前が使ったという無属性の魔法は我が家の書庫にある回復魔法で間違いないか?」
「はい。そうです」
「そうか・・・」
おそらく父上は知っているのだろう。あの魔法がどういうものなのかを。
父上はしばらく何かを考えてからこちらに近づいてくると俺の高さまで視線を合わせて屈んで真剣なトーンで言った。
「いいかレオン。あの魔法は二度と使用するな。あれはお前の命を・・・」
「わかってます。でも俺は・・・セリカを助けたいんです」
「レオン・・・」
俺の言葉を聞いてしばらく黙りこんだ父上は何かを決心したかのように言った。
「やはりダメだ。今後あの魔法の使用は認めない」
「父上・・・」
「だから・・・お前には別の無属性魔法を身につけてもらう」
「別の?」
首を傾げる俺に父上は頷いて続けた。
「私の友人に王国でもっとも魔法に長けた者がいる。お前と同じように複数の属性の魔法を操れ、完璧な回復魔法を使えるーーー彼女にお前の魔法の指導を任せる」
「完璧な回復魔法・・・」
それが本当ならかなり凄いことだ。
無属性の魔法で回復魔法というのは記録に残っているものが全くと言っていいほどない。
だからこそ俺がこの家の書庫をほとんど探して見つけたあれがかなり貴重なものなわけで、もしそれが本当ならーーー
「早速明日、お前を彼女の元に連れていく。ただ少し変わってるというか、不思議な人だからくれぐれも気をつけてくれ」
「わかりました」
正直、どんな人だろうと教えてもらえるなら構わないと思っていたのだが・・・結果として良い意味で俺の予想は崩されることになった。