バレました
俺がレオンになってから1年・・・無事に1才になりました。
こないだはつかまり立ちを見せてセリカに物凄い褒められたのだが・・・実はつかまり立ち事態は半年前にはマスターしていたので対して苦ではない。
最近では本棚の下から2番目の本を取れるようになり魔法の勉強にも熱が入っております。
あ、ちなみに言葉はまだ完璧には話せないが・・・セリカのことを「せりー」とよべるくらいにはなったのでもうじきだと思う。
ただ・・・もう一年もたつのに俺はいまだこの部屋以外にこの世界の風景を知らない。
それにこの一年俺は両親とよべる人どころかセリカ以外の人間を見ていなくてそこだけが気がかりだった。
何度かお忍びで外に出ようとしたんだけど・・・部屋にはセリカが出掛けた後は何らかの魔法の力なのかがっつりと施錠されるので俺は外に出掛けることもできない。
・・・まあ、そうじゃなくても扉の大きさからして赤ん坊の俺よりでかいから出れないのは間違いないけど・・・それにしても他のメイドさんはおろか両親すらこの一年俺の側にいないなんておかしくないか?
そんな疑問を抱きながらも何もできない俺はとりあえずいつも通り魔法の練習に明け暮れていたのだが・・・そんなある日のことだった。
いつも通りセリカが部屋を出たのを確認してから俺は魔法の練習を本棚の前で行っていたのだが・・・この一年でセリカの行動パターンを把握していたので油断していたのか・・・運悪く魔法の練習中にセリカが部屋に戻ってきてしまったのだ。
「れ、レオン様・・・」
その声にはっとして扉の方をみるとセリカがたいそう驚いた表情をしていた。
とっさに魔法を隠そうにももはや見られてしまったなら言い訳のしようもない・・・まあ、幸いなことに本を取り出してはいなかったのでただ魔法を使ってるのを見られただけだから俺はセリカの方をみて首を傾げてみせた。
「せりー」
まだうまく話せないが・・・セリカの名前を呼ぶくらいはできるのでそう言って俺はセリカの方へハイハイして近づく。
するとセリカは慌てたようにこちらに近づいてきて俺を抱き上げた。
「レオン様。今のは・・・」
「せりー・・・まほー・・・」
「魔法を・・・魔法を使えるのですかレオン様!?」
キョトンと俺は惚けてみせる。すると慌てていたセリカは少し落ち着くように咳払いしてから俺をベッドに戻してから言った。
「レオン様・・・少しここでお待ちくださいね」
「せりー?」
「大丈夫です。すぐに戻りますので」
そう言ってセリカは慌ただしく部屋を出ていって・・・本当にすぐに戻ってきた。
見知らぬ人物を連れて・・・
「セリカ・・・本当にレオンが魔法を使ったのか?」
「はい。間違いありませんライル様」
「そうか・・・」
渋い外見の男はセリカの言葉に少し困ったような顔をしてから・・・俺に近づいてきた。
「レオン・・・私はお前の父だ」
「ちち?」
「そうだ。お前の父親だ」
そう言って俺の頭を撫でる男・・・え?この人が俺の父親なの?本当に?
「レオン・・・魔法が使えるならもう一度やってみせてくれるか?」
・・・どうしよう。なんか大事になってきているような・・・・セリカの方をチラリとみるとセリカは静かに後ろに佇んではいたが少し心配そうにこちらを見ていた。うーん・・・とりあえずやった方がいいのかな?
そう思って俺はとりあえず一番簡単でわかりやすい光の魔法・・・《ライト》を使ってみせた。
「詠唱なしで《ライト》を・・・」
男はそれを見て・・・セリカの方に視線をやった。
「セリカ。お前が教えた訳じゃないんだな?」
「はい。先程レオン様がお一人で使ってるのを見ました」
「そうか・・・」
男はその言葉に頭に手をやって何かを考えてからそのまま部屋を出ていった。
それを見てからセリカは俺の方に駆け寄ると俺を抱き上げてそのまま抱き締めた。
「せりー?」
「大丈夫です。レオン様。私はあなたのお側にいますから大丈夫です・・・」
そう言って何かを抑えるように俺を抱き締めるセリカに・・・俺は困惑しながらも何かが変わることを予感していた。