どうしましょう
「また面倒なのを連れてきたね・・・」
「すみません・・・」
呆れてそう言うマナ師匠に謝っておく。
結局、助けた獣人の女の子を放置もできず、とりあえず簡単に治療してからマナ師匠の元へ連れてきたのだが・・・女の子はいまだに意識を失ったままだった。
「獣人・・・しかもこの子の首についてるのは奴隷用の使役首輪だね」
「使役首輪?」
「使用者を絶対服従させるための道具だよ。いわゆる魔道具と呼ばれることがあるんだけど、これ単体で魔力を持ってるもので、所有者が外さない限り絶対に外れない最悪の道具だよ」
珍しいマナ師匠が嫌悪するようにそう言ったが・・・なるほど、絶対服従させるための道具なのか。
「外す方法はあるですか?」
「さてね。少なくとも私はしらない。この手の魔道具は下手にいじると魔力で暴発する危険もあるから迂闊にいじれないんだよ。それにここ最近は奴隷制度の廃止をする国が増えたからこれも役目がなくなってきているはずなんだけどね・・・」
つまりこの子は何らかの形で奴隷にされたのか。
こんな幼い子に・・・そう考えると頭にきた。
俺は寝ている彼女の首輪にそっと触れてーーー
パキ!
「「え・・・?」」
ーーー俺が触れたところから綺麗に真っ二つになって割れる首輪・・・えっと・・・
「何をしたんだいレオン?」
珍しく驚いた表情をするマナ師匠に・・・しかし、俺も訳がわからず首をふって答える。
「わかりません・・・なんとなく触れたら外れたみたいで・・・」
「そんな馬鹿な・・・いや、でもレオンの魔力量ならありえるのか・・・」
「ど、どういうことですか?」
俺の質問にしばらく唸っていたマナ師匠は「あくまで噂だけど・・・」と前置きをしてから言った。
「魔道具と同じ属性の力を持っていて、尚且つ魔道具よりも圧倒的に魔力量がある人間が触れるとその首輪は割れることがあるそうだよ。まあ、滅多にいないから眉唾な話だったんだけど・・・」
「師匠じゃダメなんですか?」
「私の魔力の質とそいつだと相性が悪いからね」
なんとなくこれ以上は聞けず俺は取れた首輪をひょいっと拾ってみる。
断面は綺麗に割れており、もはや何の力も持っていないように感じるが・・・完全に壊れたのかな?
「ん・・・ここは・・・」
そんなことを考えていると横になっていた女の子が目を覚ましたようにぼーとしてから・・・はっとなって起き上がった。
「わ、私・・・あれ?首輪がないそれにここは・・・」
と言ったところで視線がこちらを向いてーーー俺の持っていてる首輪に視線がいくと唖然としたように呟いた。
「な、なんで・・・ここは・・・あなたは一体誰ですか?」
警戒したように視線を鋭くする女の子に俺はとりあえず敵意はないというように両手をあげてアピールする。
が・・・
「まったく・・・目覚めてすぐに命の恩地にかける言葉がそれかい?」
「師匠・・・仕方ないですよ。とりあえず、えっと・・・俺はレオン・ラズベリーっていう名前で、こっちは俺の魔法の師匠のマナ師匠だよ」
「魔法って・・・あなた男じゃないですか」
胡散臭いものを見るような目でそう言われたので、仕方なく俺は無詠唱で右手を出して光属性の魔法の魔法を使ってみせる。
すると少女はそれに驚いたような表情を浮かべてからますます訳がわからないといわんばかりに視線をこちらに向けてきた。
さて、どう説明しよう・・・




