ケモミミでした
俺がマナに魔法を教わるようになってから2年が経過・・・俺は5才になっていたが、いまだに完璧な回復魔法を覚えられずにいた。
この2年でマナ師匠もびっくりするぐらいに新種の魔法を編み出したり、覚えたりしたが・・・やはり今の俺では命を削ることでしか延命はできなかった。
今のところセリカは元気な様子を見せているので、しばらくは大丈夫だろうが・・・いつあの時みたいな状態になってもおかしくないだろうことは明白だった。
そんな行き詰まりを覚えつつも、他のことに関してはかなり力をつけて、今では剣や体術は大人相手でも余裕勝ちできるレベルになってきた。
ここ最近になって剣の師匠が変わったが・・・新たに師匠になってくれた人が物凄く強くて、鬼のような指導をするので、まだまだ先は長いと痛感した。
そんなある日のことだった。
いつものようにマナ師匠の元へ向かうために獣道の森を歩いていたのだが・・・何やら悲鳴のようなものが聞こえて、気になった俺はいつものルートから少し逸れた悲鳴の発生源に向かった。するとそこには・・・
「このクソ餓鬼が!」
「ーーーーー!」
「手こずらせやがって!」
悲鳴の聞こえた辺りに到着するとそこには何人かの大人が小さな子供に暴力を加えているところだった。
前後関係はわからないが、それを流石に見過ごせず俺は・・・
「おじさん達。よってたかって子供に何してるの?」
思わずそう声をかけていた。
すると俺の声に気づいたおっさん達がこちらを見て訝しげな表情をしていた。
「なんだってこんなところに餓鬼がいるんだ?」
「知らんが・・・おい餓鬼。痛い目を見たくねーならこのことは黙って立ち去れや。俺らもそこまで暇じゃねぇからな」
そう言ってこちらから視線をそらしたおっさんに俺は・・・
「交渉決裂か・・・仕方ない」
ため息をついてから一気に踏み込んで目の前の男に肉薄して思いっきり横から拳を叩きつけた。
「ふっ!」
「なっ・・・がっ!」
無防備だったボディーに俺の拳がめり込み結果として男は簡単にふっとんで倒れた。
「この餓鬼!」
唖然としていたおっさん達の中で一人だけ状況の把握が出来たのだろう男が俺に蹴りをいれようとするが俺はそれを軽々と避けて顔面に一撃入れて意識を奪った。
「クソ餓鬼が!!」
仲間がやられたことに頭にきたのか腰から剣を抜いてこちらに振り下ろす男だが・・・今の俺にしてみればそんなもの対して驚異ではなかった。
ゆったりと剣が迫ってくるのをみてギリギリで回避して俺はその剣を思いっきり力をこめてーーー
「ふん!」
ーーー粉砕した。
「なっ・・・ば、化け物め!」
失礼な。と思いつつも俺はそのまま残りの連中を同じようにのしてから子供に近づいた。
みるからにボロボロのその子に近づいて俺はフードをとって顔をのぞきこんでーーー
「大丈ーーーえ?」
ーーー思わずフリーズしてしまった。
何故ならフードをとったその子の頭にある可愛い耳・・・所謂ケモミミと呼ばれるような耳があり、首には奴隷を示すようなガッチリとした首輪がしてあり、白銀の髪は薄汚れてボロボロだが可愛い顔はどこからどうみても女の子だったからだ。
つまり何が言いたいのかといえば・・・
「獣人・・・」
人間以外の他種族ーーー動物と人間が混じったようなそれを人はそう呼ぶ。
つまり・・・ケモミミ少女を拾ってしまいました。