前世が猫の少年
俺の名前は春川翔也。高校一年生だ。
俺は学校では一人でいることが多いんだけど、よく話かけてくれる夏原さんという女子がいる。
それはいいんだけど、俺は人見知りだし、女子とあまり喋ったことがないからすごく緊張する。
「春川君おはよ」
「お、おはよ!」
俺は必死で平静を装う。でも内心はドッキドキ。彼女は結構かわいいから、余計ドキマギしてしまう。
学校では人と話すことも少ないし、本当は話せてすごく嬉しいんだけど、俺は上手く話せず彼女の話にただ相づちをうつのみ。
夏原さんは学校にいる猫をなでていた。
――何故だろう、俺はそれを見ていると不思議な感情になる……。
たまには勇気をふりしぼり俺から話かけてみよう。
「ね、猫好きなんだ?」
「うん! 私は世界で一番猫が好き!」
「へ、へぇ」
……夏原さんってよほどの猫好きなんだな。
――会話終了。
……ああ、今日もせっかく話しかけてくれたのに、上手く話せなかったな。
でも夏原さんは何で俺なんかを気にかけてくれるのかな。俺はそんなにイケメンでもないのに。
そんなある時、俺は偶然、衝撃の会話を耳にした。
「夏原って春川が気になってるらしいし……」
「え……」
会話の前後はよく聞き取れなかった。でもその時の俺の胸の高まりはとても言葉では言い表せない。
夏原さんが、俺を……?
それを聞いてから、俺は夏原さんが気になってしょうがなくなった。
見るだけでキュン。近づかれると、心臓が口から飛び出そう。こんなにドキドキするのは人生で始めてってぐらい。
ある時、夏原さんがまた俺に話しかけてくれた時のこと。
「春川君って彼女いるの?」
「え? い、いないけど……」
「じゃあ気になる人とかは?」
「別にいないよ……?」
「ふーん。……じゃあ私、立候補しちゃおっかな……」
その時、世界は動きを止めた――。
な、何? 今の。
俺は固まった。
彼女は笑いながら去っていく。
冗談? え? 何?
その日、俺はずっと夏原さんの事を考えていた。
初のコラボ作品いかがだったでしょうか。
これは神夜仇仆さんの作品、『捨てねこ、飼いねこ』の続きになります。
気になった方はリンクからとべますので、良かったら是非。