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急襲

アレックスとの話を終え、戻ってきたサキとしばらく話す。

エリは本部相手の業務処理があったが、サキは艦隊が現在再構成中なこともあって暇らしく、外をぶらついていたようだ。買物でもしてたのか?


もちろんアレックスから言われた“身体を欲しがっている戦艦”の話をするほど、俺も空気が読めない訳じゃない。サキとの話の内容は四方山話だ。


アレックスは心配のしすぎだと思うんだけどね。


俺の警護に関しては、今のところ当面の脅威は過ぎた筈なので、警戒レベルを下げて遠隔からの警護にしてもらった。俺の周囲の状況はアレックスが地球に置いたセンサー類で常にモニターしている。


サキが言う。

『情報はアレックスと共有してるし、司令官の感情に強い動きがあれば自動的に警戒レベルは上がるけど、非常時には意識して私を呼んで。緊急転移するから。』


緊急転移ってワープの事? 俺も出来るのかな。電車でここまで来たんだけど。


『緊急転移は高コストだから非常時だけね。そんなしょっちゅう使ってたら空間構造が壊れちゃうよ。』


さいですか。


外も暗くなり、とりあえず今日のところは皆に挨拶してから自宅に戻る。


道すがら俺はちょっと考えたいことがあった。

人通りの少なそうな道を選んで駅まで歩く。念の為、さっそくアレックスに教えてもらった“自分の考えを読まれない方法”を使ってみた。効いてるよね?


周りに気を使って最近抑え気味にしていた、俺の妄想を全開放・・といきたいところだが考える内容はサキ&エリの事じゃなくて“本部のお偉方”に関してだ。(今回は・・だが)


皆は、覚えているだろうか? 俺が砲撃された時、あきらかに周囲が一旦崩壊してから元通り再構成された事を。


さきほどアレックスと話をしている時に、その事を聞いてみた。

アレックスは一瞬戸惑ったが、次のことを教えてくれた。


『あれは、“コスト”を使ってやった事だ。 

“コスト”って言うのはつまり・・まあ、言ってみれば、本来起こるはずがないものが起きた時に、代償として消費される資源。


簡単に言えば、自然や物理法則に対して、起きてしまった事を見逃してもらう代わりに払うワイロみたいなもんだ。』


“コスト”を使えばアレックスの船は何もなくなった空間を通常の街角に復元し、サキは全ての物理攻撃を無効化し、非常時には距離を無視して飛んでくる。


俺達の世界の法則から考えれば、本来起きてはいけない事象だ。

しかし“コスト”を払えばそれも可能となる。

そして“コスト”を一元管理して周りに与えているのは“本部”の“お偉方”だ。


なんで、そんなものを管理できるのか。

明らかに普通の生き物が取り扱って良いものじゃない。

サキ達はそういう世界に生きて来たから当然と思ってるんだろうが、確実に何かおかしい。


何で“コスト”を生み出せるような能力を持つ、宇宙の法則に反する“お偉方”が存在してるのか?

俺が思いついた可能性は2つある。


1つ目は当然ながら、“お偉方”が神様であった場合。

2つ目は、この世界に本来存在してはならない“お偉方”が“コスト”を使って無理やりこの世界に留まってるって言う可能性。


1つ目だったら、俺はこれ以上考えない。

2つ目だったら、存在してはいけないものに俺は地球を託されている事になる。


ゆっくり考えながらも駅にたどり着く。何故かほっとして、取り敢えず腹が減ったので駅構内で何か食おうかと考えた時、頭のなかで警報が鳴った。

アレックスの声が聴こえる。


『コンディション4発生。敵が現れた。

 司令官、サキ、エリ 緊急転移を5秒後に開始する。目的地は旗艦アレックス艦内。

各自転移に備えてくれ。


3・・2・・1・ 今。 緊急転移を開始する。』


一瞬、駅前にいる俺と、旗艦アレックスの艦橋にいる俺、二人同時に存在したような気がした。間もなく駅前にいた俺の存在は消滅し、重巡洋艦アレックスの中に存在する俺だけが残った。


『緊急転移成功。司令官、サキ、エリを艦内に復元完了。』


殺風景な部屋だ。外は見えないので宇宙船に乗っているという印象は無い。

重力も地球上と変わらないようだ。

目の前に巨大スクリーンが一枚あって椅子が並んでいる。

操作卓等は、無い。艦はアレックスが運用しているので、人間が操作する余地は無いって事だろう。


エリが言う。『まだ司令官向けの艦橋の内装が済んでいないんです。私が直接、必要な情報を脳内に展開しますので指揮に問題は無いはずです。』


了解。

アレックス。状況を説明して欲しい。


『先ほど、こちらに向かって航海中の戦艦より報告があった。


増援艦隊を追うように敵が出現している。数は巡洋戦艦3、重巡10だ。

同時に、金星の後ろから地球に向かっている敵艦隊らしき影を発見した。艦隊の構成は不明だ。

金星側の敵はステルス装置を装備していると思われる。その為、地球側からの発見が遅れた。すまない。


今、哨戒中の重巡を向かわせて、敵艦隊の構成を探らせている。

恐らく増援艦隊を追跡している敵艦隊は足止めが目的で、金星側に出たほうが敵本隊だと思う。地球の防衛が手薄な今、地球に直接侵攻するつもりだ。』

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