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朝の議題 2 

エリからの説明が終わって、今度はアレックスの番だ。


『司令官、俺から我が艦隊の現状を説明する。


現在の総戦力は、戦艦3隻、巡洋戦艦2隻(内1小破)、重巡15隻(内2中破、2小破)、駆逐艦18隻だ。


当初の予定では、戦艦の護衛任務についていた重巡、及び駆逐艦隊は任務終了後に帰還の予定だった。

しかしながら戦力不足を恐れる本部の意向でそのまま太陽系に残留する。


戦闘で損害を受けた艦は、修理ドローンで応急処置をしながら、月の地下にある簡易ドックに収容中だ。

駆逐艦18隻が、損害艦の移動と収容を主に受けもっている。


重巡は9隻が太陽系内を哨戒中。


残りの戦艦3隻、巡洋戦艦1隻、重巡2隻の月軌道上への配備が完了した。

こちらが地球防衛本隊となる。


戦艦3隻の大規模警戒システムの調整が終了し、現在フル機能で稼働中だ。

ほぼ太陽系内全域が警戒有効圏に入る。不意打ちを受ける可能性はかなり減った。


現在、本部から補給艦が地球に向かっている。

護衛はついているが、太陽系内に入ったら、こちらからも哨戒中の重巡を回す予定だ』


頼もしいな。何か問題はある? アレックス。


『月地下の簡易ドックの修理能力が足りなくなりつつある。 ドックの増強を要請しているが本部の反応が悪い。司令官から本部に対して強く要請して欲しい。

先ほどエリから増援の話が出ていたが、ドックの収容能力が足りなくなるぞ』


了解です。

エリ、本部への連絡の時に、ドックの増強を強く要請すると、司令官名で伝えておいて。


エリが頷く。『分かりました』


アレックスが続ける。

『俺からもう1つ。今回新たに加わった戦艦ジュピターが司令官と話をしたいそうだ』


むむむ。生身の身体を欲しがっている戦艦さん?


『そうだ。まかせた。』


女の子の声が部屋に響く。俺より声が若いね?

人間で言うと16才か17才位の声の感じだ。


『司令官初めまして。

戦艦のジュピターです。 以後よろしくです。


本日司令官に提案があります。聞いてもらえます?

うちの艦隊は、近いうちに遠征の可能性がある、とアレックスさんから聞きました。

そうですよね?』


えーと、遠征?

ああ、鈴木さんの星から巡洋艦を貸してもらったんで、交換条件で彼女たちの星の防衛を引き受けた件かな。


『私、役に立ちます。連れってってください。

それとアレックスさんにお願いしておいたんですけど、私の身体もついでに造って貰えれば、地上戦闘とかでもお役に立てます。


軌道上に私の本体を待機させて、地上の身体の方で目標の位置を計測してから、主砲やら副砲やら重質量弾とか撃てばバンバン初弾からあて放題です。


敵なんて全滅し放題です。

お願いします!』


サキが割り込む。

『地上戦なら、私がいるんだけど』


『えっと、近接してる敵が相手ならば私の出る幕は無いです。

けど、大量の敵が広範囲に出現したりした時とかは、戦艦からの艦砲射撃の方が効率良いです。

通常武器だから“コスト”も消費しないし』


俺は思った。

でも生身の身体なんて造らなくても、計測用のドローンを地上に飛ばせばよくね?


その時突然、先輩たちに一斉に反対された涙目の子が、こっちを見てるイメージが何故か脳内に浮かぶ。

ジュピターは戦艦で身体はまだ無いんだけど、凄いぞ俺の脳内補完機能。


サキ&エリと、何故かアレックスまで俺の事を睨んだようなので、真面目に彼女の提案内容を考える。


彼女ジュピターは、優秀だと以前アレックスが太鼓判を押していた。

戦果リストの中身を思い出す。


昨日の戦いでのジュピターの戦果は、巡洋戦艦1隻を大破、1隻を中破。

それに加えてこれが一番大きな功績だが、ステルス仕様の敵本体を探索限界距離の近くで発見している。


能力が優秀なのは確かみたいだ。


でも戦艦を1隻、遠征に連れていけるかどうかは、まだ分からないなー。

地球側が残り2隻の戦艦だけで良いかどうかは、鈴木さんの惑星の状況を聞いてから、ちょっと考える必要がある。


地上戦に関して言えば、サキいるしな。

ジュピターもいれば頼もしいけど、サキとうまくやってけるかな?


あ、でも。

司令官としては補佐の人員が欲しい。このままじゃあ大学留年しそうだし。

身体が出来れば、俺とかアレックスの仕事も手伝えるよね。安普請やすぶしんの地球本部で。


どうしたもんか。


エリに聞く。

戦艦の生身の身体を用意するって本部に頼めるものなの?


エリはちょっと困ったような顔をして答える。


『今、本部側は増援の検討をしているので、それに紛れ込ませればなんとか要求は通るかもしれません。艦艇が使用できる生身の体を作るには、“コスト”を多量に消費するので、普通なら難しいのですがこのタイミングならば』


俺はちょっと考えて結論を言った。


戦艦ジュピター。もしこちらの地球本部で、補佐として業務を手伝ってくれるなら身体製造の要求を本部に出してもいい。

遠征の時に一緒に行く話は、まだ分からない。検討はしておく


『やったあ! 業務喜んで手伝います。

もし申請通ったら、司令官の女性の外見の好みを伝えておいてくださいね。

合わせますから』


この質問は地雷だ。

“下手に答えると爆発する”とアレックスから事前に忠告を受けてたよな。

忠告感謝だ。


『いや。外見とかは大事な事だから。

人の好みとか気にせず自身の好みを優先して欲しい。俺はどんな決定でも支持する』


やった地雷回避だ。どうよ?

サキ&エリにも配慮した素晴らしい回答じゃないか。


『そうですか……では、許可おりたら、見た目は自分で決めます。

司令官、今日はお時間頂き、どうもありがとうございました』


特に反対もせずに感謝の言葉を告げる戦艦に対して、やけにもの分かりが良いなとその時は思った。

が、後になって俺は自分の甘さ加減を酷く後悔することになる。


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