表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

第五章

自室に戻り、電話してみたら、由梨絵ちゃんは驚きながらも、

「電話で話せるなんて嬉しいな」

と言ってくれた。

「マネージャーさんから連絡先を聞いたよ。体調を崩して実家に帰ったなんて、ブログを見るまで知らなかった」 

「心配をかけちゃうと思って、言えなかったの。今はもう回復してきたから、そろそろ地元で再就職先を探したいんだ」

 

「ずっと地元を離れないつもり?」

「う〜ん……」

「ぼくの嫁さんに、なんていう考えはないか?」

 

あ……。

心の奥底でひそかに願っていたことが、焦りによって口から出てしまった。

付き合っていないどころか、告白すらしていないのに。 

「わたしのこと、お嫁さん候補として見てくれていたの?」

「まあ、そういうことだな……」

あきれられているのではないかと思い、語尾が弱くなってしまった。


「わたしの片思いなのかなって、ずっと思ってた。それが、お嫁さんにだなんて……。もったいない言葉、本当にありがとう」

「昨日、ブログに書いてあった、『好きな人』は、ぼくのことだと思って、間違っていないか?」

「……もちろんよ」

やっと聞こえる感じの、消え入りそうな声だったが、確かにちゃんと返事をしてくれた。



実は、由梨絵ちゃんに対しては、もう一つ言いたいことがあったが、言えなかった。

 

『もう、走らないのか?』


きっと、内に秘めた思いがあるのだろうし、ぼくからは安易に口を出すことができない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ