始まり4 『俺は勇者じゃな・・・勇者だ。』
「で、誰がどの役職なのですか?」
「「「・・・。」」」
「あの、あんまり沈黙が長いと此方もやり辛いのですが。」
「ああ、すいません。えっと、俺が勇者ですね。」
「私が賢者です。」
「・・・ということは。」
「そうだ俺がこの国の王だ!」
「すいません。国を潰してしまう事になりそうです。」
「なるか!」
よりによってこの人が王様とは・・・。
「分かりました。他に質問したいことはありますか?」
「俺らどうやって魔王を討伐すればいいんですか?」
「あなた方にはいくつかの権限が与えられます。それを自由に使ってください。王はこの国の全てを動かす権限があります。賢者はこの国の文献、そして魔法組合についての権限です。そして、勇者は、この国における軍事力の全権限があります。」
「なあ、王様の権限って勇者と賢者の権限と被ってないか?」
「そうですね、なので勇者と賢者の持っている権限が優先されます。」
「其れでも充分な権限が有るんですから我慢してください、宗谷先輩。」
「むぅ、俺より二人のほうが偉いのか。」
「本当に国を動かす権限を持った人のセリフですか?それは。」
「うるせぇやい。雷斗は知らないのか?人間の欲は底が見えないんだよ。」
「やっぱり王様辞めて貰った方が・・・。」
「御免なさい、ちゃんとやりますから、許してください。」
桃香先輩、クスクス笑ってないで助けて~
「兎に角、宗谷先輩は黙ってて下さい。」
「はい・・・。」
「あの~他に質問は?」
流石日本人、話に割り込まず終わったらしいと言う所で話を戻したね。
「うーん、まだちょっと混乱してるから、今一質問が浮かばないんで今までの勇者が聞いていた質問を教えてくれません?」
「勇者の能力を目覚めさせる何かって有るのか?とか・・・。」
「あー、きになる、そこ。」
「有りますね。」
「へぇ~大体ここもそんなもんか。どんなの?儀式みたいなやつ?」
「いいえ、この国には過去の王が作り出した意思を持つ装備があるんですよ。」
「へぇ~、イ●フィニッ●ストラ●ス(I●)みたいなやつか。」
「何ですか?それ?」
「ん~、気にしないで下さい。」
「はぁ。で、その装備をつけるとその装備と対話しなければならないのです。そしてその時にその装備と相性が良いと分かるとその装備も色々な力の使い方を教えてくれるんですよ。あ、そうだ、国について聞きました?」
「聞きましたよ?」
「それなら良いですね。機械国エルトランスにも同じ様な物が有るんですよ。」
「意思を持った装備ですか?」
「いえ、身体能力強化のような特殊な能力を持った装備です。」
「其れなら魔法で充分じゃないんですか?」
「いえ、その装備ある一つの装置に、魔力転換システムが有るんですよ。」
「魔力変換システム?」
「ええ、この国の宝具にも使われていて、魔力を流し込むとその魔力を別なエネルギーに変えてチャージできるというシステムです。」
「なるほど、チャージ出来る。之はかなりの利点ですね。」
「ええ、魔力が無くなってしまうと使えなくなったり、移動だけに自分の力を使わなければならない魔法に比べて普段から少しずつチャージをして置けばいざと言うとき全力で戦えますから。」
「なるほど。其れでは折角ですし、その宝具って言うの見せてもらえませんか?」
「其れではそうしましょう。付いて来て下さい。」