表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/49

始まり2 『御爺ちゃんって親切だね!』

「ファミール様は強すぎる魔力によって、普通は三回行う儀式をたったの一回で済ませたのだ!」

俺が目覚め始めて、最初に聞いたのは言い訳を必死でする御爺ちゃんの声だった。

(今一納得できない言い訳な気がするが・・・。)

そして、徐々に覚醒していく意識の中、眼を開くと最初に見えたのは多くの人達だった。

次に両側を護衛に守られながら言い訳を続ける御爺ちゃんと、俺より年下に見えるメイドさんを一人だけ連れたいかにも王女さまって感じのする人が立っていて、俺が寝ている床に不思議な模様が書かれているというのが見えた。

(えーと、この女の人がファミール様(?)かな?そしてこの模様は魔方陣ってことで良いのかな?)

ちなみに後の二人は全く動かない。理由として九百年分の記憶が一気に流れているからだろう。雷斗にも流れているが精神力の差だろうか、雷斗は頭の半分以上が既に起きている。

(・・・これ以上起きてるのは俺の頭が危険だな。よし、寝よう)

雷斗は起きかけていた頭を九百年の記憶に委ね、再び眠りに落ちた。


・  ・  ・


「む、起きましたかな?」

「うーん・・・貴方はあそこに居た御爺ちゃん?」

「あそことは召喚の儀式場の事ですかな?」

「んー、多分そう。ていうかここ何処?」

「王宮のお客様用の寝室で御座います。」

「で、貴方は誰?」

ぼんやりする頭を必死で起こしながら質問を続ける。

「私ですか?」

「あんた以外の誰が居る?」

「私は、この国の右大臣、ギルスターで御座います。」

「えーと、先代国王が育てた男か。」

「何故其れをご存知で?」

「其れは言えない。」

「左様で御座いますか。」

「後の二人は何処だ?」

「隣の寝室で御座います。」

「其れじゃあ二人を一部屋に移動して。俺は自分で動くから。」

「・・・何故何も聞かないのですか?」

「何が?」

「なぜここに居るのか、本当の意味でここは何処なのか、何をすれば良いのか、貴方が聞きたい事は幾らでも有る筈です。」

「・・・三人一編に聞いた方が早いし、あの二人は何も知らなくても、あれが敵、と言われれば突っ込んで行く様な人達だしね。一緒に聞いた方が良いと思って。」

「・・・冷静ですね。」

「一週回ってフリーズしてるだけさ。」

「一週回ってフリーズ?」

「あれ?分かんない?言葉も通じるから分かると思ったんだけど・・・。」

「そうではないそうですよ。」

「ふーん、ま、後は宜しく。俺も移動するからさ。」

「了解いたしました。」


・  ・  ・


「記憶が多すぎて俺は戦闘の仕方と魔法についてだけ拾ったんですが二人は如何したんですか?」

「俺は・・・思い出せないんだよ。」

「情報量が多すぎて分からなくなったんですか?」

「いや、違う。詳しい所に記憶を伸ばそうとすると、ロックが掛かるみたいなんだ。」

「ふーん、何なんでしょうね?桃香先輩は?」

「うーん、昔の人たちの性格とかを捉えた分、他のは基礎程度しか・・・あ、でも魔法については確り拾ったわ。」

「なるほど。それよりも桃香先輩、宗谷先輩、勝手に行かないで下さいね。」

「何処にだ?」

「うーん、ライ君の言う通りにしておけばいいの?」

「言う通りと言うか、相談するので一人で勝手に消えたりしない事。分かります?」

「いやー、小学生じゃ無いんだからそんな事しないよ。」

「一番怪しい人が其れを言うとは。」

「ん?なんか言ったか?雷斗。」

「いいえ、何も。其れじゃあギルスターさん、説明お願いして良いですか?」

「あ、はい。分かりました。」

ずっと放って置いたので、いきなり話題を振ったら案の定ビックリした様だ。

「えーと、まずはこの国の説明から行いましょう。」

この後ギルスターさんが話したことを俺は一生忘れないだろう。

そして、この日ほど神様が居るなら殴ってやろうと思った日は一生無いだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ