表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/49

始まり31 『上下の関係』

「ふぁ~。」

一つ欠伸をして、ベッドから起き上がる。

冷蔵庫の代わりとして魔法を掛けた戸棚から卵と肉を薄くスライスしておいたものを取り出す。魔方陣を起動して火を作り、フライパンに二人分のベーコンエッグもどきを作り、何とか手に入った塩と胡椒を軽く振りかける。そして、こっちにあったフランスパンのようなもので、主食としてよく食べられているパンを切り、昨日の朝作り置きしておいたシチューを盛り付ける。

「よしっ。」

朝ごはんは完成した。後はルナを起こして・・・。

うん?

俺、昨日どうやってここまで帰ってきたんだ?

えーと、ドラゴンを退治して、村に行って手紙を届けてこの町まで戻ってきたのは覚えている。証拠として鞄の中に手紙が届いたという証明書も貰っているし、ドラゴンの素材が戦利品化してあるギルドカードも入っているだろう。

そう考えて、鞄を漁ってみると、証拠は直ぐにそろった。

「魔法の使いすぎでヨレヨレになってしまったからギルドに行くのは諦めたんだよなぁ。」

そして、剣を杖のようにして何とか城まで帰ってきて、そこから兵に捕まって、其処に兄ちゃんが通りかかったため、運よく解放してもらえて、癪だけど部屋まで肩を貸してもらった。そして部屋まで着いたら・・・。

「ああ、思い出した。ルナのタックルを兄ちゃんが食らったんだ。」

俺にタックルをしようとしたのだろうが、肩をかしてくれていて隣にいた兄ちゃんにルナのタックルが当たったんだ。

「ルナはかなり焦ってたみたいだったけど。」

王様にタックルしたと分ると、とんでもない勢いとまでは言わないが、ルナにしてはとてつもない速さで謝り始めた。

そしてこっちを向き直り、お化けがいても一目散に逃げ出すような顔をして一歩一歩ゆっくり進んできた

「お~ねぇ~ちゃ~ん?」

「は、はい?」

「無茶をしないって言ったよね?」

「言いました。」

「これは無茶に入らないのかな?」

「い、いや、あのですね、予想外のハプニングが起きたためこうなってしまいましたが、本当はこうなる筈ではなかったのですよ。」

「だから無茶してもいいなんて理由になると思ってるの?」

「思ってません。」

「今度やったらお城から出れないようにしちゃうからね。」

「はい。」

その後は、ルナが夜ご飯を要求してきたため、朝作っておいて置いたシチューと、肉をたれで焼いた物、そしてサラダとパンを出して食べて、そのまんま寝たんだ。


そーだそーだ思い出したよ。

とりあえずルナを起こして、朝ごはんを食べよう。


・  ・  ・


昨日の報告のために今はギルドに着いたところだ。

ルナからは、今日は買い物に付き合ってもらうからついていくって言い出したので、ルナも連れて来ている。ついでに監視も兼ねているようだ。

「すいません。」

「はい、何でございましょうか?」

「クエストの終了報告と、ギルドマスターに用があってきました。」

一瞬だけ疑わしいものを見るような表情を浮かべたがそこはギルドマネージャー、一瞬で営業スマイルに切り替える。一瞬の表情も営業スマイルだと分かっていても口を出すのは無粋と言うものだろう。

「クエストの報告は今ここで行わせていただきます。ギルドマスターへのお話は少々お待ちください。」

そう言って奥に消えて行ったマネージャーを一瞥し、ルナにここに来る前に買った飴のようなものを与え、自分でも食べてみる。

「ん~。結構美味しいね。」

「お姉ちゃんは甘いの好きなの?」

「うん、結構好きだよ。」

「ふーん。」

そんな雑談をしていると、奥からマネージャーが戻ってきた。

「こちらのクエストでよろしいでしょうか。」

4つの紙を順番に見渡し、返事をする。

「これはよろしくない!!」

そういいながら一枚の紙をマネージャーに突きつける。

そこには、餌を取るために最近山に出没しているドラゴンを倒してくれとの依頼内容があった。

しかもそれはA+と書いてあった。

「A+ってAランクの人がパーティーを組んでやっとというレベルですよね!?それをなんで一番低いランクの俺が受けた事になっているんですか!?」

「それもそうですね。とりあえずマスターの所へ行ってみましょう。」


・ ・  ・


「ごめんなさい。」

ひれ伏すギルドマスター、唖然として動けないルナとマネージャー。

そして絡めた指の上に顎を乗せ、ニコニコと柔和な笑みを浮かべる俺。

「とりあえず勝手に受けたのなら報酬を貰うよ。」

「はい。」

絞り出したかのようなか細い声を出しているギルドマスターが差し出した袋を受け取り、証明となる物をテーブルに乗せる。

「それじゃ、次こういうことしたら・・・。覚悟してね?」

「はい。」

こうして雑談は終わった。

ちなみにあそこで行ったことは、生涯5人しか知らない秘密となるのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ