始まり25 『ランクS』
今、俺は冒険者ギルドの前に立っている。
ティナさんに料理について教える。という約束をし、その後、城に帰ってみると、ばったり奈菜さんと出くわした。
世間話をした後、俺は一度行ってみたいと思っていた、いや、行こうと思っていた冒険者ギルドについて聞いてみると、快く教えてくれたので、暇になってしまった一日を潰すのに、ギルドの登録をしに来たのだ。
「よしっ。行くか。」
「・・・うん。」
ルナ付で。
何でルナがくっ付いて来ているかって?俺と奈菜さんの会話を盗み聞きしていたらしく、朝城を出たら尾行して付いてきてしまったのだ。
尾行している奴がいるなぁ。とは思っていたがまさかルナだとは思わなかった。
そして、ギルドに到着する前に近づいてきて、俺と接触し、一人で何かさせる訳にもいかないので、連れてきてしまった。
まあ成り行きってやつだ。
ギルドのドアを開けると、にぎやかな声が聞こえてきた。
ギルドというのをゲーム以外ではじめて見たが、テイルと一緒で酒場のような造りになっているようだ。一階にはF~Bランクの依頼がカウンターの隣に有るクエストボードと呼ばれるものに貼ってある。二階にはA~SSランクの以来が貼ってある。しかし二階はクエストボードが置いてあるだけだ。それ以外の場所はギルドマスター、ギルドマネージャーの部屋になっている。
クエストは、クエストボードから受けるクエストの紙を取って、一階のギルドマネージャーに渡すだけで受けられる。
まあ、ギルドの説明はこのくらいにしておいて、冒険者としての登録をしてこよう。
「すいません。」
「はい、何でしょうか?」
「あの、冒険者の登録をしたいのですけれども。」
「ああ、登録ですか?少々お待ち下さい。」
そう言って、ギルドマネージャーは奥に行ってしまった。
「暇だなぁ。」
そう思い、ギルドを見回すと、とても騒がしい場所があった。
「なあ、俺も連れて行ってくれよ。」
「私も!」
「ねえ、良いでしょう?」
何だ寄生虫か。
しかしあんだけの量がいるとなると、相当な実力者か・・・。
「いや、あの、今日は頼まれごとが在ってここに来ただけでクエストは受けないんだ。」
「へぇ。」
「なーんだ。」
「つまんないの。」
そう言って人々は散って行った。
「ふぅ。」
そこに残ったのは、少し小柄(俺よりはでかい)な男だった。
その男はきょろきょろと周りを見回して此方を見るとこっちに近づいてきた。
「・・・。」
嫌な予感しかしねぇ。
「ルナさんですか?」
「はい、そうですが・・・何か御用でしょうか?」
「えーっと・・・まずは自己紹介が必要ですね。僕はアイク・レトリョーズ。S級の冒険者です。」
「S級!?」
S級っていったらもう上はSSしかないじゃねぇかよ。
「はい。えーと・・・私に何の御用でしょうか?」
「いえ、あの人からの預かり物です。」
そう言って取り出したのは大きな袋。
「ここに入っているのは龍貨5000枚です。」
「龍貨?」
「はい。一つ金貨1000枚分。金貨一枚銀貨1000枚分。銀貨一つ銅貨1000枚分。
銀貨一枚あれば人は一ヶ月余裕で過ごせます。しかし冒険者の場合一ヶ月に金貨一枚必要なんてのはざらにあります。」
この辺はテイルと変わらない金銭感覚でいいのだろう。
「ちなみにこれ以外の武器や防具やら色々あるのですが如何します?」
「・・・。」
もうこれは口があいて塞がらない状況だ。
「えーと、暫く僕が預かっていますから、ギルドに倉庫でも借りてください。」
「な、何でそんな大金と武器と防具などが私に?」
「ライル・エルトラスさんからです。」
「!?」
ライルだと・・・。
確かにテイル内ではそんな大金と武器と防具を持っていた気がするなぁ。
でも、なんで?
「あの人は消えてしまいました。」
「消えた?」
「ええ。その前日に俺に会いに来てルナって人に渡せって言われたんですよ。」
「・・・。」
どういう事だ?
俺のコントロールを失ったから自由に動くようになったって事か?
くそっ。謎が多すぎる上にこっちの手にあるカードが少なすぎる。
何をさせたいんだ、俺達に・・・。
「まあ、暫くはこの周辺でクエストを行なっている積りですから倉庫か何かの保管場所が出来たら声をかけてください。それと・・・。これを。」
そう言って差し出してきたのは光る明るい青色をした剣だった。
「これは・・・。」
「分かりますか?」
「はい。大丈夫です。」
「では、また会いましょう。」
彼を見送った後、無事にギルドに登録することができた。
ここでも一悶着あったのだが、それは別に機会としよう。