始まり24 『お祭りっていいね。』
変なはじまり方になってしまった・・・。
まあ、気にしないで行きましょう!
こんな感じで今日に至ったわけだ。分かってくれます?このややこしい事に巻き込まれた感満載の日々。
はぁ、後が思いやられるよ。
まあ、とりあえず俺は歩いていいと許可を貰ったので、町へ繰り出すことにした。
因みにアリューゼ・ティラさん憑きだ。
ん?漢字が違うって?気にするな。
「ルナさん?」
「はい?何でしょうか?」
「考え事をしていたようですが、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
今、この町は勇者が国を救ってくれた、と絶賛お祭り騒ぎ中だ。
その中で、勇者として歩き回るのは嫌なので女として町に出てきている。
勇者の情報は既に全国にファミールさんから伝えられている(男として)。しかも勇者は我らを守るため戦った時に負った傷を癒すために療養中となっている。
まあ、お祭りは嫌いではないので盗んできたお金を使い、ティラさんと色々な食べ物を食べ歩いていた。
「にしてもお祭り騒ぎで変な奴が多いですね。」
「そうですねぇ。」
ここは城から1キロも離れていない所なのですが、ここに来るまで痴漢、スリ、ナンパ、その他諸々にあっていた。
まあ、周りにばれない様に撃退しておいたが…。
うん。でも、この世界の料理って煮ると蒸すという考えが無く、焼く、炒めるが主流である。
とりあえず今度シチューやらカレーやらを作ってみようかと考える。
ちなみに俺の持っていたカバンには、色々なものが入っていた。
護身用の武器だったり、料理を作ろうと思って買ってきた材料だったり、買いこんで学校で読み漁っていた料理本、教科書、ノートなど、正直な話をすればもっと入っているが、今説明が必要なのはこの程度だろう。
しかし、この材料ではいつか足りなくなってしまうと言うか、全然足りないと思われる。
同じような材料を調達することを心に決めたのだった。
「そういえばルナさんは料理できるんですか?」
「まあ、人並みには。」
「そうなんですか…。」
何故なんだろう。彼女の顔にはとても悔しそうな表情が浮かんでいる。
それを見た俺の頭の中で、一つの仮定がたてられた。
「もしかして、料理苦手なんですか?」
「うっ・・・。」
俺の仮定は当たっていたようだ。
「今度良ければ教えましょうか?」
「良いんですかっ!!」
かなり近くまで詰め寄ってくる。
そういえば言い忘れていたがティラさんは相当な胸の持ち主だ。
今まで特に気にしていなかったのだが、こう上目づかいで谷間が強調されるようなポーズをとられると、中身が男な俺は非常に困る。
「わ、分かりました。教えますから、離れてもらえませんか・・・。」
「あ、すいません。」
俺が男だと知っているのだろう。若干顔が赤い。
「あ、あの。」
「なんですか?」
「料理を教えてもらえる対価として何かしたいんですけど・・・。」
「え?いや、そんな事しなくて良いのに。」
「いえ!それでは私の気が済まないんです。えーと・・・。そうだ!私、絵が得意なんですよ。よかったら如何ですか?」
ここで断るのは野暮って物かな・・・。
「分かりました。では今度教えてください。」
「決定ですよ!忘れないで下さいね!」
「分かってますよ。」
料理を教わる事が出来るのがそんなに嬉しいのか、彼女の足取りは軽い。
「そういえば、何時にするんですか?」
「何時でもいいですよ。」
「うーん・・・。」
「私は明日から特に何もすることが無いので何時でもいいのですけど・・・。」
「では、明後日でお願いして良いですか?今日いきなりお休みを下さいと言って、明日すぐに休めるものでも無いので・・・。」
「あ、そういえばティナさんって本職メイドでしたね。」
「忘れていたんですか?」
「いやーすいません。」
「昨日会ったばかりなのですけどね。」
「うっ。」
「明後日の約束が心配になってきました・・・。」
「だ、大丈夫です。そういう約束は割と覚えてる方なので。」
かなり疑われてる・・・。
「だ、大丈夫ですって!」
「じゃあ、信用しますからね。」
「大丈夫です!」
こうして楽しい時間は過ぎて行った。
ティナさんは色の神の分身なので絵が得意なのです。
ティナ 「エッヘン!」
それ以外はほとんど特技と呼べるものはありません。
ティナ 「・・・。」