始まり23 『面倒だ・・・。』
次は、バルゴリア大陸の歴史について調べることにした。
この大陸は世界神という者がいて、その神が世界を作ったとされる。
さらにその下には、空間の神、時間の神が居る。
その下には音楽をつかさどる神、食物をつかさどる神、色をつかさどる神などがいて、人や獣人、魔族などが居る。
その神々は、自分の分身となるものに、自分の力の一部を分け与えて世界を監視している。神々の分身は、人であったり、獣であったり、魔物であったりする。
「神々の分身かぁ・・・。出来れば会いたくないな、面倒ごとに巻き込まれそうだ。」
神域について。
「神域?」
神々が祭られた祠などがあり、神の許しを得たものしか入れない場所。
入り口と呼ばれるものが必ずあり、それは扉だったり鳥居だったりする。そこの前に立つと、神が如何するかを決めるようだ。許しを得ると、中から使いのものが出てくる場合が多い。出てこなくても何かしらの合図はあるはずだ。何も起きない場合は速めに立ち去ることをお勧めする。下手をすると神々の怒りを買い、下手をすれば死んでしまう場合も有る(死傷者は既に出ている)。
「・・・絶対行かないことにしよう。」
この世界を作ったのは神で、人間などを作ったのも神であるが、この大陸を繁栄させたのは人間の一人だった。
「人間だと?」
その人間は0代目勇者と呼ばれ、その二百年後に現れる一代目勇者とは違った。
その人間はこの大陸に生まれたもので、異世界から召喚された訳でもなく魔王を倒すという目的があった訳でもなく、普通に生まれてきた人の男の子だった。
普通に育った少年は、一つだけ誰にも言ってなかった秘密があった。
彼は、空間の神の分身だった。
しかし彼は、それを使って如何しようという訳でもなく、力をもてあましていた。
そんな中、彼の幼馴染がこう言った。
「世界を作ろうぜ!」
それは子供の頃の戯言だったのだろうか?いや、違う。
なぜかって?彼の幼馴染は、時間の神の分身だったからだ。
といっても何からすればいいのか分からない。だから彼らは世界を見て回ることにした。
家を飛び出し、広い世界を見、彼らは結論付けた。
この世界には圧倒的に指導者が足りない、と。
村ごとなどで村長などが居るがそれだけでは人間同士の争いは避けられない。
そのため、彼らは村をいくつも回り、村の人々や村長を説得し国を作っていった。
作った国は違う人間に任せ、次の国を作る。それを繰り返し、今の世界の国の原点を二人の人間が作ったのだ。
この二人は後に零の勇者と零の王者と呼ばれるようになる。
「なるほどね。」
コンコン
「はい。」
「お茶をお持ちしました。」
そう言って入ってきたのはこの本を届けてくれたメイドさんだった。
「有難う御座います。神様の分身さん。」
「・・・何の話ですか?」
「この資料、あの人たちがまとめた資料に貴方が手を加えたものなんですよね?」
「だから何の話ですか?」
何時までも埒が明かないので、つけていた眼帯を外した。
「この眼は全てをステータス化していますから何をごまかしても無駄ですよ。色の神の分身、アリューゼ・ティラさん。」
「そこまでばれていましたか。」
「右眼で見れば一発です。」
「全く困りましたね。その力。」
「まあ、そう言わずに。」
「まず、一つだけ伝言があります。」
「誰からですか?」
「世界神の分身からです。」
「その世界神の分身ってどんな人ですか?」
「・・・人では無いとだけ言っておきましょう。」
「そうですか・・・。じゃあ、伝言をお願いします。」
「『天の領域で待つ。御前があの女の言っていた人間であることを切に願う。』だそうです。」
「天の領域?」
「世界神の神域では?」
「・・・いかねぇ。」
「え?」
「絶対行きたくない!」
「そ、そんな事言われても・・・。ま、まあ伝言は伝えましたよ。」
「・・・分かった。」
「そ、それでは。」
こうして、3日目も過ぎていった。
昨日は閑話を投稿したのですが気付いて頂けたでしょうか?
あれは読まなくても大丈夫なように物語を進めたいと思っています。