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始まり20 『ありがとう・・・。』

何とか間に合った…。

明日からも頑張ります。

すねた振りをして出て行った桃香先輩を見送って眠りに落ちようとしていた所に災厄は現れた。

「瑠奈~。」

「げっ、出た。」

「出たとは何だ出たとは。」

「動いちゃいけないんじゃないんですか?」

「暇だったから抜け出してきた!」

親指を立ててそう自慢げに言う目の前の災厄をどうやって追い出そうかと画策している所に災厄はとんでもない事を始めた。

「そういえば全身が筋肉痛で動かないんだって?」

「そうですが何か?」

「いやぁ、なんでも無いよ。」

この目の前のニヤニヤしている災厄(馬鹿)をどうやってぶっ飛ばしてやろうかと再び画策し始めると、いきなり指をわさわさと動かし始めた。

「ふっふっふ。日頃の恨み、ここで晴らす!!」

あの動き、あれは・・・!

「理不尽だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

そう、俗に言うこちょこちょ。擽りだ。

ただでさえ筋肉痛の所に触れられて、さらにくすぐったいから身をよじると激痛が走る。

これは拷問か何かなのか?

物を考えられたのはそこまでだった。

「ちょっ!やめっ!あはは!イテェッ!ぎゃあ!だめだっ!それ以上はっ!」

「はっはっは!どーだ!これで分かったか!俺が日頃溜めに溜まったストレスがな!だがこれでは止めてやらんぞ!まだまだ色々持ってきているからな。」

そういって肩にかけていたバッグから取り出したのは全自動こちょこちょ機・・・。

「そんなくだらねぇ物なんで持ってんだ!?」

「ここに来る前買ったばかりで学校で使ったばっかりだったからだが?」

「あなたはそれでも元生徒会長ですか?」

「そうですが?」

さっきから「だから何?」とでも言いたそうな顔しやがって・・・。

あー、もうあったまきた・・・。

「『時間は止まり世界は我の下に動く。神と我を繋ぎし門が開かれ、我は神と同じ力を得る。神は時間を操り、空間を操り、この世界の全てを操る。神は我にその世界の所有権の一部を渡し、世界を変えることを許す。開け、神の扉よ。』」

「ら、雷斗君?それは上位魔法のさらに上に位置するレベルの魔法の、<神降ろし>では?」

「大丈夫、その中でも一番下の魔法だから、これは。」

「そ、そういう問題ではなくてですね・・・。」

手を伸ばして掴んで来ようとする。

『ソラ、エルカイル<その手をどけろ>』

これは一部の範囲に神が使っているのと同じ言葉をかけ、その現象を改変する事が出来るようになる物だ。

兄ちゃんの手はおかしな方向に曲がっている。

「痛い痛い痛い!!ちょ、勘弁して!」

「クスクスクス『ソラ、ヘルソラ、アガンダ<その手で別の手を掴め>』

「えっ?」

『アリグランドヘルビル<気絶が出来ぬ程度の痛みをこの者に>』

「っぐぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」



・  ・  ・



「もうこんな事はしないと約束します?」

「はい、すいませんでした・・・。」

あの後はしばらく放って置いたため、とんでもない痛みが走ったことだろう。

「じゃ、私は寝ます。さっさと出て行ってください。」

「ああ。」

兄ちゃんが背を向けた。

「ありがとう・・・。」

その背に向かって放った言葉は聞こえたのだろうか?

いや、それはどちらでもいい事だ。

それよりも言ったという事が大切なんだから。

こうして、一日目は終わった


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