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プロローグ2 『国王病没』

本当は同じ日に投稿する予定だった奴です

「遂にこの時が来てしまった・・・。」


「父上ぇ・・・何故、何故救えなかったのですか!?」


この国の王の一人娘、ファミールは王の専属の医師に怒りをぶつけていた。


「この国の王については王の娘である貴女が一番分かっている筈です。父親である王の事を知っているのも、この国の王は百年しか必ず生きられず、しかも其の王の死が訪れた場合、異界から召喚した次の王にこの国は受け継がれていく、という慣わしも含めて、全て貴女だけなのです。」


「何故なの、何故、見ず知らずの異世界の人間に百年もの間父上が治めて来た地を渡さなければならないの?」


「「・・・。」」


この場にいる人間は全員口を閉ざした。


其れも其のはず。ここに居る人間は全員同じ気持ちを抱いているのだから。


「あ、あのぅ、一つ宜しいでしょうか?」


其の沈黙を破ったのはファミールのメイドをしている一人の少女だった。


「如何したのだ?ナナ?」


この子の本名は、朝霧奈菜。5年前、召喚用の魔方陣が暴走し此方に来てしまった少女だった。


「一つではないのですが・・・。」


「よい、言ってみなさい。」


「はい。まず慣わしとして、召喚は大衆の見ている中行うのですよね?」


「そうよ。国民の皆に見せる事によって、要らぬ疑いを生まぬようにな。」


「ならばしないのは不味いと思います。国王の死など隠せる物ではないので、緘口令を敷いてもこの情報は漏れます。そして新国王を召喚しない、などと言えば間違いなく国民は不安に駆られます。なので、召喚を行い、其の人間を見極めてから行動を起こせばよいと思います。」


「おお、流石ナナ。そうするとしよう。」


意見を挟ませず、一息に言い切った奈菜の言葉に最初に頷いたのは、国王が育てて来た右大臣のギルスターだった。


この国は知能の平均的なレベルが低すぎる。


先代の国王は、いや今までの国王全員がそう言った。


其れも其のはず、この国では読み書きと足し算も出来れば良い方で、其れを改善するため、先代の国王はこの人間は伸びる。と、国王は辺境の土地に居たギルスターを連れて来て育てたのであった。なので、ギルスターのような人間は少ないため、とても重宝される。


しかし、それでも当時、天才少女と言われていたとはいえ、15歳の少女にすら及ばなかったのだ。この国の知能の平均的なレベルの低さは分かるだろう。


「しかし、そんなの納得できぬ!」


其れに対し、反発を示したのはファミールだった。


ファミールは先代の国王に育てられたとあって、知能の高さは評価できるが、其れよりも感情等を優先してしまう、という美点であり欠点を抱えていた。


「ファミール様、お気持ちは分かりますが、ここはナナの言うとおりにするべきです。」


ギルスターは必死に説得を試みるがファミールは全く聞こうとしない。


「嫌!絶対に嫌なの!」


「ファミール様。」


とても冷たい声がファミールの名前を読んだ。


「な、何かしら?ナナ。」


「確かにファミール様が言っていることは分かります。全員が同じような気持ちなのです。しかし、今の現実を前にしたのです。よくお考えください。」


「・・・なあ、ナナのあんな声何時以来だ?」


「さあ?あ、でもあの半島の制圧のときはあんな声していなかったか?」


「ああ、そういえばそうだ。」


ひそひそと囁く声がする中、奈菜はファミールを見つめ続け、ファミールは下を向いて唇を噛んでいた。


「分かったわ・・・分かったわよ!私も覚悟を決める。ギルスター!勇者召喚の準備をなさい!私は王の執務室で書類の整理などを行います。ナナは私を手伝って!第壱戦闘部隊は王都の守備の強化、第弐戦闘部隊は国民に、王、勇者、賢者の死と、儀式についての説明を行ってきて!第参戦闘部隊はギルスターを手伝って!魔法部隊もよ。ギルスターの部下は第弐戦闘部隊と一緒に説明をしてきて。各自仕事をしっかり行うように!」


「「「「はっ!」」」」




・  ・  ・




「之より、勇者、国王、賢者召喚の儀式を行う!其れでは、まずは国王の召喚を。ファミール様、お願いします。」


「はい。それでは、行きます!」


ファミールが召喚用の魔方陣に魔力を流し始めた。


(くっ!これを後二回も行うの?正直・・・きついわね。)


「きた!」


魔方陣が輝き、その光から全員が眼をそらした。


そして、其の光が消えると、そこには三人の人間が倒れていた。


「・・・?」


「・・・三人?」


「えーと、まだ国王様の召喚だよな。」


「「「「「何でだぁ!?」」」」」


前代未聞の王国の始まりだった。











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