始まり10 『人任せの人たちだ・・・。』
「瑠奈~。」
「早速その名前で呼びますか・・・。」
「いや、慣れて置く為に・・・。」
「やってしまった物はしょうがない。で、何のようですか?」
「いや、情報の整理をしようかと・・・。」
「なるほど。」
「瑠奈、御前は如何思う?」
「この世界はゲームでしか知りません。しかも、召喚した、と言うんですから元の世界の知り合いが居る可能性は少ないでしょう。」
「まずは、生きる術を探すことからかな?」
「いや、お兄ちゃんは残って、王様としてこの国を見ていてほしい。桃香先輩はそのサポートをお願いします。」
ふっ、人の事を罠になんて嵌めるからいけないんだぞ。これからはお兄ちゃんと呼び続けてやる。ついでに一人称は私に直さないとかなぁ。
「分かった。」
「瑠奈ちゃんは如何するの?」
「私ですか?私は一週間はこの国にある魔法をきちんと学びながら、冒険者としての登録証のこれが使えたらこれを使って、色々な国を回ってみようかと思います。」
「一人で?」
「そういうことです。」
「じゃあ、私からも一つ言わせて貰えないかしら?」
「?どうぞ。」
「私は賢者と言う位だから、魔法をもっとしっかり学ばないとならないと思うの。」
「なるほど。」
「だから私は魔法国エルシエルに行こうと思ってるの。」
「「えっ?」」
「魔法についてなら魔法国に言って学んだほうが良いと思うの。」
「それは分かりますけど・・・。」
「宗谷君を一人にするのが心配なのね?」
「まあ、そういうことになります。」
「大丈夫。ファミールさんと奈菜さんに任せていくから。」
「ああー。なるほど。俺は留守番かぁ・・・。」
「じゃあそうしましょうよ。」
「待って下さい。」
「?」
「魔法国に行く時、新たな賢者が修行のために旅立ったと言う情報と俺ら全員の性別などを公開したほうが良いと思いますが・・・。」
「何で?」
「まず、賢者のほうはそっちの方が待遇も良いですし、色々な文献にも触れられると思うからです。」
「公開の方は?」
「私は仕方が無いのでこの国で女として生きて行きます。その為に冒険者の登録の時や、周りの人間には女だと通した上で、全体で、私は男と紹介する事で、命を狙われ難いかなぁと思うからですよ。」
「なるほど。」
「では、そのつもりで。」
「後、明日ファミール様と王妃様って方に会うことになっているのよね?」
「そう言えばそうでしたね。」
「この格好じゃ不味いわよね。」
セーラー服と学ラン。不味いと思うな。うん。
「瑠奈、その服何処で手に入れたんだ?」
微妙に笑いを堪えてる感がある。絶対に笑ってるでしょうね。
「其処のクローゼットもどきに入っていました。」
不機嫌なのを隠さず喋り続ける。
「儀式用、普段着用、冒険用、何でも有りますよ。」
「へぇ、後で見てみよう。」
「それより、私たちは現状把握に来たのよね?」
「?そうだよ。」
「何でこんな話をしているんだろうって思わないの?」
「あー、そうだねー。」
「興味無さそうですね。」
「その辺は全部考えてあるんだろ?瑠奈。」
「フフッ。その通りですね。」
「全く二人して人任せなんだから。」
「でも考えてあるんでしょ?」
「ありますよ。」
「ほらな。」
「瑠奈ちゃん。説明お願いしても良い?」
「はぁ。ま、いいですよ。」
ため息を一つつき、私は自分で整理した結果を喋り始めた。