始まり8 『誰が女だぁぁ!!』
「う~ん」
「あ、ライ君起きた。」
「あ、桃香先輩。」
ここは、まだ戦闘を行った所から移動してないらしい。
「よかった。いきなり倒れるからビックリしたのよ。」
「すいません、心配掛けちゃって。」
「いいのよ。それよりね、一つ問題が発生したの。」
「何ですか?」
あのねと言いながら耳打ちしてくれた内容は俺の弱点だった。
「俺は男だ!」
そう、俺は女顔で初対面の奴は大体俺の事を女と判断する。しかも髪の毛は肩まであって後ろの方は跳ねている。そして止めは155cmしかない身長である。
「絶対違う~!女にしか見えない~!」
騒いでるのはさっき助けた女の子。この子は頭に何か付いていて首輪をしているし、今ここに居るとさっきの奴の仲間が来るとか色々考えなきゃならないが今はそんな事はどーでもいい。
「俺は男だ!今すぐにでも全裸になって証拠を見せてやろうか!」
この異世界で人間が同じ作りをしていないとも考えられるが、俺の頭にはそんな事は些細な問題だ。
「其れは止めてくれないかしら?ライ君。」
真っ赤になってる?何でだ?
「桃香先輩は止めて欲しいのかも知れないですけど、男には譲れぬ時が有るのです。どうかご勘弁を。」
「御前は女だろ~。」
「うるさいっ!今証拠を見せてやる!」
「あ。」
「如何したんですか?先輩?」
「追手だ。」
「む、追手か、しょうがない、逃げますよ。」
「ほっ・・・。」
桃香先輩がホッとしてる?何でだ?敵が来てるってのに。
「放せ~!」
脇の辺りでバタバタしている奴が居るが、勿論無視。
・ ・ ・
「ここまで来れば安心かな?」
「放せぇ~!」
む、まだ脇の辺りでバタバタしてたのか。子供の体力恐るべし、だな。
「五月蝿いぞ、この野郎。」
「まあまあ、落ち着いて。それより奈菜さんとソウ先輩の所に行くのが先でしょ!」
「む、了解です。」
・ ・ ・
「あ、帰ってきた。」
「その子は誰ですか?」
軽く奈菜さんの視線が痛い気がするが気にはしないで置こう。俺にとっては馴れた視線だしな。
「変な人に襲われていたのを助けてあげたんですよ。」
「何で気を失っているのですか?」
「気にしないで下さい。」
「なあ、その子の名前何ていうの?」
「知らないです。」
「あっそう。」
食い付かねぇのか。まあいいや。
「・・・如何するの?」
「いや、知らないですよ。」
「何でつれて来たの?」
「ソウ先輩、なんてひど「はっ、置いてくりゃよかった!」・・・。」
「置いて来たら追手に殺られてしまう。御人好しの雷斗さんとしては置いて来る訳にはいかなかったと言う訳ですね。」
「いや、俺は御人好しでは無いんですが・・・。」
「・・・まあまあ、そう言わずに、本音は置いて行く事が出来なかったんですよね。
「奈菜さん、そんなにこいつを買い被ってはいけません。こいつはきっと気を失ったこの子を連れて来て助けたと言いつつほんとは強姦するつもりなんですよ。」
いや、軽くロリコンとは言ったが俺はそこまで落ちちゃねぇよ。
「え?でも。」
「違うかんな、絶対にそんな事しないぞ」
「う、うぅーん。」
「あ、起きた?」
俺はこの日、とんでもない罠に嵌ってしまった。