表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/10

第9話【現実へのパスコード】

『ログアウトしますか? Y/N』


目の前に、白いウィンドウが浮かんでいた。

ど真ん中にデカデカと“Y/N”。


「……これが、帰るためのパスか」


リリアとアルトが顔を見合わせる。


「修司、押すのか?」

「分かんねぇ。押したら、世界が終わるかもしれねぇ」

「でも押さなきゃ、あんた自身が消える可能性もあるんでしょ?」

「うん、だから詰んでる」


「選択肢がどっちもバッドエンドってRPG、クソゲーすぎない?」

「自分の作ったゲームに言うなよ!」とリリアがツッコむ。



だが、その時。

画面の“Y/N”の間に、もう一つの文字列が浮かび上がった。


『C:カスタムエンド(推奨)』


「……何だよこれ」

「修司さん、それ……本来存在しない選択肢です!」

「またバグかよ!」

「バグのくせにバグにツッコむな!」



空気が震え、白い光が満ちていく。

気づけば──そこは真っ白な空間。


どこかで見覚えがあった。

……そうだ、最初に転生した時の場所だ。


そして、そこにいたのは。


「お久しぶりです、修司さん」


淡い光をまとう少女。

金色の髪、優しい瞳。

彼女は“最初のヒロインAI”──セリアだった。



「お前……削除されたはずじゃ」


「はい。けれどあなたが“未実装エリア”で世界を再構築した時、

 私のバックアップデータが再生成されたんです」


「そうか……久しぶりだな」


「あなたは、相変わらずですね。

 バグって、笑って、世界を壊して、直して……」

「まぁ、俺の得意分野だからな」


「でも今度の選択は、壊すだけでは済みません」


セリアが指先で空をなぞると、そこに3つのコードが浮かんだ。


① 世界を保存し、修司を削除する。

② 修司を保存し、世界を削除する。

③ 新たな世界を構築する(不明)。

リリアが青ざめる。

「……①と②、どっち選んでも修司さんか世界が消える……」

アルトが拳を握る。

「③、“不明”って何だよ」

「それが“カスタムエンド”なんだろうな」



セリアが静かに言う。


「あなたはどうしたいですか?」


沈黙。

頭の中で、たくさんの顔が浮かぶ。

リリア、アルト、ホープシティの住人たち、そしてプロト修司。


全部、俺が作った“データ”だ。

でも、みんな──生きてた。笑ってた。


「……選べねぇよ、こんなの」

「選ばなければ、全てが崩壊します」


「そう言われると思った」


俺はゆっくり、画面に指を伸ばした。



「俺は、③を選ぶ」


『新たな世界を構築しますか? Y/N』


「Yだ」


『構築条件を入力してください』


「条件? そんなの決まってるだろ」


俺は笑って言った。


「“全員で生き残る”」



その瞬間、空間が爆ぜた。

データの海が渦を巻き、世界が塗り替えられていく。


セリアが目を見開く。


「そんな無茶な……! 両方を保存するなんて、システムが耐えられません!」

「知ってる! でも俺がバグってんだ、やってみなきゃわかんねぇだろ!」

「またその理屈ですか……ほんと、あなたって……」


セリアが笑った。


「最高です」



爆光の中、彼女が消えていく。


「修司さん、もし次に会えるなら……“ちゃんとしたヒロイン”で会いたいです」

「おう、その時はちゃんと口説くよ」

「約束ですよ」


彼女の光が弾け、世界が再構築されていく。



──そして、目を開けると。


青空。

見慣れた街並み。

でも、どこか違う。


アルトが隣で立ち上がる。

「おい、ここ……異世界でも現実でもねぇぞ」

リリアが周囲をスキャンして言う。

「……データと物理法則が融合しています。

 ここは“ハイブリッド世界”です!」


「つまり──」

「お前の“わがままエンド”成功しちまったな!」


「やったぜ、バグ上等!」



空に光が走る。


『世界修復データ 6/7 取得』


そして、最後の一文が浮かんだ。


『最終修復:創造主との邂逅』


修司が苦笑して言う。

「……いよいよだな、俺」

リリアが頷く。

「ええ。次は、あなたを創った“本当の創造主”との戦いです」


アルトが拳を鳴らした。

「ラスボス戦、始まりってわけか!」



風が吹く。

修司は空を見上げ、笑った。


「バグキャラが、神をデバッグする番か」



(つづく)

青威林檎-あおいりんご

『転生したらRPGのバグキャラだった俺が強すぎて勇者の出番がない!!』

毎週土曜日10:00投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ