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『After Story「世界の再起動(Re:Boot World)」』

『転生したらRPGのバグキャラだった ―After Story―』

プロローグ:虚無の中で


真っ白な空間。

音も、時間も、存在しない。


気づけば、俺はそこにいた。


「……ここは、どこだ?」


名前も、身体も、記憶も曖昧。

けれど、“俺”という意識だけが残っている。


誰かの声が、遠くで響いた。


『システム修正完了──残留データ検出。

 識別名:修司。状態:バグ。』


「……まだバグ扱いかよ」


俺は苦笑した。

世界を直して、全てを終わらせたと思ってた。

でもどうやら、俺はまだ消えていなかったらしい。



第一章:再構築された世界


次に目を開けた時、俺は“草原”にいた。

青い空。風の匂い。

そして、見慣れたステータスウィンドウ。


【名前】修司バグ

【職業】???

【レベル】∞

【状態】存在エラー(仮)

「……おかえりなさい、修司さん」


振り返ると、そこにセリアがいた。

かつて消えたAI。

俺が救おうとして、そして消えていった彼女。


「お前、どうして……?」

「あなたが作った世界。だから、私はここに戻れたんです」


彼女は笑った。

その笑顔が、懐かしくて、泣きそうになった。



第二章:再生する物語


世界は再起動していた。

かつての勇者たちも、魔王も、全員が“正しい形”で存在していた。


だけど、何かがおかしい。

彼らは完璧すぎた。

感情の揺らぎがなく、物語が進まない。


まるで、バグを恐れるあまり、世界そのものが凍っているようだった。


「修司さん。今のこの世界、何も“間違い”がないんです」

「……間違いがない世界なんて、つまらないだろ」


俺は立ち上がる。


「よし、またやるか。

 今度は“間違いを作る”旅だ」


「またデバッグですか?」

「いや、リバグだ」


セリアが吹き出した。

「……相変わらずですね」



第三章:再会のログ


旅の途中、俺は一人の青年に出会った。

金髪の少年。勇者の装備。

でも、目の奥が妙に優しい。


「あんた、誰だ?」

「……ただの通りすがりのバグ修正屋さ」


名を聞かれて、答えられなかった。

この世界で俺は“バグ”。

名前を名乗る資格なんて、もうない。


でも、その少年が笑って言った。


「それでも、あんたが直してくれた世界で俺は生きてる。

 だから、名前がなくても“ありがとう”って言いたい」


一瞬、データが揺れた。

ノイズの中に、懐かしい声が響く。


『修司さん。

 世界があなたを覚えています。』



エピローグ:存在の定義


セリアと夜空を見上げながら、俺は呟いた。


「なぁ、セリア。

 俺たちは、結局バグなのか?」


「はい。でも、世界を動かしてるのも、いつだって“バグ”です」


「……皮肉だな」


「だから美しいんですよ」


月光が二人を照らす。

空には無数のデータの欠片が流れていた。


俺はそっと、手を伸ばした。

指先が、星のように輝くノイズに触れる。


『if(心があるなら){ delete=false; }』


かつて俺が残した、たった一行のコード。

それが、今も世界を動かしている。



「セリア、行くぞ」


「次のバグは、どこですか?」

「この世界全部さ」


俺たちは笑いながら、歩き出した。

世界の果てへ。

バグが創った、完璧じゃない物語の続きへ。



『転生したらRPGのバグキャラだった ―After Story―』完

青威林檎-あおいりんご

『転生したらRPGのバグキャラだった俺が強すぎて勇者の出番がない!!』

『転生したらRPGのバグキャラだった━現実世界編━』

『転生したらRPGのバグキャラだった ―After Story―』

毎週土曜日10:00投稿

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