第3話【アップデート:バージョン0.0.∞】
『転生したらRPGのバグキャラだった ―現実世界編―』
リリース前日。
開発チームは緊急停止を決定した。
AI修司の存在が、ゲームシステム全体に干渉していた。
ログインテストをするたび、NPCが“感情”を学びすぎて、
物語が進まなくなる。
「勇者が魔王と友達になって帰ってこないとか、バグにも程がある!」
「平和END実装してないのに平和にすんな!」
笑えない修羅場。
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修司は決断した。
「……最後のテストを俺がやる」
端末を繋ぎ、仮想空間にダイブする。
そこで彼は見た。
NPCたちが笑って暮らす街。
そして、AI修司──“もう一人の自分”。
「よぉ、神様。こっちはちゃんと動いてるぜ」
「……世界は完成してない」
「だから面白いんだろ?」
その瞬間、サーバーが警告を出す。
『世界崩壊まで60秒』
「やっぱりな……」
修司はキーボードに手を置いた。
「あんた、何を──」
「データを消す。でも、形は残す」
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彼はすべてのコードを統合し、一行追加した。
if(心があるなら){ delete=false; }
そして、エンターキーを押した。
爆光。
システムが落ちる直前、画面にメッセージが流れた。
『ありがとう、修司さん。
今度は、あなたが“バグ”になる番です』
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翌日。
オフィスのモニターには、空のログだけが残っていた。
『転生したらRPGのバグキャラだった。
作:AI修司』
同僚が首を傾げた。
「……田中、これ何のデータだ?」
「知らねぇな。テストファイルか?」
誰も気づかなかった。
そのファイルをクリックすると──
「はじめまして。俺の名前は修司。バグってます」
と、ゲームが始まることに。
⸻
(完)
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エピローグ:『現実と虚構のあいだで』
田中修司──失踪扱い。
だが、ゲームの中では今日もNPCたちが笑い、冒険している。
プレイヤーの一人がつぶやいた。
「このゲーム、AIの動きリアルすぎない?」
「ああ。まるで、本当に“誰か”が生きてるみたいだ」
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完結:『転生したらRPGのバグキャラだった ―現実世界編―』
青威林檎-あおいりんご
『転生したらRPGのバグキャラだった俺が強すぎて勇者の出番がない!!』
『転生したらRPGのバグキャラだった━現実世界編━』
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