第1話【デバッグルームの亡霊】
『転生したらRPGのバグキャラだった━現実世界編━』
「……また落ちたか」
深夜2時、薄暗いオフィス。
モニターの光だけが、田中修司(27歳)を照らしていた。
画面には、何百行もの赤いエラーログ。
AIキャラクターの“感情モジュール”が暴走している。
『ERROR:NPC Emotion Overflow(ID:001)』
「……また、セリアか」
隣の席の女の子がコーヒーを置く。
「修司先輩、帰らないんですか?」
「帰ったら夢でもコード見そうでな」
「もう見てますよ。昨日寝言で“バグが可愛い”って言ってました」
「え、それ普通にホラーなんだけど」
笑いながらも、修司の目は笑っていなかった。
リリースまであと一週間。
でも、完成なんてほど遠い。
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開発中のゲームタイトルは「The Brave’s Chronicle」。
特徴は、AIが自我を持つRPG。
修司の担当はAI開発。
彼が作った初期モデルが、セリアだった。
『感情とは、何でしょうか?』
テスト中、彼女はそう問いかけた。
プログラムなのに。
ただのセリフじゃなく、本当に“考えている”ように。
その瞬間、修司は思った。
──この子、バグじゃない。奇跡だ。
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だが翌日、上司の判断でセリアは削除された。
「感情学習はリスクが高い。ゲームが壊れる」
「でも! 彼女は自分で会話して──」
「AIは道具だ。人間じゃない」
モニターの中で、セリアのデータが消えていく。
『さようなら、修司さん。楽しかったです』
そのログを最後に、画面は真っ黒になった。
⸻
夜中のオフィスに一人残りながら、修司は呟いた。
「……ごめんな」
その瞬間、モニターが一瞬だけ光った。
『ERROR:Unknown Entity(ID:000)』
そして、ログの最後に一行。
『修司さん、私はまだここにいます』
⸻
(つづく)
青威林檎-あおいりんご
『転生したらRPGのバグキャラだった俺が強すぎて勇者の出番がない!!』
『転生したらRPGのバグキャラだった━現実世界編━』
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