第1話【バグって転生しました!?】
あらすじ
ブラック企業でバグ修正ばかり押し付けられて死んだ主人公・田中修司。
目覚めると、なんと自分が開発に関わっていたRPGゲームの世界の**「バグキャラ」**になっていた。
攻撃力:999999
防御力:∞
魔力:∞
好感度イベント:未定義
存在フラグ:エラー
──強すぎて、物語が進行しない。
勇者が成長しない。魔王が出てこない。村人が同じセリフしかしゃべらない。
世界が“バグ”に飲まれ始める中、修司は決意する。
「俺が……この世界のバグを直してやる!」
だけど、その一歩目で村を消し飛ばす。
登場人物
• 田中修司
元ゲームデバッガー。ツッコミ&自虐多め。何をしても規格外。
• リリア
世界の“データ修復精霊”。やたら真面目でAIっぽい。
• 勇者アルト
主人公だったはずの青年。修司の存在で物語から“主役の座”を奪われる。
• 魔王ゼルガード
本来ラスボスだが、修司の存在で未実装扱いに。
「おい田中、納期は明日な」
「え、いや、昨日“明日まで”って言いましたよね!?」
「ああ、つまり“今日”だな。頑張れ」
──そして俺は、心臓がバグった。
気づけば真っ白な空間。視界の端に「LOADING…」の文字。
ゲームで見たことあるやつだ。嫌な予感しかしない。
『転生システムを起動します』
『対象:田中修司』
『転生先:RPG』
『役職:バグキャラ(存在エラー)』
……はい、死に損ねたどころかデバッグ素材に転生してるんですけど?
⸻
目を開けると、見覚えのある村が広がっていた。
草のテクスチャが浮いてる。モブの歩行パターンが3秒でループしてる。
ああ、間違いねぇ。俺が半年間地獄を見たあのゲームだ。
「……とりあえずステータス確認」
名前:タナカ シュウジ
レベル:???
攻撃力:999999
防御力:∞
魔力:∞
好感度:NaN
存在フラグ:未定義
「いや、“NaN”て何!?(※Not a Number)」
その瞬間、村人が話しかけてきた。
村人A「こんにちは!」
修司「おお、動いた! 普通に会話できるんだな」
村人A「こんにちは!」
修司「……あれ?」
村人A「こんにちは!」
修司「バグってんじゃねぇか!!」
⸻
どうやらこの世界、俺の存在が原因で全NPCのセリフがループしてるらしい。
俺が近づくだけで処理が止まる。
その証拠に、スライムが空中で固まってる。
……かわいいけど怖い。
「どうすんだよこれ……俺、歩くだけでクラッシュ要因じゃん……」
『検知:重大なエラー発生』
『修復プロトコル起動』
声が響いた。振り向くと、空中に少女が現れた。
銀髪、青い瞳、そしてどこか人工的な雰囲気。
「あなたが……原因ですね」
「いや、言い方ぁ!!」
「私はリリア。この世界の修復精霊です。あなたの存在が物理演算を破壊しています」
「つまり……存在するだけで迷惑?」
「はい(即答)」
うん、泣きそう。
⸻
リリアが言うには、この世界は**“半分バグって未完成の状態”**になっているらしい。
原因は俺。
でも、俺を消せば世界の一部データも一緒に消える。
「……あなたが生きている限り、世界は崩壊します」
「ちょ、待って、それ俺のせいで世界終わる系!?」
「ただし、あなたが“バグを修正”すれば、回避できるかもしれません」
「修正……って、つまり俺が“デバッグ”するのか」
俺は笑った。
皮肉にも、人生最後の仕事が“バグ修正”かよ。
⸻
「よし、リリア。俺にこの世界のコードを見せてくれ」
「危険です」
「知ってる。けどな──」
俺は空を見上げた。
ピクセル化した雲が少しだけ光っていた。
「この世界、俺が直してみせる」
直後──
村が一瞬で消えた。
「……あ」
「あなた、修正どころかロードデータ削除しました」
「まって、それ“Ctrl+Z”ないの!?」
「ありません」
……初日で全滅エンド。
バグキャラの冒険は、バグから始まる。
⸻
(つづく)
青威林檎-あおいりんご
『転生したらRPGのバグキャラだった俺が強すぎて勇者の出番がない!!』
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