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第49話:龍王の伝承

期間が空いてしまい、申し訳ありません!

こちらのほうも、ちゃんと続けていきます。

どうか、皆様のお力をお貸しください。

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シャロンは、もはや違和感という言葉では片づけられない感覚に呑まれていた。むしろ、それは恐怖だった。


――なぜ、誰も疑問を抱かなかったのか?


頭の中が真っ白になるのを感じながら、シャロンは己の鼓動が冷えていくのを実感していた。そんな彼女を見つめながら、真神冬夜が静かに口を開く。


「シャロン先生。いきなりのことで混乱されるのも無理はありません。しかし――どうか、冷静になってください。……時間が、ないのです。私は早く戻らなければならない」


その言葉に、シャロンは反射的に問い返す。


「戻る……? どこへ?」


混乱の渦中にある頭では、言葉の意味すら掴みきれない。


「仲間の元へ。今すぐにでも戻らなければならない。……すべてを説明する時間はありません。だが、できる限り話します」


冬夜の声音は切迫していた。尋常ではない空気。何かが、迫っている。


「これから話す内容は、決して口外しないでください。多くの者に知られれば、世界は混乱に陥る」


シャロンは口を閉じたまま、冬夜の瞳を見つめ返す。確かに、言いたいことは山ほどある。しかし、理性がそれを封じた。


「……わかりました。何があっても、他言はしません」


そう答えると、冬夜は一度目を閉じ、そして深く息を吐いてから、告げた。


「ありがとうございます。……では、まずは冬馬のことから」


空気が凍りついたように、張り詰める。


「彼の身体を蝕む瘴気――あれは、常識的な方法では消せません。なぜなら、あの瘴気は『邪神』の力に侵された、邪龍由来のものだからです」


「邪神……? 邪龍……?」


シャロンは奇妙な感覚に襲われた。目の前の男が語る事実が、現実離れしているはずなのに、なぜか拒絶できない。


冬夜は続ける。


「……その前に、今のこの世界が置かれている状況を、貴女にも知ってもらわなければなりません」


そこで一拍の間が空く。


「この世界を変えた事変。異世界との交差――通称“クロス”。そのとき地球と融合した世界の名前は、『アーヴェリス』といいます」


「アーヴェリス……? どうして……そんな名前を……?」


シャロンは言葉を失っていた。


それは、誰も知らないはずの名前だった。知りようがない名前のはずだった。


なぜなら、異世界との融合が起きてから、あらゆる研究機関、ハンター協会、ハンター事務所を挙げて調査が行われたにもかかわらず――その世界の“名前”は、どこにも見つからなかったのだ。


他にも、薬草、鉱石、魔物、ダンジョン。他にも多くの異物が地球に持ち込まれたのに、そこに暮らしていた人間や種族の痕跡すら、ただの一つもなかった。


冬夜はその疑問に答えるように、静かに語った。


「どうして知っているのか? それは、“聞いた”からです」


シャロンは言葉を失う。


「私は、“アーヴェリス”を守っていた存在――『龍王』と呼ばれる超越存在から、その名を聞いたのです」


そこでシャロンは、ぐっと深呼吸をした。呆然と聞き流している場合ではない。今この人が語ろうとしていることは、決して“軽く”受け止めていい話ではない――本能が、そう訴えてくる。


理性を取り戻したシャロンは、瞳に覚悟を宿して頷く。


それを確認した冬夜は、話を続けた。


「アーヴェリスには、もともと多くの種族がいたそうです。人間、エルフ、ドワーフ、ホビット……それに、我々の想像も及ばないような種族たち。もちろん、モンスターも存在していたが、彼らはただ脅威であるだけではなく、共に生きる存在でもあった。そして、その世界には、八体の龍――“八龍王はちりゅうおう”がいたのです」


その言葉に、シャロンは震えるほどの予感を感じていた。


「八龍王は、ただの力ある生物ではありません。世界の均衡を保ち、民を守る守護神でした。どれほど強大な敵が現れようとも、八龍王の加護のもと、人々は団結し、自らの力で立ち向かってきたのです」


冬夜は、そこで一度言葉を切った。声色が、わずかに沈む。


「だが――ある日、“運命の日”が訪れた」


シャロンは、もはや一言も聞き漏らすまいと、冬夜の声に意識を集中させていた。


ここから語られるのは、地球と異世界の運命を交差させた真実――世界が隠してきた、真の歴史だった。


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