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異世界スープ無双 〜鍋ひとつで始まる悪役令嬢とのほのぼの食卓〜  作者: 般若に似てる人


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11/33

第11話:一杯のスープで旅を語れ



【大会本戦・第一ラウンド】


テーマ:「旅先の一皿」

制限時間:一時間

評価基準:味、構成、独創性、観客評価、物語性


美咲が立つステージの上、時間の開始を告げる鐘が鳴り響いた。


ゴォォォォン……!


「……始めるよ、ユヒ。旅の集大成、鍋一杯に込めてみせる」


「任せな、火加減と旨みの波動は任せとけ!」


鍋の精霊ユヒが軽やかに湯気から飛び出し、鍋の内壁をトントンと軽く叩く。

それだけで、鍋の内部がふわりと光を帯びた。


◆調理工程:スキル発動【旅鍋覚醒】

スキル:《旅鍋覚醒》

所持食材から“旅路の思い出”を自動抽出


味覚補正+30%、癒し効果+15%、演出強化(観客効果)


まずは野菜――


【山間の宿場町】で仕入れた《スモーク根菜》。

ほのかな燻香があり、煮込むことでほっくりと甘くなる。


次に肉――


【城下屋台】で仕入れた《シビレ豚のハム》。

毒成分は完全に除去済。苦味の奥に旨味が凝縮されている。


最後に、【王都市場】の新鮮な《紅香草》を刻み、香りの芯として鍋に投入。


「香りは旅の記憶。味は、その歩み……」


鍋に湯を張り、火をつける。


その瞬間、鍋の外周が薄く金色に輝いた――。


◆スキル:《鍋語・調律》発動

「……スープの音が喋ってやがる……“まだ早い”とか言ってるぞ」


「分かってる。野菜は甘くなるまで我慢。焦っちゃ台無し」


鍋の中の気泡が、まるで鼓動のようにリズムを刻む。


ポコ……ポコ……ポコ……ポコ……


それに合わせて、美咲の手も自然と動いていく。


◆味の演出:《一皿の物語》発現

素材の組み合わせと調理工程が“語り”となって観客に伝わる。


「……これは……ただの料理じゃない……!」


「旅路が、香りとともに思い浮かぶ……!」


審査員席の貴族たちが目を細め、身を乗り出していく。

仮面の料理人・マスカレイドは、対面で静かに美咲の動きを見つめていた。


(……語っている……。スープで、記憶を)


美咲は火を止め、スープをすくう。


色は澄んだ琥珀。

中に浮かぶスモーク根菜はまるで旅籠の灯り。

紅香草は風の軌跡のように香りを広げ、

豚の脂は、にじむように温もりを溶かしていた。


「――完成。“旅の灯火スープ”。さあ、食べてみて」


◆判定タイム:味と演出の審査

審査員が一口すくい、口に含む。


「……ふっ……なんだこれは……」


「まるで、山を越え、川を渡り……道の果てに辿り着いたような、そんな感覚……!」


「これが、“味の旅”……!」


観客席から、拍手がじわじわと広がっていく。


パン! パンパン……パァン!


その熱は、まるで演奏のように、円形劇場を満たしていった。


そして、仮面の料理人・マスカレイド。


彼は一歩、前に出る。


「あなたの一皿には、“想い出”がある……。だが、私の一皿には、“影”がある」


彼が蓋を開けた瞬間、真黒な蒸気が周囲に広がった。


「“記憶”は温かいとは限らない。時に、苦く、鋭く、痛いものだ」


美咲は、震えるスプーンを手にした。


(これが、彼のスープ……? この世界の“もうひとつの味”……)


鍋と鍋。物語と物語。

“温もり”と“影”の、正面衝突の一戦は、いよいよ――判定へ。


▽ 成長ログ:美咲の料理スキル

スキル名効果備考

旅鍋覚醒複数の“旅素材”が記憶と融合し、スープに物語性を与える料理内容に応じて変化

鍋語・調律鍋の状態を音・気配で把握し、最適タイミングで調理可能精霊ユヒのナビ付き

一皿の物語・発展型観客の心に“旅を追体験させる”演出付き料理感情の振れ幅が高いほど拍手ボーナス上昇

第11話では、いよいよ大会の調理パートを本格描写しました。

今回はスキル演出・素材の意味性・鍋との連動を強調し、異世界スープの“表現力”を重視しました。


次回は**第12話『温もり vs 影 審判の匙は誰の手に』**にて、料理バトル第一戦の決着編です!

仮面の男・マスカレイドの“影のスープ”の秘密、そして美咲の鍋がもたらす“もうひとつの奇跡”が描かれます。


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