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第10話:王都到着!料理大会、開幕と仮面の挑発




王都フィリシア――

石畳の広がる美しき大通り、塔のような宮殿、空に届かんとそびえる教会の尖塔。

そのどれもが、地方の都市では見られない「格の違い」を静かに誇っていた。


「……でかっ。なんか、あちこちから香りがしてくるんだけど」


「当然よ。王都は“香りの都”って呼ばれてるの。各料理ギルドが香料を空気に流して、購買意欲を掻き立ててるの」


「完全にフードコート商法だね……異世界って不思議」


そんなふたりの会話の傍らで、鍋の中のユヒが興奮気味にくるくる回っていた。


「うおぉ、こりゃスパイス天国だな……香りだけで酔える!」


大会会場は、王都広場を仮設改装した“料理円劇場”。

観客席は数千人。審査員席の上には貴族や王族も並ぶ。


そして――

参加者専用ゲートには、各地から来た料理人たちがずらりと並んでいた。


「美咲さんですね? 出場受付はこちらになります」


案内された小部屋の中で、参加者リストを手渡された美咲は、ページをめくって、ある名前に目を留めた。


出場者:マスカレイド・グレイ


「やっぱり出てるんだ……」


「彼は、今年も“大会優勝候補”筆頭よ。過去4年、無敗」


「……あの仮面の料理人、何者なんだろうね」


「正体を知る者はいないって噂。でも――」


ヴィクトリアが、ちらりと視線を向けた先。


そこには黒のコートを纏い、銀の仮面で顔を隠した男が、無言でこちらを見ていた。


「おや……あなたが、“鍋の料理人”ですか」


低く、よく響く声。

美咲は自然と背筋を正す。


「そうだけど。あなたは、“仮面の料理人”?」


「仮面は、私を守る。……あなたの鍋もまた、あなたを守るものなのでしょう?」


「……さあ、どうかな。私はこの鍋に、守られてるっていうより――一緒に戦ってるつもりだけど」


「それならば、私と同じ。料理とは――戦争だ」


マスカレイドは、静かに去っていった。


その背に、黒い風が舞った気がした。


◆◇◆


そして、大会の開幕が告げられる。


第一ラウンドのテーマは――


「旅先の一皿 〜素材の個性を最大限に活かせ〜」


使用素材は、王都広場に用意された巨大な食材市場から各自選択。

調理時間は一時間。完成後は審査員による評価と、観客の拍手判定をもって得点化される。


「旅先……まさに今までの総決算ってわけか」


「あなたの鍋が、どこまで通じるか……見せてやりましょう!」


「うん、いこう。“一杯”で全部伝えてやるよ」


美咲は鍋を持ち、調理場に立った。


仮面の男もまた、無言で立ち、黒い鍋蓋をそっと外した。


鍋と鍋。

熱と熱。

これより、“味”による真剣勝負が始まる――!


▽ 成長ログ:美咲の料理スキル

スキル名効果備考

鍋戦モード(大会仕様)一定時間、調理精度・食材鑑定力・集中力が上昇プレッシャーを感じるほど効果UP

一皿の物語料理に“旅”や“記憶”の物語性を付与食べた者の“記憶を誘導”する力を持つ

対決補正:仮面料理人特定ライバルがいることで、鍋精霊との連携が強化される特殊演出/ユヒの支援行動あり

▽ あとがき

今回は、ついに料理大会編の本格スタートです!

仮面の料理人マスカレイドとの因縁や、旅を通じて培ってきた料理の力を、ここから本格的に描いていきます。


「料理で語る物語」×「精霊と鍋」×「ライバルバトル」という、

少しずつ燃えてくる展開を、ぜひご期待ください!


次回**第11話『一杯のスープで旅を語れ』**は、第一ラウンドの調理と判定、そして――

仮面料理人の“異様な技”が明らかになります。


【いいね】【評価】【フォロー】で応援していただけると、次話の鍋もより美味しくなります!

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