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ことのは  作者: 大山椒魚
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あざ


「傷つけたいわけじゃない」


そう言って踏みきれない私を

みんなは優しいと言う

優しすぎると


でも違う


傷つけると傷つくんだよ


知ってるでしょ?

ほら、こんなに痛くて苦しい


内出血はどんどん濃くなり

わざとらしくみんなの目をとめる


誰にも何にも触れられたくないのに

いつの間にか自分の指を押しつけていて


痛みを確認して安心するなんて

どこまで趣味が悪いんだろう



もう繰り返したくはない



これが優しい?

弱いの間違いでしょ

弱くてずるくて一人じゃ歩けない


純粋なふり

鈍感なふり

馬鹿なふり


楽に生きていくには演技力も必要

割りきれると思っていたのに


今の私は


自分の演技にのまれてしまった




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