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水晶
焦げ茶色の水晶が映すのは
頼りなげな笑顔と空元気
そして儚い点滅信号
点滅の頻度が少なすぎて
色が薄すぎて
そのサインを見落としてしまう
もしも育った環境で性格が決まるのならば
わがままな人やネガティブな人
繊細な人にナルシスト
全てに訳があるのなら
いま私の側にいる親切な人は
どういう環境にいたんだろうか
例えば
親切にするのもされるのも当たり前で
そもそも親切という概念さえ無いような
恵まれた人がいたとする
けれどその一方で
ひたすら親切にすることでしか
他者と繋がることが出来なかった人も
いるかもしれない
これまでの環境に今の私たち
親切に寄りかかる人間は
控え目なサインを無視しては
笑顔に甘え続けてる
その結果か
人より平気なフリが上手くなった彼ら
前者とどう判別する?
焦げ茶色の水晶は
少しずつ見えてきた疲労の色を
ぎこちなくなった笑顔を
確かに映しては揺らぎ、視線を外す
点滅を止めたいと願いながらも
作られた笑顔に阻まれて進めない
これも自分への言い訳か
踏み込めない自分
踏み込ませないあなた
だから私は
親切な人が苦手なのです