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時
近付く二つの針を見て
競争のようだと笑うけど
僕には君こそそう見えた
いつも時計に目をやって
早く早くと急かすだろ
僕と君では時間の流れが違うのかもな
秒針の音が嫌いな僕と
それに負けじと走る君
ぼんやり時計を見つめる僕と
瞬時に前を向く君は
同じ空間にいる時だって
感じるものが違いすぎ
近くにいればそれだけで
摩擦が生じてしまうんだ
だからいつしかお互いに
疲れを感じ始めてた
そんなとき僕らが出会ったものは
光を受けて輝くガラス
中はピンクの砂入りで
静かに時を計る物
僕が買ったその道具
君が逆さにしてみせた
最後の砂が落ちるまで
二人で静かに眺めた日から
僕らの時は近付いた
競争ではなく寄り添うために
二人が一緒にいられるように