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声
静かにゆっくりと薄まって
気を抜くと消えてしまいそうだ
曖昧な存在になっていくあなた
顔を思い出すのは容易なこと
写真を眺めればいい
慌しい日々が終わると
やけに景色が綺麗に見えた
たくさんの気付きもあった
だけど
もしもそれらが
あなたと引き換えに得た物ならば
あまりにも不条理だとは思わないか
一人で夜空を見上げても
星が揺れることは少なくなった
その代償がこれならば
なんて不条理なんだろう
悲しみが薄れることを望んではいたけれど
消してしまいたかったわけじゃない
なのに何故
あなたの声が聴こえないんだ