12話:禁止用語
「ルアー、着替えたー?」
ドアの外から、うるさいほどにレオの声がする。
「ああ。」とだけ俺は答え、それからドアを開けた。
「おー!」
俺の姿(いや、服というべきだな)を確認して、レオはそう反応した。
「…どう?」
俺は心配になって、思わずレオに自分の容姿の良さを確認していた。先程、鏡で自分の容姿を見てみたところ、なかなかいいと思ったが…
気になるレオの反応は…「めっちゃいいじゃん!」と、言ってくれた。よかった~。
「思わず████(ピー(効果音))を███(ピー)ところだったよぉー。」
「おいそれ、禁止用語だろ!」
…急すぎてびっくりするわ。
まさか女子があんなこと言うなんて…
「…ったく。……あれ?」
俺は視界に入った周りを見渡すと、彼がいないことに気づいた。
「カッコイは?」
「ああ、さっそく秘書としての仕事だよ。」
「うわぁ…何頼んだんだ?」
俺は少し心配しながらそう聞いてみた。
「うわぁって、失礼だよ?ただの買い出し頼んだだけなのに。」
「いやだって、禁止用語使う奴が秘書に頼む仕事ってやばそうだろ。」
「……███。」
「おい!また使ってるじゃねえか!しかも俺に対して!」
「別にいいでしょ?だって███なんだから。」
「何言ってるんだ、お前ら。」
少しふざけながら言い合いをする俺たちを静止させたのは、買い出しから帰ってきたカッコイだった。
そして、その手には、カッコイの身長(170cmほど)とほぼ同じぐらいの『ほうき』が握られていた。回転ぼうきや座敷ほうきではなく、ファンタジーでよく見る、魔女が使うものだ。あれなんていう種類のほうきなんだろ?
「なにそれ?」俺は思わず、その使い道を尋ねた。
「よぉ、███。いい服だな。」と、カッコイは俺に言った。
「カッコイまで!」
「カッコイ、ほうき、ルアに渡してあげて。」
「ああ、言われるまでもないさ。ほらよ。」
そう言って、カッコイは握っていたほうきを俺に手渡しした。
「…んー、で、これどんなことに使うんだ?」
俺はじっとほうきを見つめてみたが、未だにその使い道がよくわからない。レオは言った。
「それはね、空を飛ぶ用のほうきだよ。通称『魔女用ほうき』。」
「…なるほど、たしかに、魔女になるのには必要な物だな。」
「…ルアって魔女見習いなのか?」
俺が魔女になるということを全く知らないカッコイは、俺に尋ねた。
「まぁ、そんなとこ。」
それにはレオが答えた。まずまず、俺は魔女見習いという言葉を明確に知らなかったため、レオはそれをサポートしてくれたのかもしれない。
「さっ、それじゃあルア。始めようか!」
レオは思い立ったような顔をして言った。
「始める…って何を?」
「決まってるでしょ?ほうきに乗る練習!外に行くぞー!ゴーゴー!」
やけにハイテンションだな……
俺はそう思いながら、前を歩いて先導するレオの後をついて行った。
外はもう暗くなってきていた。
そういえば、バリアスの時間軸ってどうなってるんだろ?
…まっ、これから覚えてけばいっか。
…そうだよな。
これからバリアスでの俺の人生、まだまだ長いんだ。その時間でどれだけ、俺はどんな生活を送っていけるのだろう。
もしかしたら革命者になることで死ぬかもしれないけどな……
まぁ、別にいいさ。
自分で望み、自分で実行したいと思ったんだ。それこそが自業自得なのだろう。
ただ、その場にいた人達が俺のせいで死ぬのは嫌だ。絶対に。
俺の瞳にはレオとカッコイが映る。
もしも、ここに絶対的な力を持った奴が来るなら、俺は死んでもこいつらを守る。
そういうことなのだろう、革命者とは。
「ルア~!どしたの?」
「いや、なんでもないよ。」
人を殺すことは許さない。誰かが誰かを殺す。その時には俺が正す。それも革命者の仕事だ。
俺はレオの元へ、ほうきを持って向かった。
「…で?ほうきに乗るのはどうやればいいんだ?」
「簡単、簡単。魔力をほうきの柄に込めるんだよ。」
「柄に?」
俺はその瞬間、柄に魔力を込めていた。
するとその瞬間、縦の方向に握っていたせいか、ほうきは上に吹っ飛んだ。
「あ。」俺たち3人の言葉は同じで同時だった。ほうきはまだまだ吹っ飛んでいく。
「ふぁら~。」
レオはそれを見ながら腑抜けた声を出した。
そして、カッコイはこちらを見て言った。
「あれ高かったんだぞ?」
いやいやいやいや…
「だって仕方ないでしょ!?あんなこと言われたら反射的に魔力込めちゃうよ!」
「……まあ、仕方ないでしょ!うん。…いや、仕方なくないな。」
「…どうする?あれ。」
カッコイが指さした方向はもちろん上空。ほうきはもうゴマ粒サイズだ。その瞬間、俺にとてつもない、やっちまった感が襲ってきた。
……よし、こうなったら奥の手だ。
『コネクト!画像を頼む!』
説明しよう!コネクトは前世の世界のインターネットと直接俺の脳を繋ぎ、画像検索が可能なのだ!
そして俺はコネクトに頼んで画像を見つけた。その画像と同じように俺は体を動かす。
地面に尻を着き、足を横に少し折り曲げて伸ばし、少し後方に片手を着いた。終いには、もう片方の手を口付近に持ってきた。
そして少し吐息混じりのカワボで2人に言う。
「ねぇ…2人とも……許してくれない……かな?」
「あ、そういうの無理なんで。」




