11話:秘書
俺はマリさんに言われた通り、レオの家に歩いて向かった。…にしても、2人でレオの家に?一体何してるんだか。
俺はレオの家の前に着くと、一旦コネクトに尋ねてみようと、ふと思った。
『コネクト、これ呼び鈴とか無いけど、勝手に入っていいのかな?』
『…いいんじゃないですか?見た感じ、レオさんはルア様のことを信頼しているようですから。』
『え、そう?』
『ええ。あくまで見た感じ、ですけど。』
『わかった!じゃあノックしよう。』
俺がそう言うと、コネクトは『…最初からそうしてください。』と、少し呆れてみせた。
『悪い悪い。』俺はコネクトにそう謝ってから家の壁に近づき、少し強めにノックをする。
コンコン。
すると、中から「どうぞ~。」というレオの声が聞こえた。俺はその声に従い、壁をすり抜けてレオの家に入った。
そこには案の定、レオとカッコイがいた。2人は机を挟んで、椅子に向かい合って座り、何かの資料らしき紙を読んでいるようだった。
俺はそんな2人に言葉を発した。
「何やってんの?」
「ああ、ルアだったんだ。これは、カッコイが私を手伝うリストだよ。」と、レオは言った。
俺はもうひとつあった椅子に座り、その資料を見てみる。
すると、
『ひとつ、長の頼みには九割従うこと。ひとつ、長の機嫌をとること。ひとつ──』と、その先もレオの得になることしか書いていなかった。
「えぐいリストだな!」
俺は思わずツッコミをしていた。
「いやいや、これ程してもらわないとね~。」
「え~…」
そしてチラッとカッコイの方を見ると、その顔は絶望に満ちていた。
まるで……高校の期末テストがあることに、その前日に気づいた時のような顔だ。
俺も前世で1回やらかしたことあるな…部屋でスマホいじって~、漫画読んで~、寝て~てら前日だ。えっ!?なんで皆教えてくれなかったん!?と思って、友人にメールしてみると、
『ドッキリ大成功~!』
ドッキリじゃねえよ!何が大成功だ!!
まあ、当然のように奴らより上の点数をとってやったけどな。
そんな記憶がある俺は、静かに立ち上がり、カッコイの肩にポンと手を置いた。
「なんだ、お前。」カッコイはそう言った。
それからなんやかんやで、カッコイはレオの『秘書』という形になり、これからはサバトヴィレッジに住まうことになった。
そして俺はレオに謝られた。
「ごめん、ごめん!まさかあんなことになるなんてね~。」
「いや、いいよ。そんなこと。俺が強くなるための一歩になったんだから。」
魔王と実際に戦うことで、どれほどの強さ、どんな戦い方、その他色々わかった気がする。
『革命者』となるための怪我だと思えば安いものだ。…と、それはいいのだが…
「レオ、なんか服ない?」
「服?」
「そうそう、ちょっとこの服……違和感あってさ。」
「なるほど。…どうする?最初の服持ってくる?」
「…ん~、いや…せっかく異世界に転生したんだし、それらしい服がいいかな。」
「なるほど~。それなら魔女っぽい服とかどう?」
「お、いいね!お願いします!あ、けど帽子はいらないかな。」
「おっけー。」
今の俺は女性なんだし、魔女の格好をしてみる、というのも悪くない。
レオは、俺が頼んだために、奥にあった部屋に向かっていった。俺はレオが戻ってくるまでの間カッコイと話すことにした。
「カッコイ、平気そうか?レオの秘書は。」
カッコイは座りながら言った。
「……まあ、言っちゃえば俺の自業自得だからな。…それに、なんか今は不思議な感覚なんだ。お前に倒されてから何かが吹っ切れた…というか…なんというか…」
「へぇ~。なんか俺にそういう能力があるのかもな。」と、俺は少し冗談まじりに言ってみた。
すると、「ああ、たしかにそうかもしれない。」と、割と本気にしてカッコイは言った。
そして少し気まずい雰囲気が流れ出した。そんな時、レオはこの空気を救うように服を持ってきてくれた。
「ルア~、こんな服は?」
見ると、レオが持っているハンガーにかかっていたのは、黒色のローブに、白いワイシャツ、下は丈の長い少し茶色のスカート、ワイシャツにつけるであろうリボン、そして黒色のモンキーブーツまでもが用意されていた。ローブの裾と前立ては紺色になっている。一見少し地味な格好かもしれないが、それをモンキーブーツの赤い紐が補っている。
「ありがとう、レオ。これにしてみるよ。」
「うん、私のお下がりだけどいい?」
「ああ、別に構わないよ。…着替えてみてもいいか?」
「もちろん。」
レオはそう言って、俺にハンガーごと服一式を渡してきた。
「さっき私が入ってた部屋で着替えていいよ。」
「サンキュー。」
俺は服を持って、レオが先程入っていた部屋に向かった。
そしてそのドアを開けると、そこにはいくつかのクローゼットと洋服かけがあり、服は数え切れないほど大量にあった。
俺は驚きながらもドアを閉め、先程渡された服をもう一度見てみた。
…俺に似合うのだろうか?…まあ、物は試しだよな。
俺は着ていた服を脱ぎ、新たな服に着替えた。
「うーん…」
自分では外見を見れないからよくわからないな……あっ、鏡みっけ!
俺は鏡の前に全身が映るように移動し、自分の姿を見た。
「…!まあ、いい仕上がり…かな?」




