9話:ランク
「私はね、命は平等だと思うんだよ。」
レオは歩きながら俺にそう言った。そして続けた。
「魔王も人間も魔物も。バリアスに生きる全ての者達が。だからさ、救える命を無駄に奪っちゃいけない。私はそう思うんだよ。これは持論だけどね。」
…「たしかに、俺もそう思うよ。だけど、この里は大丈夫なのか?魔王を回復させて。」
「あ、それは大丈夫、大丈夫。それと、彼の名前『カッコイ』って言うらしいよ。」
名前?あの人カッコイって言うんだ……
…って、まさか!俺はそう思い、足を止めてレオに思わず尋ねた。
「…もしかしてそれってカッコイさんが自分で名付けたの?」
その答えを、レオは思い出したように言った。
「あー、たしかにそんなこと言ってたかも……ってまさか!」
♦♦カッコイ♦♦
ここは…どこだ?
カッコイの目の前には、ひたすらに白い光景が広がっていた。
俺は…寝ているのか?
寝ぼけた感覚と寝そべっている感覚からカッコイはそう思った。そして、やはりベッドの上に寝ていたのだ。
それがわかったのは、カッコイの見る景色にナースらしき人物が入ってきたため。彼女は彼に尋ねた。
「気分はどう?」と。
カッコイは「最悪だ。」と答えた。すると、彼女は少し笑った。
「はは!」
…ったく、何がおかしいんだか。
彼はそう思った。
カッコイは寝ていた体を起こし、その後で彼女に聞いた。
「ここは?」
彼女は微笑んだまま答えた。
「ここは医療班、怪我した人を回復魔法で治す所よ。」
「…はぁ?意味がわからん。だいたい、なんで俺を回復させるんだ?俺は殺すべき存在だろ?」
カッコイはそう彼女に尋ねた。すると、
「レオさんの判断よ。」
レオってたしか、青髪と一緒にいた……
そうだ!青髪!
「あのやろっ…!…ぐっ…」
カッコイは自分を倒した、青髪のことを思い出し、起き上がろうとしたが、体の至る所が痛んで上手く起き上がれなかった。
「まだ寝てた方がいいと思うけど?」
「くそっ…!」
カッコイが起きるのを諦め、ベッドに大人しく寝た瞬間、部屋のドアが、バン!と勢いよく開く音がした。
そのため、彼とナースは同時にドアの方を向いた。すると、そこにいたのは、カッコイが今1番見たくない者達の顔だった。レオと青髪だ。
彼女らはカッコイの顔を見るなり、
「お前ぇ!名前、名前ぇ!!」(レオ)
「てめぇ!自分のことアレだと思ってるだろぉぉぉ!!」(ルア)
「待て。」
カッコイは2人がその後の続きを言う前に、そう言って止めた。そして2人が黙ったところで続けた。
「わかるだろ?この俺のカッコイイ─」
「黙れぇ!俺達今言わないようにしてたんだからよぉ!」
♦♦ルア♦♦
10分後。俺達はなんとか落ち着きを取り戻し、カッコイと話をした。
「てか、レオ。俺を生かして大丈夫なのか?今は動けんが、動けるようになったらお前を殺すぞ?」
レオはカッコイのその言葉を聞き、笑った。
「あはは!ボロ負けした人がよく言うね~。」
それを聞いたカッコイは「うるせぇ!次は勝つ!」と、次も戦う気満々だ。まあ、レオなら圧勝だろうけど。
…「ん?けど、この里は大丈夫なん?」
俺は思わずレオにそう聞いていた。
レオは「あ、それね。カッコイには私の手伝いをしてもらおうと思って。」
「はあ!?」
カッコイはレオの言葉に驚いていた。これ、初耳だな。
「なるほど…」
俺がそう反応すると、カッコイは俺達2人に反論し始めた。
「待て待て!俺の意思は!?」
だが、レオはそれを聞こうとしなかった。
「えー、だって私『Aランク』だし。カッコイは『Bランク』でしょ?」
…ん?今なんて?ランク?俺は聞いたことの無い言葉に少し戸惑いを覚えた。そんなこと関係無しに話は続いていく。
「くそっ…いや、ランクが全てじゃ…」
「ちょちょちょちょ、ストップ!」
俺はカッコイの言葉を途中でそう遮った。その後で2人に尋ねた。
「『ランク』とは?」
レオは思い出したように、手をポンと叩き、
「あ~、そっか。ルアはランクのこと、知らないんだっけ?」
そう言った後、俺に説明してくれた。
「ランクっていうのはね、脅威度を簡易的に示したものだよ。下から順に、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、SSSS。あと、これは世界の中でも、悪魔とかしか該当しないんだけど、特級のSがあるね。」
「ほえー。…えっ、ちなみに俺は何ランクなの?」
俺は自分のランクが思わず気になりだし、レオに聞いてみた。すると、レオではなく、カッコイが俺の問に答えた。
「まあ、正確にはわからんが、レオよりは上なんじゃないか?」
「え、いや、それはないだろ。」
俺はカッコイに反論したが、当人のレオが
「うん、カッコイに同意かな。」
そう言われ、俺は自分の手を見ながら言った。
「えー。そんなわけな…」
…え?俺の手は青く光っていた。そのため、言葉が止まってしまった。
それを見て、2人は驚きもしなかった。むしろ、
「ははは!お前、なんだそれ!」
「手が光ってるぅー。」と笑った。
「ちょっ、笑い事じゃ…」
俺はそう続けようとしたが、俺の手の青い光が更に大きく光だした。
「うわっ…!」
俺がそう驚いていると、光が俺の体を包み、俺の意識は光の中へと呑まれていった。




