第6話 エロ魔獣と外道村長編 その4 決戦? エビル・オーク
さて……ここが生贄小屋か……村外れの洞窟の近く、入り口を覆い隠すように小屋が建てられている。
村から見えないように、周囲が木で覆われ、ついたてまで建てられている。 ご丁寧なことで……。
「じゃ、じゃあ、おいらはこれで……」
「……おっ~と、お兄ちゃん。 せっかくだから見てってよ~損はさせないよ?」
バシイッ
「ひいぃ、う、動けない……」
付き添いの村人くんが帰ろうとしたので、拘束魔法で引き留める。 足元に光の杭を出現させ、その場から動けなくする術だ。
「大丈夫、だいじょーぶ。 その杭は、ある程度の物理攻撃を防いでくれるから♪ リリ様の活躍、しっかりと目に焼き付けるんだぜ?」
「ぞんな~、すびばせん~、何か悪い事に加担させらてれるのは、うすうす気づいていたんです……」
泣きながら許しを請う、村人E。 ふーむ、コイツは悪事の中枢にはかかわってないかもな。この後の働き次第では、助けてやってもよい……むしろ使えるか?
「あの、リリ様? まだ”エビル・オーク”の姿はありませんね……どうやって呼び寄せるんですか?」
「……ま、ままま、まさか、このサナちゃんの巨乳を囮に!? はい、覚悟しています……痛くしないでくださいね (てれてれ)」
「ていっ!」
また妄想を始めたリリをチョップで黙らせる。
「あのな~、サナ。 オレは百獣の王、ドラゴン(元)だぜ? 下級モンスターなんぞ、こうだ」
ピイイィィィィイイ!
オレは軽く指を咥えると、鋭く指笛を鳴らす。 モンスターを呼び寄せる笛って奴だ (経験値稼ぎに最適!)
ズン……ズン……(ウガッ?)
すぐに洞窟の奥から、エビル・オークの巨体が姿を現した。 体長3.5m、なかなかに大きな個体だ。青白く、筋肉が大きく盛り上がった体躯に醜悪な顔。
大きな二本の牙を口から生やし、おびただしいヨダレをたらしている。
人間など数人まとめて薙ぎ払うだろう、屈強な腕。 おぞましい[ピー]をおっ立ててやがるので、生贄の女を要求しているというのは、本当のようだ。
奴としては、ドラゴン様のモンスター寄せの笛が聞こえたので、外に出てみれば、そこにいたのは数人の少女。 はてな?という顔をしてやがる。
だが、すぐに気のせいと判断したのか、オレたち3人を順に見比べると…………サナをターゲットに定めたようだ。
ウガアアァァ!!
大きく咆哮すると、こちらに向かって突進してきた!
「ひいっ……いやぁ!」
悲鳴を上げるルーナ。
「よかったな、サナ。 こいつはおっぱい星人兼臭いフェチっぽいね。 めでたくお前が選ばれたぞ」
「ちっともうれしくありません……しかもなんですかあの[ピー]のサイズ……あんなの入りませんよ」
対照的に、落ち着きはらってバカ話をする俺たち。
命知らずの低能モンスターめ……いま、あの世に送ってやんよ!
ザッ……
「……リリさん?」
「そこで見てな♪」
オレは、ルーナをかばうように立ち、ドラゴンの力を解放する!
「へへ、絶好調だぜ!」
ドン!
金色のオーラが体から吹き出し、髪の毛が逆立つ。
背中には大きな光の翼が、お尻には光輝く尻尾が現れる……!
なにより、ドラゴンの力を解放したときには、瞳が黄金に輝くのだ! うおおおーっ!、オレ、カッコいいぜ!!
ウガッ!? ウガガガッ!?
ようやく、自分が逆らってはいけない相手だと気づいたのか、慌てて逃げようとするエビル・オーク。
だが、遅い……せめて一撃で葬ってやるぜ……
「ドラゴン・ブレス!!」
一直線に伸びた青白いブレスは、エビル・オークを消し飛ばすと、背後の岩山すら、きれいさっぱり吹き飛ばした。
(……ぽかーん)
一瞬の出来事に、ルーナが呆けている。
「ふいぃ、さて……ぶっ倒した証拠を……あったあった」
ブレスの角度を調整したので、奴の大きな牙が消え残って地面に落ちている。
「……うえっ……粘膜とか付いてて、きったねーな……おい、そこの村人E、持って帰って。 ……あと、オレの活躍をちゃんと村人たちに伝えてくれよ? やらないと、わかってるよね♪」
ガッ……オレは村人Eに、エビル・オークの牙を蹴ってよこす。 脅しをかけることも忘れない。
「はいいいいぃぃぃ……誠心誠意務めさせてもらいます~」
さーて、村に戻りますかね!
*** ***
「リリさん、凄い! 凄い! あのモンスターを一撃なんて……アタシ、憧れるなー! なにお礼すればいいかなー?」
帰り道、ルーナは上機嫌でオレに引っ付いてくる……ああ、このスレンダーかつ、柔らかい体の感触、イイな!
「ふふっ……最強つよつよリリ様にかかれば、あんな低級モンスター、一撃よ!」
「お礼か……そうだな、オレと一夜を過ごすというのはどう?」
「きゃー♪」
「むー、リリ様との官能の一夜はわたしのものですのに……はっ!? いっそ3人で、というのもアリっ!? 新たなる愛の地平が……」
わいわいと騒ぎながら歩くオレたち。 後ろで村人Eが死にそうな顔でエビル・オークの巨大な牙を引きずっているが、割とどうでもいい。
……おっ? さすがにあのドラゴン・ブレスの輝きは、村からも見えたらしい。 村人たちが集まっているぞ。
と、一人の女性が、人垣の中から走り出る。 あの食堂で、ウェイトレスをしていたお姉さんだ。
「ルーナ……ルーナ! 無事だったのね!!」
「うう、おねーちゃん! アタシ、アタシっ!」
ぎゅっ……固く抱き合うふたり。
「そちらの、リリさんが助けてくれたの……凄かった……」
「そうなのね……リリさん、なんと、なんとお礼を言っていいか……」
このふたり、姉妹だったのか……よく見ると、姉もスレンダーで良いじゃないか……年齢的にオレのターゲット外っぽいが……
「リリ様、イイシーンなのに、節操なさすぎです……」
む、サナにジト目で睨まれてしまった。 嫉妬してるんだな……かわいい奴め。
……おお、まさか……モンスターを退治してくれたのか……あんな子供が? ……いや、ジョンが運んでいる、あの牙を見てみろ。本物だぞ!
村人Eこと、ジョン(仮称)が運んでいるエビル・オークの牙を見て、ざわつく村人たち……ふふん、ここはいっちょキメてやるか。
「おう、そうだぜ、ルーヴィン村の住民たち! あのにっくきエビル・オークは、この最強リリ様が一撃で吹き飛ばしてやったぜ!」
どーん!
キメ顔でポーズをとるオレ。(魔法で効果音も入れた) サナが横から紙吹雪を撒いてくれる。 お? 気が利くじゃねーか!
「おおお、これで村は救われたのか、ばんざーい!」
「すごいわ、あの子! しかもカワイイし……なでなでしたい」
「あんなに小さいのに、凄腕の魔導士なのか……エビル・オークの洞窟まで、吹き飛んでいるぞ! すげぇ! 救世主だ!!」
湧き上がる村人たち……まいったな、またオレのファンが増えてしまったよーだ。
「はっはっはっはっ…………村長として礼を申し上げますぞ……祝宴も用意しています……ささ、こちらに」
つるっぱげ村長が話しかけてきたが、目が全然笑ってない……稼ぎの種を潰されて、さぞ悔しいだろう……んで、祝宴ねえ、ふーん。
なんとか村人から引き離そうと、不自然に用意されていた祝宴とやらに、オレたちを連れ込もうとする村長の後を歩きながら、オレはひそかにニヤニヤしていた……さーて、ここらでシメますか。




