エピローグ
〜6年後〜
ガチャッ!
「「ただいま…」」
そう言ってこの部屋に入るのは何回目になるだろう。
相も変わらずこの部屋に訪れることが私達の決まり事になっていた。
「誕生日おめでとう…」
そう言って亮が愛しそうにベッドに花束を置く姿を眺めていると今だに頬を涙が伝ってしまいそうになる。
目を潤ませる私の肩をそっと抱き寄せ亮が空を見上げる。
「雨が降ってきたぞ…」
「…ふふ、幸先が良いじゃない?」
「ね〜ママ、どうして私達はいつもここに来るの?」
カーテンが優しく揺れ…外からは静かに雨音が響く。
私達の前には、病気一つする事無く元気に育った娘。
毎年必ず来るこの場所に飽きてしまったらしい…
「もしかして飽きちゃった?」
「ううん、ここは好き…」
もうそろそろ話す時かな、あなたが生まれるずっと前の話…パパやママの事。
そしてお姉ちゃんの事を…
静かに降る雨を眺めながら愛しい二人の娘に向けて…
「そう…ここが好きなのはどうして?」
「海がキレイだから!!」
「この部屋の秘密が知りたくない?」
「知りたい!」
カーテンが揺れ、波の音が静かに響く…この部屋の秘密。
私達のもう一人の家族の話。
愛してやまないアナタ達の事を。
「ここはね、あなたのお姉ちゃんが生まれた場所なの…」
「お姉ちゃん?」
見えはしない、話す事も触れる事も出来ない家族の話…
そしてアナタを見守り続ける天使の話。
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