表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボク、おかーさんになりました。  作者: 紺野咲良
1章 特別な日
1/16

1-0


 その日はボクにとって、特別な日だった。




 色とりどりの、様々な花が咲き乱れた庭園。目に飛び込んでくる光景があまりに鮮麗で、こうして歩いていると、時々ここがどこかを忘れそうになる。

 徐々に歩調を緩めていき……立ち止まり、見下ろす。

 そこには地面に埋め込まれた、正方形のプレート型の石がある。


藤咲(ふじさき)家』――そう刻まれた墓石がある。


 お墓というものを初めて見たのは、今からおよそ二十年前。ボクは四歳ぐらいだったと思う。

 大きな四角柱の、真っ黒な御影石(みかげいし)。そこにはお母さんの両親が――ボクから見て、母方の祖父母が眠っているのだと教えられた。

 それが、お墓なのだと刷り込まれた。

 だから正直、いまだに慣れない。ここが樹木葬(じゅもくそう)と呼ばれる新しいタイプの墓地で。目の前にある、淡いピンク色をした桜御影石(さくらみかげいし)のプレートが、墓石なのだということに。

 でも、ここには確かに眠っているんだ。


 ボクの、家族が……。


 十年前、中学生の頃。……今日と、同じ日付。

 ボクが部活動に励んでいる間、両親と妹は三人で買い物に出かけた。誕生日を迎えたボクへ、ケーキを買ってくれるために。

 みんなが事故に遭ったのは、その時。


「また、くるね。お父さん、お母さん……瑠奈(るな)




 今日は、父と、母と、妹の命日。


 そして……ボクの、誕生日。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ