第九話「話題沸騰中(願望)秩父三社巡りで夢を叶えようin秩父神社」
三峯神社から秩父神社はあっという間だ。これはつまり山を下っていくので、自然と行きよりも速度が出がちというだけで、三峯神社と秩父神社の距離が遠いのに変わりはない。秩父三社巡りの際は自家用車で行くにしろ公共交通機関で行くにしろ必ず三峯神社から参拝することが重要だ。でないと巡りきれずに終わる。
秩父神社は秩父市街地のど真ん中にあり秩父鉄道の秩父駅から徒歩3分と公共交通機関勢にも優しい。なお、駐車スペースは狭いので特に休日は周辺の駐車場を利用した方がよい。平日昼間に行ってギリギリ停められたので運に委ねよう。
秩父神社周辺には2010年に放映されていた「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」のマンホールやら何やらがある。そういえば秩父が舞台だった。なにぶん秩父行っても山奥ばっか行ってたもんだからねぇ。そういえば放映からもうすぐ10年って本当ですか。
駐車場から鳥居に歩いていく際にゆきあつを発見。他のキャラも近くにいるはずだ。たぶん。探してる余裕はなかった。
秩父神社の御祭神はオモイカネ。アマテラスが岩に隠れた時に「じゃあ外でおもっきし騒いだらいいじゃない。たぶん『うるせぇ!!』って出てくるよ」と八百万の神におっしゃった神様である。
三峯神社とは違って人々の行き交う賑やかな場所になり、全国的な知名度を誇る秩父夜祭ではメインの会場ともなるわけだからそれはそれは賑やかだ。
秩父夜祭会館なる施設も隣にあるのでお囃子の音が年中聞こえる。
本殿への神門をくぐり、まずはお参り。
とにかく東照宮さながらの本殿に刻まれたユニークな彫刻が見どころである。
正面には子育ての虎と呼ばれる彫刻があり、虎のくせにヒョウ柄だ。でも間違いなく虎だ。なんですかこれ遊び心?
社務所には子育ての虎がモチーフとなった子育てや安産祈願のお守りもある。お子さんのいる家庭やこれから生まれてくる家庭はアクセスも良いので是非参拝していただきたい。
本殿の彫刻を見る前に社務所で御朱印をもらう。
この知知夫国という名称はこの辺りといっても埼玉の東、比企郡あたりまで占めた大昔の名称である。その大きな国の総鎮守がこの秩父神社といえば比企郡が大体どの辺かわかる埼玉県民にならかつての繁栄も理解できるであろう。県外の人はだいたい埼玉の半分という理解で間違いないはずだ。
さて、ここ秩父神社には水みくじなるものがある。丸まった紙を買い、武甲山を水源とする池の水に浸すと文字が浮かび上がるというものだ。
ツイッターにあげたら女性向けの旅行情報アカウントから反応をもらったので多分インスタ映えする。
結果はなんかネタにもならない。
吉とか末吉は自分的に凶より悪い気がする。ネタにならないほど恐ろしいこともない。
また池の傍にある木はなんかめっちゃミストをシューシュー言わせてた。あまり見たことがないのでたぶん秩父神社の固有種だ。ミストツリーと名付けよう。
これは冗談なのだが、木の中に配管通してミスト出すって発想はなかった。というか境内にある木にそんなことして良いのか?僕が気にすることではない。木だけにね。
はい。
境内の奥へ。正面から右手にある彫刻は繋ぎの龍と呼ばれ、秩父札所十五番少林寺にある天ヶ池に住み着いた龍が暴れると必ずこの場に水が溜まったそうな。そこでこの龍の彫刻に鎖を施したところ、龍は現れなくなった。
おそらくドラゴンスレイヤーとかドラゴンボーンの仕業だ。
残念ながら今回は修復作業か何かで足場が組まれてよく見えなかったので写真に収められなかった。一応見ることは可能なので気になる厨二病は足を運んでみてほしい。
そして本殿の裏に施されましたる彫刻は北辰の梟。実物は本殿中央にあるもののかなり小さいので見づらい。
この梟は顔がこちらを、体が向こうを向いている梟で、いつでも臨戦態勢が整っている。
梟の下には絵馬をかける場所があり、知恵の象徴でもある梟に学業成就を祈願する方が大勢絵馬に願いを込めていた。
本殿の左手にあるのはお元気三猿と名付けられた彫刻だ。三猿といえば日光東照宮のものが有名だ。
「見ざる、言わざる、聞かざる」この世の悪いことに関しては無関心を決め込めという有難い助言だがこちらの三猿には「よく見て、よく話し、よく聞け」という真逆の意味が込められている。
結局どっちなんだよと思わ猿を得ないが、大事なのは使いどころだ。……はい。
これらの彫刻は東照宮の彫刻にも携わった、名匠、左甚五郎という彫刻家が手がけている。鮮やかな色彩と生き生きした動物たちの姿は見ていて飽きない。
さて、時刻は15:00近い。ここから最後の宝登山神社がある長瀞まで約30分。御朱印のリミットが迫り始めている。秩父神社に書くことがないのは、焦りを感じていたからである。本当はもっと見るところがあるはずだ。なんなら秩父市街を散策して、あの花聖地巡りなんてのもしたかった。
まだ敗北したわけではないが今回の敗因としては、三峯神社の社務所が開く時間に家を出たことであろう。もっと余裕を持って行くべきだった。三峯神社は遠いんだから。
ともかく、本当に敗北する前に宝登山へと急ぐ。




