「コロナに負けるな!秩父三十四ヶ所巡礼の旅7/34」
秩父ミューズパーク。秩父市と小鹿野市にまたがる山の上の大きな公園だ。ミューズパーク内には様々な施設があり、遊具や展望台を始め、音楽堂や軽食屋などいろいろと至れり尽くせり。
公園内には道路が走っていて、各施設は離れているものの移動はとても楽チンだ。
中でもMAPLE BASEというお店は秩父カエデから採れるメープルシロップをふんだんに使ったお洒落なパンケーキ屋さんで、パンケーキ屋さんに並んでいる若い女性を見て「彼女がこういうの並びたいような人だったら嫌だな」と考える僕もここなら並んでもいいかなと思えるくらいの定休日。
定休日。
「なん……だと……?」
………事前に調べない性格がいつもこうして結果として出ているのに何故調べない。貴様はいつもそうだ。
その手元のスマホはなんだ?ゲームをする機械か?ツイッターで下らん戯言を呟くための機械か?
そうだな。お前にとってスマホとはそういうものだ。
だがなぁ、一般人は調べ物をするんだよ。どこに行くにしたって定休日くらいは把握するものなんだよ。
そして友人と連絡を取ったりするものなんだ。お前、最後に友人と連絡を取ったのはいつだ?仕事は含めるなよ。当然だ。仕事にしたって「了解です」の四文字しか打たないじゃないか。ええ?貴様にその人類の叡智が生み出した機械は必要なのかよ。
「つ、ツイッターでえっちな絵を見るときには必要だろうが!」
ッ……!!
ククク……なるほど正しいな。貴様の本心が見えた。面白い。ならばえっちな絵を見続けるがいい。
スマホとは本来連絡を取ったり調べ物をする機械ではない!えっちな絵を見る!それこそが真の使い方なのだ。それがジョブズの意思なのだ!
えっちな絵を見続けろ!そしていつしか再び私の前に立つことを私は望んでいる!また会おう!フフ……フハハハハハ!!!!!
なんの話でしたっけ。ミューズパーク?そっか。
でも定休日だったんだよ。
仕方がないのでミューズパークから下山。どこか美味しいお店を求めて山奥の大滝方面へ。なんで?秩父札所からどんどん離れてくよ?
そんなの運転してる僕に聞いてくださいよ。
ミューズパークを大滝方面に向けて走っていくと急坂、1.0〜1.5車線くらいの道幅が連続する県道43号皆野荒川線にぶつかる。ゴールの140号線沿いにある鳥居まですごく不安になる田舎っぷりと林道チックな道路が続く。
一部ガードレールがないので谷底まっしぐらという道もございますのに佐川急便さんとの離合を余儀なくされた時は死ぬかと思った。
僕が走った区間は丁度43号の中でも酷い狭路らしい。美の山公園の雲海など秩父の自然を数多く撮影され、お土産のラベルなどに写真が使われる秩父の有名人多鳴鍵氏も険道とYouTubeやTwitterで紹介していた。
まぁ秩父には死道17号大滝幹線があるので大したこたねぇっすわ。
で、なんの話でしたっけ?ミューズパーク?あっ、巡礼中ですわ僕!
道の駅ちちぶで適当に飯を済ませて巡礼路に戻る。適当にっていってももちろん道の駅ちちぶ。みそポテト、わらじカツ丼、おっきりこみ、みそ豚丼と秩父名物を堪能できるぞ。
んで、こっからなんですけど、通行止でいけなかった二番真福寺ですね。
貰った地図によると、どーももう一本真福寺まで上がっていく道があるんですよ。
一応、納経所である光明寺に伺ってみたら「行けますよ」とのことだったんで進んでみたんですね。
さっきも道幅狭小だったんですけど、こっちの道は比較にならないレベルでして。
あれですね。舗装はされてるんですけど、登山…なんですよね。車で登山してるんですよ。
急勾配で急カーブで「いやぁぁぁぁぁ!!なんでこんなところトラック通るんだよ!!」あぁもう。ここにも民家あるし。
そんな感じでハラハラしながら登り着いた二番真福寺。絶景やろ。低山登山したらこんな感じよ。現にここ標高655メートルの高篠山の中腹なので。高尾山より高いんですよみなさん。
ちなみにこの高篠山ですがまんが日本昔話の「わらび長者」というお話の舞台になっています。
真福寺は秩父三十四ヶ所の二番目のお寺でありながら、三十四番目のお寺でもある。
というのも秩父三十四ヵ所は板東三十三ヶ所、西国三十三所と同じく秩父三十三ヵ所であった。
これは観音様が三十三の姿に変わって僕たちを助けてくれるという由来から来ている。
しかし江戸時代に「やっぱりどっか一個足して合わせて百観音にしたらいいじゃん!」ということで一番最後にここ、真福寺が付け加えられたのだ。つまり二番目だけど、三十四番目で、言っちゃえば百番目だ。
次は四番目、金昌寺に向かう。
……まだ四番目か。もう午後もいいとこだぞ。
金昌寺はいきなり大きな草鞋が出迎えてくれる。だいたいこういうとこに草鞋があったら健脚の御祈願じゃい。車だけど、足腰強くしてください。
お寺の中にはものすごい数のお地蔵さんが立っている。これはかつて秩父で大飢饉が起こった後で犠牲者を偲んで奉納されたもので総数1319体。
至る所にお地蔵さんがあるためか僕はこの日お地蔵さんに囲まれる夢を見た。それくらいのインパクトがある。
ここには子育て観音といって授乳中の観音様が観音堂に座す。なんとも優しげな表情、これこそ慈愛である。
金昌寺から五番五歌堂へ。
五歌堂はいきなり観音堂がドカンとあるだけのお寺だ。今までは風情のある庭園の中にお堂があったわけだが、五歌堂は何もない。
見渡す限りの田舎田舎田舎。大滝や小鹿野方面に行けば山村、横瀬方面に行けば農村って感じがする。それにしてもこの武甲山の佇まいよ。見れば見るほど合成っぽい。
基本札所には小坊主がいるのだが、ここはなんかちょっと面白い。手前は目が凜々爛々で奥はもう目が死んでる。おそらく新卒と入社5年目の小坊主だ。新卒の彼の瞳も奥の5年目と同じように何も見えない暗闇を映すことだろう。
納経所の長興寺は歩いていける。写真撮ってなかった。まぁ納経所だしいいね。
時間もないし次へ向かおう。
六番目、卜雲寺。
国道299を南下して左折狭い路地に入っていく。そこを左折するとエラい急勾配と離合不可能な坂道が続いて卜雲寺に至る。
板東、西国は分からないが、この急勾配離合不可能という道は四国でも見られるのでプチ四国巡礼に近いものがある。
卜雲寺は登ってきただけあって、景色がものすごい。見てよこれ。絵になるでしょう?本当に秩父の信仰は武甲山にあるんだなぁって思った。ちなみに登ってもつまらない山だというのは山のボラーでも周知の事実だ。詳しくは「なんで山なんか登ってんですかね」参照。
七番目、法長寺。六番から降りてきて140号にぶつかる前に右折。ここの間はかなり短い。
すでに夕焼けになっていて御朱印締め切り時間も迫っているということで本日分終了。
というか、すっごい疲れた。
歩いてるわけじゃないのに疲れた。体力的な疲労と狭小路が続く精神的な疲労がそこにはあった。八十八ヶ所を2泊3日で回り切った某どうでしょうのすごさを思い知る。あれは正式なお参りでないとはいえ、回るだけでも疲れるんだ。納経読経してたらそれこそ修行以外のなにものでもない。
次回は三月中に回る予定。次回の目標は出来るだけ迷わない。世界の危機を救うのはこの僕だ。




