「戦慄!恐怖の裏秩父探訪!in美の山公園」
オカルトは好きですか?
僕は好きです。嫌いとは言えません。何本か怖い話書いてるし。
じゃあオカルトを信じてますか?
僕はなんとも言えません。そうとしか思えないこともあるのかもしれないけど、大抵気のせいです。少なくとも僕は考えすぎだと思います。
こんな始まりかたで恐縮ですが、今回はコドクトリップ裏秩父編と題して心霊スポットを周ったり周らなかったりしてみます。
ただ、心霊番組や心霊動画みたいな内容にはなりません。オカルトはあくまで二の次で楽しんできました。二の次どころかオカルト全く関係ない。怒らないでください。
その前にまず、僕の中での秩父エリアを示します。というか、今まで秩父市だと思っていた町村です。つまりは秩父市でなくともこの町村は秩父だと思ってたので秩父なんじゃい!という無茶苦茶な書き方をされる町村がこちら。
長瀞町、皆野町、東秩父村、横瀬町、小鹿野町。お前ら全員秩父な。
はい、ということで合併完了。
ちなみに東秩父村以外は埼玉県的には公式で秩父エリアになっています。東秩父村は秩父という名前がついてるくせに秩父エリアにはなっていません。比企郡エリアです。可哀想なので僕は秩父エリアに入れてあげます。
ちなみに前にも言ったような気がしますが、東秩父村は地味に埼玉県唯一の村です。秩父市との合併を拒んだために秩父エリアから除外されました。嘘です。
そんなこんなで始まる裏秩父。
僕はというと11月3日と4日の天気をすごく気にしていた。
予報では3日夜に雨、4日朝から晴れ。なんだかいまいちな天気ですが「これがいい。この夜の雨から晴れってのがいいんじゃあないか」ってな感じでこの日を待ちわびていた。その一週間前にも似たような天気だったのだが行く機会を逃した。まさか一週間後に絶好のタイミングが訪れるとは……。
最初に言いたいのは僕が心霊スポットを訪れるために秩父を訪れたわけじゃあないってことだ。
4日、午前3時起床。午前3時半、出発。
草木も眠る丑三つ時とは言うが、僕はこの時間に家を出て出勤することもしばしばある。今更なんだと言うのだ。
車を走らせ2時間程、皆野町にある美の山公園に到着。美の山公園は本来蓑山という山であり、公園らしさはない。ハイキングコースを徒歩で登ることも、頂上まで車で行くこともできる。
日本の夜景100景に選ばれるほど、秩父市街を望む展望台からの景色は凄まじい。
これは実際に半月前くらいに美の山公園に赴いて夜景を撮ったものである。……なんかごめんね。すごい雨降ってたの。スマホ撮影だから夜景弱いし。
さて、そんな美の山公園であるが心霊スポットとしても有名らしい。
美の山公園頂上の第一駐車場ではかつて練炭による集団自殺があり、熊谷男女4人殺傷事件では死体遺棄現場となった。いずれも2003年、04年と昔の話ではない。
児玉町の新井さん家や松本市の人肉館など、有名だけれどいわくがハッキリしない心霊スポットとは違い、こちらはしっかりといわくがある。
体験談を見ていると、人影が……とか車に手形が……とかそんな感じ。
現在は秩父市側からの入口は台風の影響で通行止めとなっているので、皆野町側の入り口から入っていく。
先に述べたことだが、公園っぽさはない。せいぜい頂上が広く整備されているくらいだ。街灯は一つもないので夜景を見る際はライトの携行を推奨する。
頂上まではまさに雰囲気抜群の山道だ。ハイビームで照らされた前方に人影が出てきたら絶叫するレベル。鬱蒼とした樹林が続く。
午前5時。いまだに暗い頂上の駐車場だったが、ほぼ満車だった。やはり同じことを考えている人は多い。
前回夜景を見に行った際は自分の車以外に誰もいなかったので「夜景上手く撮れないなぁ」とかやってるわけもなく「夜景……はい撮った!撮った!もう帰ろ!怖い!」となってあのザマだ。
今回はそういう意味で怖さというものはなかった。むしろ予想より人が多かった。
さて、僕や早朝の美の山公園に集った人たちは何が目当てだったのでしょうか?
ヒントはこちら。
・雨の夜から晴れの朝が良い。
・日も昇らないくらいの早朝が良い。
・公式サイト曰く11月が最も条件として適している。
正解はこちら。
どん。雲海である。考える間も与えん。
秩父は山に囲まれた盆地であり、風も吹きにくく、山と市街地の温度差もあり、標高が580メートルと大して高くなくとも、霧による雲海が非常に発生しやすいのだ。行った事ない僕も「明日絶対雲海見れるじゃん」と予測を立て、で、実際に雲海が見れた。そのくらい発生しやすい。
雲海をカメラに収めようと早朝から展望台にはズラっと人が並んでいた。とりあえず、撮れない事はないので三脚を立て、値段だけなら一級品のカメラをセット。ぼんやりと明けていく朝、波打つ雲の海を何枚も撮っていく。
こちら側の展望台は、秩父多摩甲斐山域を遠くに、雲の下は秩父市街と夜景を撮るならメインの展望台となり、三階建てになっている。
途中で朝日が昇る側の展望台へ移動。こちらは三脚勢が少なく、ファミリー勢が多かった。
こちらは山の標高も低いため、ほとんど雲の海だ。この下ではまだ多くの人が起きたり寝てたりすると思うとなんだか特別な気分にもなる。
白い息を吐きながらご来光を待つ。徐々に明るくなり始める東の空。展望台がざわめき出す。
おっ。
ん……?
あれぇ……?
残念、ご来光ならず。とりあえず値段だけなら一般的なカメラの中では一級品なので雲の中の太陽を収める。
ええやん。スマホだけだったら大層残念な結果に終わっていた。
朝日が昇ると急に温度上昇が始まるので雲海がブレるブレる。瞬く間に美の山公園頂上は霧中と化した。
雲海の時間終了。カメラを持った人達が撤退を始めていく。
時刻はまだ6時過ぎ。これで帰って寝ても良いのだが、せっかくここまで来たのだ。どうせなら色んなとこ寄ろう。
そうだ!コドクトリップで裏秩父編と称して心霊スポット周る気だったじゃん!このまま秩父に行こう!
というわけでここから企画が開始した。
しかし、この時間からだと少し早い気もする。鳥のさえずりを耳に入れながら車中で仮眠。それができないのが僕だ。
極端に眠くない限り、完全に横になれないと眠れないのだ。パジェロミニの狭い車内では完全に横になる事は不可能。時間だけが過ぎていく。
写真を確認したり、ダメ元で目をつぶったり。しかし昇り始めた朝日が眩しすぎる。
外に出てタバコを吸う。
もう一回展望台に出てみる。
霧中。景色はない。
とりあえず、8時ごろに出発すれば良い時間になるだろう。もう一度車中に戻ってと熊のように落ち着かない行動を繰り返す。
7時過ぎ、ふとフロントガラスに目をやるとすっかり明けた朝の景色があった。
これってもしかして……。
カメラを携え、展望台へと戻っていく。そこから見えた景色に、つくづく帰らずにいて良かったと思った。
濃紺の空から、水色の空へ。紫がかった雲は、白い雲へと色を変え、もう一つの雲海の姿を見せてくれた。
三脚勢は一人、二人くらいしかおらず、のびのびとカメラに雲海を収める。
神秘的な暁の陽光は、開放感に溢れた朝の日差しへ。ここぞとばかりに写真を撮る。
進むばかりじゃダメだ。たまには待ってみるもんだ。急がば回れとも言うじゃないか。別に待ってたわけじゃないが。
そんなこんなでたくさんの雲海が撮れた僕は秩父の方へと足を進めていく。またいつもの140号線である。名誉秩父市民にしてくれていいよ。




