第十一話「日光社寺を巡って、あの頃に戻りたい。in三仏堂」
突然始めた登山からなんで山なんか登ってんですかねという小説を書き始め、登山の経験から山岳信仰に興味を持ち始め、御朱印巡りを始めた。
とは言ってもこのコドクトリップは御朱印巡りエッセイのつもりで始めたわけではない。もっとこう、旅っぽいのが書きたい。当初の予定では群馬県は六合村という美し村に選定された村を訪れようとか思ってたのに、頭の中は山岳信仰の事でいっぱいだ。
さて、そんな感じで意気揚々と始めたコドクトリップであるが、もう今回はマジで書きたくない。情報量が多すぎる。でも書かないと調べない。自分にとってこのエッセイは寺社について調べなくてはいけないという一つの宿題のようなものである。
秩父三社巡りの際にチラッと言ったのだが、今回は日光東照宮へと参拝した。
ご存知徳川家康公を祀る神社であり、境内には寺もある。関東近郊の方には修学旅行の場としても有名なのではないだろうか。かくいう僕も小学校で日光を訪れている。ただ華厳の滝や竜頭ノ滝は覚えているのに他の記憶は全くない。東照宮はなんとなく覚えているが、道中だとか全く覚えていない。
あの頃の軌跡を辿るが如く、朝も早よから行ってきた。
東北道宇都宮日光ICで降りるとそこがすぐ日光というわけではない。そこから先は有料道路である日光宇都宮道路を通って、観光地付近までぶっ飛ばせるが、ICで降りて下道で行くというのも悪くない選択だ。
ここには日光街道という道があり、歴史を感じさせる駅前や、杉並木の木漏れ日漏れる道路を走ったりとたかだか数十分のロスでいい景色とドライブが楽しめる。
僕は右折と直進を間違えて日光街道に至った。僕のドライブではよくある話だ。道を結構な頻度で間違える。
まっすぐな道を走ると東照宮を有する世界遺産、日光の社寺に突き当たる。
さて、日光東照宮は今や珍しい神仏習合が残る社寺でもある。神仏習合とは、神道をメインとした日本に仏教が伝来した際、神も仏も一緒くたにしてしまおうという考えから、神社の中に寺を作る神宮寺や、仏が神に姿を変えた本地垂迹という考えも生まれ、1000年以上の歴史を持った神道と仏教の夢のコラボレーションである。硬い文章書くのは嫌いだ。
そもそも神道とは宗教とは言いがたく、日本人の「全てのものに神が宿る」という考えから生まれたアニミズムである。そこで仏といった偶像のある宗教は受け入れやすかったのだろう。
しかし明治時代に入るとこれまでの流れを断ち切って神仏分離令という神道と仏教を完全に分かつ運動が盛んになった。これは当時の政府が既に形骸化した天皇が政治のトップに立たせるため、天皇家に所縁の深い神道を国教化させてさらに強い権力を持たせようという政策であった。
これによって長い歴史を持つ神仏習合の中で建立された神宮寺や仏、僧侶は排斥され数多くの寺や石仏が失われたという。すごいもったいない。
そんな神仏分離令の害を受ける事なく、東照宮付近の社寺は出来るだけ昔の形を残しつつ今もそこにある。
なぜ、神仏分離令があっても東照宮はそれを免れたのか。
……ちょっと待ってね。
うわぁぁ!!嫌だ!!日本史嫌いなんだ!!つまんなかったんだもん!!授業!!漢字嫌い!!すごく嫌い!!勉強嫌い!!なんで大人になっても勉強しなきゃいけないの!?馬鹿なの!?馬鹿だよ!!
馬鹿なので調べてみてもよく分からない。
要約すると、と聞こえはいいが単純に自分が触れてみて分かる範囲でここに記載するに過ぎない。以下、小学生でも分かる東照宮が神仏分離令を免れた経緯である。
結論から言うと、東照宮は神仏分離令を免れなかった。すげぇ。一文で矛盾したよこいつ。
それは、現在の日光の社寺を二荒山神社、東照宮、輪王寺の二社一寺に境界を引いて分けるという結論に至る。
そもそも日光社寺の歴史は長く、境内も非常に広い中で、数多くの重要文化財や社寺が健在している。それを移転させるということとなれば東照宮そのものの消失もあり得ると日光社寺側が半ば脅しじみたことを政府に告げた。
もちろん政府としてはいずれ完全な神仏分離も行いたいのだが、重要な文化財の移転ともなると莫大な資金を費やさなくてはいけない。そこで二社一寺の境界を引いてゆくゆくは完全な神仏分離を目指そうとしたのだが、その途中で重要文化財を保護しようという動きや国外から日光の景観の素晴らしさを認められて現在も神社のすぐ近くにお寺があるという状況に至っている。
つまり僕たちが見るものは完全なる神仏習合ではなく、神仏習合の名残と言った方がいいかもしれない。
とはいえ日光東照宮の社寺の関係はとても珍しい位置付けにあると思う。
さて、そんな日光の社寺の入り口には一人の僧侶の像が立っている。日光開山の僧、勝道上人である。
奈良時代から平安時代にかけて生涯を通じて日光の開山に力を注いだ彼は、二荒山(現在の男体山)、中禅寺湖、華厳の滝など数々の有名な景勝地を発見し、日光を聖域として確立させた。
この二荒山の名称がやがて二荒となり現在の日光の名称に繋がっていく。
ぼかぁね。こんな記事書きたくないよ。自転車三峯の旅くらいのさ「なぁに馬鹿なことやってんだこいつは」って思われるくらいのさ、そういう記事を書きたいのよ。三峯神社に着くまで何文字費やしたの?何時間費やしたの?どんな発見があったの?馬鹿なの?死ぬの?くらいのさ。
勝道上人の像なんてさ、入り口も入り口だよ?入り口まで2000文字ってさ。えぇ?で、その間に僕がやったことなんてさ。運転して歩いただけだよ?えぇ?
でもさ、僕がこれを書くことによってさ。読んでる人のうちの一人でもさ、「あぁ、ここにはこんな歴史があったのか」ってさなってくれたら嬉しいのよ。
でもそんなことはまずあり得ないからさ。とりあえずは僕が日光について見識を得てさ、んで回りきれなかったところとかさ、もっかい見てこれるようなさ、そっから始めんのよ。
だからやるのよ。そうじゃなきゃ書かないよ。
とりあえず行ってみましょう三仏堂。
三仏堂は二社一寺のうちの一寺、輪王寺にあるお堂である。2019年4月に大規模な改修工事が終わり、お堂の中はピッカピカ。中でも希少な国産の漆を使った柱は新しくもあり、かといって新鮮さを感じさせない重厚感のある雰囲気だ。
あっ、堂内写真撮影禁止です。
三仏堂は名前の通り、三人の仏様を堂内に有する。クワトロ大尉も大喜びの真っ金金の巨大な仏様は中央に阿弥陀如来、右手に千手観音、左手に馬頭観音の並び。君ちょくちょくガンダムネタ挟むね。
これは本当に見に行って欲しいのだが、巨大な仏様の佇まいは実に圧巻だ。
そして流石は日光の社寺、お坊さんは定期的に観光客向けにお話をしてくれている。
この三人の仏様、実は家族なのだそう。薬師如来がお母さん、千手観音がお父さん、馬頭観音が子供である。中央にお母さんがいるということは、家族の中心であるということ。
昔の日本の考え方からすると大黒柱は父親というのが一般的だが、ここでは「母親が家族の中心にいることで家族のバランスがとれる」という教えになっている。
現在の日本ではやはり母親が中心の家庭も多いだろう。そうでなくともやはり母親という存在は家族の中心であるとは思う。家族が生きていくにはやはりお母さんの仕事というものは非常に重要なものである。
さて、ここでお坊さんが干支と仏様について語ってくれる。
「この中に戌年、猪年生まれの方は?」
24歳厄年、無言で挙手。
「ありがとうございます。実は干支と仏様には深い関わりがあって、今手を挙げられた方は生涯を通して、中央におられます阿弥陀如来様が守ってくださいます」
そう、誰しも生まれた時点でもう深い関わりを持つ仏様がいるということになる。
以下、干支とその年に生まれた人を守ってくれる仏様である。
子年→千手観音
丑・虎年→虚空蔵菩薩
卯年→文殊菩薩
辰・巳年→普賢菩薩
午年→勢至菩薩
未・申→大日如来
酉→不動明王
戌・猪→阿弥陀如来
お寺などのお詣りにはこちらを参考にすると、普段から自分を守ってくださる仏様にお詣りしやすいのではないだろうか。
ここ、輪王寺にはもちろん全ての仏様がいらっしゃる。是非とも日頃の感謝を告げに来て欲しい。
また、ここ三仏堂ではお守りも販売している。それぞれの干支のお守りだ。
神社のお守りは通常一年間、所持したお守りが効果を発揮すると言われている。一年間を守り通してくれたお守りは神社に返してお焚き上げという形で処理される。
しかし、仏様は生涯守ってくれる。
ってことはつまり、お焚き上げしなくてもええんや!神社に返す必要もない!常日頃から身につけて、死ぬまで返さなくてええんや!じゃあ神社のお守りいらんやん!!
そして生涯を守り通してくれるこのお守りはなんとたったの3000円!!いいですか!?3000円ですよ!!
もう神社に行ってお守りを買って、一年後にまた返す必要はございません!!めんどくさがりなそこのあなた!!これは是非購入をお勧めします!!この機を逃す手はありませんよ!!ただいまから1時間!コールセンターの人数を増やしてお待ちしております!!
ってなことをお坊さんが言い始める。ちなみに通信販売は受け付けてない。当たり前だ。
ちなみに僕は買ってない。御朱印もらうだけで結構なお値段になる。どういうことかというと、日光の二社一寺でもらえる御朱印がこちらになります。
三仏堂、護摩堂、薬師堂、大猷院、常行堂、黒門、東照宮、東照宮奥宮、二荒山神社。
ちなみに二荒山神社では頼めば摂社の御朱印が17種類……って多すぎやしないかね!!
17種類は貰わないとしても結構な数になる。そして僕はこの沢山あるお堂や神社について調べなくてはならない。もう秩父に行きたい。
さぁて、日光東照宮編、パート幾つになるでしょうね。旅よりも長い執筆の旅が今ここに始まります。




