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コドクトリップ  作者: 上野羽美
話題沸騰中、秩父三社巡り
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第十話「誰が何と言おうと話題沸騰中!秩父三社巡りで夢を叶えよう!in宝登山神社」

 140号線を東に進む。秩父神社から宝登山神社はそこそこ近い。140号線沿いに大きな鳥居が見えたら左折だ。


 さて、言っていいものなのかどうか分からないが僕は一度ここへ来て失敗している。

 あれは確か武甲山に登った帰り。まだ日も高く、元気を持て余していたので宝登山に登ろうと思いここへ向かった。

 しかし鳥居をくぐった先にあるいくつかの駐車場は見事に満車になっていた。というのもこちらの駐車場、売店などが管理している駐車場なので駐車スペースがほとんどない。昼時だったので利用する人も多かったのだろう。宝登山神社の手前にあるロータリーでぐるりと回って帰ってしまったのだ。


 違う、そうじゃない。


 ロータリーをぐるりと回る前に左手に続く坂道に入っていれば良かったのだ。

 坂道をまっすぐ登って行くとそこに宝登山ロープウェイ駐車場という広い駐車場がある。余程の混雑でなければ満車になることはないだろう。


 どうして言っていいものなのかどうか分からないのか、少しばかり長い話になるが説明したい。


 最近山梨県の昇仙峡では駐車場トラブルが問題になっている。鹿島神宮でも言った、個人の経営するタイプの有料駐車場だ。店側としてはなんとしてもそちらに招きたいのだろう。車道に出て手招きをする年配の経営者は観光地でもよく見るが、この昇仙峡もまた、奥に利用しやすい公共駐車場がある。しかしそこで「この先駐車場はないよ」だとか、道のど真ん中に立って通せんぼされ足止めを喰らい、目指していたはずの公共駐車場に辿り着けないというケースだ。

 そして「何かを買えば駐車場無料」という宣伝文句で観光客に(あくまでネットの書き込みによる情報だが)半ば強制的に品を買わせるような事が頻繁に起こり、今や県警まで動き出すようになってしまった。何かを買ったら駐車料金より高くつくのは目に見えていることである。


 僕の意見としては「最初から駐車料金取ってくれ」だ。何かを買えば……などと言わずに、どうせタダでは止められないのだから駐車料金の書いた看板を設置して買わない客は買わない客なのだと、土産の購買を半ば強要するものではない。

 だいたい駐車スペースのある店は観光地にほど近い場所にあるのでお金を取ろうったって「ケチな店だ」とは思わないはずだ。


 それに土産を買わせたところで大体の客が「やむをえず安い品物を買わされた」という気持ちにしかならない。思い出が後悔に変わってしまう前に「せっかく来たし何か買って行こうかな」と自発的に買ってもらった方が良い口コミも広がるのではないか。少なくとも自発的に購入したものだから悪い口コミは広がらないはずだ。


 どうしても観光業はその場に根付いた人たちの商売なので高齢化も激しくネットによる口コミの拡散の力を理解していないような気がする。故にこうした駐車場に停めさせるという強引な商売はあちこちに存在する。


 だが、一方で人口減少が叫ばれる中での観光業が利益を得るのに必死なのも重々承知だ。出来れば土産物屋さんからでも観光地を賑わせてあげたい。

 だから公共駐車場の存在を言っていいものなのか悩む。僕だったら迷わずそっちを取るからだ。


以上。


 ちなみに公共交通機関勢も秩父神社ほどではないが長瀞駅から歩いて行ける距離なので安心だ。


挿絵(By みてみん)


 とりあえずロープウェイの時間もあるので先に宝登山に登って奥宮を参拝することにした。

 ロープウェイ駅には……って!みなのちゃん!みなのちゃんじゃないか!!


挿絵(By みてみん)


 いや、確かに駅だけどさぁ!でもここ秩父鉄道じゃないよ!?っていうかもう色褪せちゃってまぁ……。


 そういえばみなのちゃんは山と花が好きで好きな花はロウバイだったね!


 そう、ここ宝登山山頂にはロウバイ園や小動物園、奥宮など見所が多々存在する。ただ一つ残念なのはロウバイの時期じゃないってことだ。


 ロープウェイは二台あってそれらが登ったり下ったりを繰り返す。ばんび号ともんきー号があるのでやって来たもんきー号へ乗った。


 宝登山山頂にアクセスする手段は二つ。楽々ロープウェイか1時間ほどのハイキングをするかのどちらかだ。本当は自分の足で登ってこそのピークだが、時間がなかった。


 宝登山は昔、火を止める山と書いて火止山の名で呼ばれていた。

 それはそれは大昔、富山からヤマトタケルノミコトがこの山に来た時、宝登山が山火事になってしまった。するとどこからともなく狼の群れが現れて火を消し去ったのだ。狼たちは無事に火を消し去るとそのまま山頂まで案内してくれた。山頂に着いたときには狼の姿はなく、ヤマトタケルはきっと神様のご眷属に違いないと感心して火を止める山、火止山の名前をつけ、狼たちを遣わしてくださったと思われる山の神様、大山祗神(おおやまづみのかみ)、また神格化した狼である大口真神、そして神武天皇がこの山の御祭神となった。


 ロープウェイに乗ると添乗員のお姉さんが話してくれます。


 そう、ここも御眷属が狼なんです。なので三峯神社と同じく狛犬様ならぬお犬様がいます。わんわん。

やはりここいら一帯は狼信仰が盛んだったことが伺える。近くでいうと寄居にある釜山神社、青梅にある(近くはないな)御岳山頂上の神社も神格化した狼である大口真神が御祭神となっている。


 秩父多摩甲斐国立公園付近には集落があって、農村と山と害獣から農作物を守ってくれる狼との密接な関わりがあったのだなぁとしみじみ思う。つくづく彼らを絶滅に追い込んだ人間が憎らしいよ。まぁ現在まで狼が生き残っていたとして、クマよりも被害が大きそうだ。スカイリムでも奴らに襲われまくるし。


 乱獲がなくとも人口増加によって絶滅危惧種くらいには追い込まれていただろう。


挿絵(By みてみん)


 ロープウェイ山頂駅には家族連れや老夫婦などほんわかした面々がいた。男は一人、その中で奥宮を目指す。十分ほどなだらかな起伏を歩いた先にある林の中、それは奥宮らしい佇まいでそこにある。


挿絵(By みてみん)


 奥宮をお参り。二礼二拍一礼。わんわん。なんか、奥宮の写真撮るの忘れてた。お犬様に夢中になってた。可愛くないかこれ。


挿絵(By みてみん)


 ついでに歩いて数分のところにピークがあるので踏んでくる。登頂!ほぼ文明の利器を使いました!

15:30のロープウェイで山頂へ。16:00のロープウェイ山麓駅へ。滞在時間30分。本当はもっと時間を費やせる。

 冬にはロウバイ、春には桜、夏には新緑、秋には紅葉と四季折々の姿を見せる山だ。しかし今は夏と秋の間。若干色づき始めている木はなんとも微妙な感じだ。秋が深まったらもう一度来よう。


挿絵(By みてみん)


 ロープウェイ駅で降りて宝登山神社へと向かう。

 鳥居は三峯神社から端っこ二つの鳥居を引いたみたいな鳥居だ。御祭神が近いからなのかなんなのか。ちなみに大山祗神はイザナギ、イザナミの子供の一人である。


 さっそく一礼して本殿へ。


挿絵(By みてみん)


 天気も天気だし、時間帯も時間帯なので人も少なく非常に静謐な空気が漂っている。


 宝登山神社というと、すごく偏見なのだが、長瀞っていう微妙なところにあるわ(長瀞の皆さんごめんなさい)ハイキングレベルで登れる山だわなんだわであまり大したことないんだろうと思っていた。


 しかしこれを見よ。


挿絵(By みてみん)


 えぇ……彫刻がガチじゃん……。うねる龍、金色のあしらい。どう考えても大したことある。


 三峯神社でだいたい金を使ったので買っては来なかったのだが、こちらにも狼をモチーフにしたお守りがある。しかし狼信仰の中心、三峯神社とは違って数は少なく、デザインも実にらしいものだった。

 プライドまでかなぐり捨てたような三峯神社とは違うのだよ!この商業主義め!!

 でも僕はこれを書いてる時点で次回訪れた時はTシャツとぬいぐるみと氣守りを買いにまた近いうちに訪れようと思っている。僕は「待て」ができない。プライドは最初からない。いじめっ子に「お前にはプライドってものがないのか」と言われたくらいにない。誰の尻でも舐めてやるよ。ぺろぺろ。


挿絵(By みてみん)


 そしてどうにかギリギリ御朱印ももらえたのである。これにて秩父三社巡り完ッ!


 あっさりしすぎたのでまとめに入ろう。


 御朱印とは寺社に参拝した証としてもらえるものである。近年では御朱印ブームが炸裂して、世代を問わず御朱印巡りが盛んだ。

 ただ、どこの寺社も言うようにスタンプラリーとはまた別物であることは理解しておきたい。確かにこのブームにあやかって、ユニークなデザインの御朱印や期間限定御朱印など寺社側も力を入れていて欲しくなる気持ちも分かる。


 だが令和元年初日、明治神宮ではその日だけもらえる特別な御朱印に長蛇の列ができて、トラブルや挙句の果てには御朱印の転売などもあった。これでは問題だと思う。


 断っておくが僕はスタンプラリー感覚で御朱印を集めることは否定しない。結果として寺社を訪れるきっかけになり、寺社もお布施としてお金をもらえ、それで寺社が栄えるのなら悪いことは特にないだろう。


 ただ、これが明治神宮のようにトラブルや転売に繋がってはいけない。そうしないために僕たちは御朱印がスタンプラリーではなく、寺社を参拝した人生における大切な証であることを根底でもいいから理解しておくべきなのだ。


 なおかつ、その寺社について参拝前や参拝中に色々と知っておくのがベストだ。参拝をして、御朱印をもらってそれで終わりでもいいのだが、自分がどんな神様や仏様の恩恵を日頃から受け、それに感謝し、祈願するのか。これを理解しているだけでも寺社への参拝は非常に有意義なものとなる。

 それで自分と深い関わりを持っていたり、自分の興味が湧いた神仏に出会えたならさらに寺社巡りが面白くなってくる。


 僕も今、秩父奥多摩付近の狼信仰が気になっている。両神山神社や武蔵御嶽神社、猪狩神社などを巡って狼信仰により深く触れてみたいと考えているところだ。まぁ、言わなくても分かるわな。


 日本の宗教観は非常に広く緩やかなものだ。明治時代に入るまでは神仏習合という考えが当たり前で神道も仏教もごっちゃごちゃにしていた。今ではクリスマスやハロウィンなど他国の宗教の記念日まで祝っている。

 これは日本古来から続く「すべてのものに神様が宿る」という考えのおかげだろう。


 だから今ここでありとあらゆるものに感謝を捧げるために御朱印巡りをしてみてはどうか。

 なん山でも言ったことだが現代人は狭い社会で生きすぎる。一度顔をあげて遠くの景色を見るべきだ。そこに心の平穏はきっとあるはずなのだから。

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