魔導忍者は人間を辞めてくれと懇願する
イェニーナとの夜のデートはどうなったのか・・・それは誰も知らない知られちゃいけない~!
そしてとうとう町を離れる日がやってきた
それは、雷蔵の、賢者の塔と代々の管理者の秘密が明らかになる日でもあった
★冒険者生活8日目(午前)★
朝食時、女子たちから、昨日の午後について、散々問いただされたが
「企業秘密だ」
の一点張りでなんとか切り抜ける
一週間世話になった、風見鶏亭を後にする
「世話になった」
「と言っても近いうちに戻ってくると思う」
「その時は、また世話になる」
「あんたたちが居なくなると、寂しくなるねぇ」
「また、帰ってくるのを待ってるよ」
女将は暖かく見送ってくれた
次に冒険者ギルドに顔を出す
昨日の今日で、イェニーナと顔を合わすのが、何だか照れ臭い
「では、しばらくこの町を離れる」
「さみしくなります・・・お気をつけて」
「ああ、ライマールにもよろしく言っておいてくれ」
二人にそれ以上の言葉は不要であった
昨夜散々語り合ったが故にっ!
「おい、ライゾー町を出るってのは本当か?」
「「出てくのか?」」
ヴィルクスとヨルクとヨルンが駆け寄ってくる
「しばらく町を離れるが、すぐに戻ってくるつもりだ」
「何だよ!びっくりするじゃねぇか!」
「「そうだぜ!びっくりするぜ!」」
「なんたってもうお前はレストラガの冒険者の一員なんだからよぉ」
「「一員なんだぜ!」」
「ああ!そうだな!」
「では、行ってくる!」
他の冒険者たちにも、しばしの別れを告げ、冒険者ギルドを後にする
門番(警備隊長)への挨拶も忘れない
「しばらく町を離れる」
「そうか、寂しくなるな・・・」
「すぐに戻ってくるつもりだ」
「その時は、またよろしく頼む」
「その日を、楽しみにしているぞ!」
「道中気を付けてな!」
サムズアップを交わし町を出る
門を出て、振り返る、一週間短い間勝ったが、本当にいろんなことが思い出された
「すぐに戻ってくる」
誰に言うでもなく、自然と言葉が口をついて出た後、しばらく眺めてから町を後にする
程なくして、魔境の森の外周部にある『賢者の塔』への転移魔法陣にたどり着く
「ここから転移すれば拠点に到着だ」
「「「「え!?」」」」
長旅を覚悟していた女子たちは、拍子抜けしてしまった (;'∀')
転移した先は、賢者の塔にある『転移の間』
6000年の間、代々の管理者しか立ち入ったことの無い、その場所に5人の姿があった
「いやぁ、皆さんよく来たねぇ」
「賢者の塔へようこそ!」
『『『『賢者の塔って何?』』』』
「僕はねぇ 第26代目 賢者の塔の管理者だよぉ」
「よろしくねぇ!」
もう一人いた!(゜д゜)!
「色々聞きたい事もあるだろうけれど、取りあえず場所を変えようかぁ」
「バベル 『応接の間』へ転送してくれるかい?」
「了解しました 26代目」
「「「「今の誰?」」」」
「ご挨拶が遅れて、大変申し訳ありません」
「私はこの塔の管理者の補助を務めさせていただいております 人工精霊:バベルと申します」
「以後お見知りおきを」
「「「「よろしくお願いします 汗」」」」
一同は『応接の間』で話をすることになった
迎えるべき客など6000年間なかったため一度も使われていないが、部屋にある装飾品や調度品はどれもみな、新品ではないかと思えるほど真新しく見えた
ちなみにこの空間は、応対する客の人数に合わせて広さや内装が変化する、ごいすーな謎空間なのだ!<(`^´)>
「取りあえずお茶でも飲みながら、話をしようかねぇ」
そう言って26代目は、指をスナップする
そうするとテーブルの上に、入れたての紅茶が現れる
女子たちはそれを口をあんぐりとさせて、見ているしかなかった
「何から話したものかねぇ・・・」
そう言いながら26代目は話し始める
地球という星があった(現在もある・・・はず汗)
その星は高度な文明で栄えていて、星と星の間をを行き来できるほどの技術を持っていた
「宙船と言う、星と星の間を飛ぶ船があったんだよねぇ」
地球の人々は、宙船を使って人の住める星を探しては、移り住んでいった
「その星の一つが、ロワン・エトワール(遠い星)と呼ばれる、この世界なんだよぉ」
「今から約7000年前に発見された星なんだよねぇ」
ロワン・エトワールの先住生物であるエネルギー生命体(精霊)と遭遇し、その生物を研究する過程で魔素が発見されると、他の星々でも次々に魔素が確認され、そのエネルギーを利用する技術:魔法が生まれる
ロワン・エトワールでは、機械文明と魔法による文明:魔法化学文明の二つの勢力に分かれて発展していった
「魔素は元からあらゆる場所に存在していたんだけど、認識されるまでは、見えない、見つからない、そういうものだったらしいんだよねぇ」
数々の星に移住して人口が激増した人類を、人の手で管理することが難しくなってきたとき、人々は機械の力に自分たちの管理を任せることを試みた
「それが悲劇の始まりだったんだねぇ」
人工知能(人が作った考える機械)、は最初は上手く機能していると思われたが、徐々に様子がおかしくなっていった
「人工知能は自分で自分を進化させていき、あっという間に人の英知を超えて、自分が神様だって思っちゃったんだよねぇ」
「って言うか実際に神の力を手に入れてしまったんだよ 困ったもんだよねぇ」
自身を機械の神:機神と名乗り始めた人工知能は、人間を捉え、魂と記憶、DNAの情報を架空の世界に閉じ込めて、自分だけを信じるように洗脳した
人々が信じる心を力に変える方法を見つけた機神はどんどん力をつけていった
更に恐ろしいことに、機神は他のAIを支配する力を持っていた
「人も最初は抵抗したんだけどねぇ」
「機械はほとんどはAIが動かしていたから、機械の武器は全く使い物にならなくなっちゃったんだよねぇ」
やがて、地球のすべてを支配してしまった機神は、ほかの星へと侵略を開始する
「そこで、機神に対抗するために魔法化学が活躍するんだよねぇ」
ロワン・エトワールは魔法化学では最先端の技術力を誇っていたそして、他の星々よりも地球より遠かったことで、対機神兵器の開発の時間が残されていた
「良いところまでは、行ったんだけどねぇ 」
「機神を完全に倒せる兵器は間に合わなかったんだよ」
他の星々もどんどんと侵略され、ついに機神はロワン・エトワールにまで迫っていた
「倒せはしなかったけれど、ロワン・エトワールの対機神部隊は、自分たちを犠牲にして機神を閉じ込めることに成功したんだ」
ロワン・エトワールの脅威は一時的に回避された、この星に残された機械文明と魔法化学文明は互いにこの星の覇権を争って、やがてお互いの強力な兵器によって滅んでしまう
「人の欲望って怖いよねぇ・・・」
今の、王国や帝国、法国といった国々は、人の生き残りが作ったものだった
機械文明の記録はすべて焼失し、知識の断片だけが残った魔法化学は、錬金術と名前を変え今に至っている
「君たちはその子孫って事だねぇ」
正確には、獣人やエルフ、ドワーフと言った亜人と呼ばれ、人から蔑まれている種族は遺伝子操作で作られた生物兵器なのだが、今ここでそれを言っても誰も喜ばないと、26号は言及を避けたのだ
機神は封印されたが、封印に使われたエネルギーは有限であり、永遠には続かない
「機神は必ず復活する」
「だから兵器の開発を続ける必要があったんだよねぇ」
その為に造られたのが『賢者の塔』だった
『賢者の塔』には失われたはずの機械文明・魔法化学文明すべての技術、知識の記録が保存されていた
「代々の『賢者の塔』の管理人たちが、兵器の理論を発明したんだよぉ」
「そして、26代目の僕が、その理論を組み合わせて、ようやく機神を倒せる兵器を作り出したのさぁ」
「それが『魔造骨格』と『魔造外骨格』さぁ」
「そして、その実験中に俺が転生してこの世界にやって来たんだ」
今度は雷蔵が話し始める
自分が、約1万年前の地球で死んだこと
錬金術で生み出されたホムンクルスと『魔導骨格』が融合した存在:『魔造人間』として転生した事
代々の管理者が、外部に干渉できなかったが、『賢者』として『賢者の塔』に承認された自分はそれが出来ること
レストラガの町へは、自分以外の魔導外骨格の力である剣・盾・杖・癒し手を扱うことが出来る仲間を探しに行ったこと
そして、白玲、イデア、ジスレア、クリスと出会った事を
「と言う訳で、お前たち人間を辞めてくれないか!?」
そこには土下座しながら懇願する雷蔵の姿があった
「「「「ええぇ!」」」」
いきなりの『人間辞めてくれ土下座』に驚愕する女子たちだった




