表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

 それから僕たちは小学校を卒業し、中学に上がった。

 僕はまた哲司と同じクラスになった。

 クラスの大半は知ってる顔だったが、他の小学校から来た子も混じっていて、そこに西野川遥にしのかわはるかという名前の女の子がいた事に、僕は胸騒ぎを覚えた。

 哲司も彼女を特別にじっくりと見ていたから、僕と同じ様子だった。

 まさかと思ったが、彼女はあの西野川教頭の孫だと言う事がすぐに耳に入った。

 僕は教室の隅からこっそりと遥を観察する。

 遥はかわいいというより、すっきりと整った顔つきで美しいという言葉の方が似合う子だった。

 でも、口数少なく、あまり笑わず、どこか冷たい雰囲気が漂っていた。

 それは西野川の血を受け継いでいるからなんだろうか。

 でも僕には、捕らわれの身のお姫様のように、悲しげで高貴な存在に見えた。

 隠れて見ていたけど、不意に目が合い、ぼくは慌てて目をそらした。

 その一瞬でも、遥の瞳はうつろに哀しげだったように思う。

 僕はその瞳に憑りつかれたように遥を意識するようになり、さりげなさを装って彼女を目で追うようになった。

 彼女を見るのはスリリングで、いつも心臓がドキドキと高鳴る。

 こっそり見てることがばれないか、いつもハラハラしていた。

 そのうち僕はある事実を知った。

 西野川が猫を蹴ったニュースは近辺の学校でも広がっていて、その孫である遥は関係ないのに、その代償だいしょうを払うようにクラスでいじめられたらしい。

 すでに過去の話になって、薄れてきてはいるものの、西野川教頭の孫という肩書は、彼女にとってあまりよくないものだった。

 そして、哲司もそんな彼女を時々じっと見ては、考え込んで目つきが鋭くなっていたように思う。

「大切なものが傷つけられてると知ったら、アイツは気持ちを入れ替えるのだろうか」

 ふいに哲司が遥を横目にそんな言葉を漏らした。

 アイツとは西野川のことだろう。

 哲司はまだあの猫の事件の事を根に持っている様子だ。

 でも大切なものって、遥の事?

 その時は聞き流したけど、それから哲司は遥に声をかけた。

 僕も便乗して話をする。

 哲司がいなかったら、僕は遥と話なんてできなかっただろう。

 だけど遥と接触することで、僕は胸騒ぎと同時に、落ち着かなくハラハラしてしまう。

 何かが起こるんじゃないだろうか。

 哲司と言えば、どうしても『因果応報』という言葉が結びつく。

 遥に近づくことで、哲司は何かを企んでいるのではと思えてならなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ