夢を見た、別世界を見た。
『夢を見る』と言うのは、別世界を覗いている状態を指すのかもしれない。
『夢が覚める』と言うのは、別世界から現実に戻ってきた時を差すのかも知れない。
だって、夢のなかは別世界なのかもしれないから。
パラレルワールドかもしれないから。
重力を無視して空を飛べる。
あの世界の要素の一つだろう。
丸い球だった筈の地球が、歪な形となっていた。
それもあの世界の要素の一つだろう。
終わりのない線の上を、電車が延々と走っていた。
多分、それもあの世界の要素の一つだろう。
でも本来は…、いや、元の世界に居る俺の隣には誰も居ない。
友達は居ても、人生を共にするパートナーは存在しない。
だったのにその世界に居る俺の隣には、彼女がいた。
その彼女が、俺との会話を盛り上げさせ、仲良くビデオゲームをやっていた。
きっと、彼女が誕生している世界なんだろう。
そして、彼女が俺と出会った世界なんだろう。
『彼女の存在』と言うのは、近いけれど遠い世界に在るのかもしれない。
そして、実際に彼女に触れる事が出来るのは、あの世界に住む『俺』だけなんだろう。
なんだか、置いて行かれている気がして、少し寂しくなった、妬ましくなった。
だから、俺は考えを改めることにする。
「…理想的で、良い夢だったな」
前々からちまちまと書いていましたが、公開するのはこの作品で初めてです。
なので、ところどころ変な所、読みづらい所があるかもしれません。
ここまで読んで頂き、有難うございました。
…今でもあの夢を忘れられません。