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スライムなめんなっ  作者: 月乃 綾
本編Ⅰ:森の蟷螂
24/36

21話

超短いです。

戦闘描写だけで1話書くというのは無理がありました。すみません。

 あの暴風の一撃以降、グレーテストマンティスは鎌に風の刃を纏わせるようになった。

 わたしが魔術に弱いことを悟ったのだろうが……これだから知能がある敵は厄介だ。

 こうなってしまうと、わたしは迂闊には近寄れない。遠くから炎をぶつける程度しかできず、戦況は膠着状態に陥った。


 更に悪いことに、わたしは自分の中で、戦いへと駆り立てていた衝動が一気に萎んでいくのを感じていた。

 ユリを守る、そのための時間を稼ぐ……その目的は既に達成した。ならもう十分じゃない?

 心の声は、わたしにそう囁きかける。


「キィイイッ!」

「がっ!?」


 意識がそれた一瞬に風の弾丸を叩きつけられ、わたしの体は宙を舞う。息が詰まり、痛みで頭が真っ白になった。

 それでもわたしは、無意識のうちで【魔力変換:生命】を行使し傷を癒すと立ち上がる。


 なにをやっているんだろうね、わたしは……。


 ユリを守るため、強くなるって決めた。

 ユリはもう守ったよ?

 また次、こんなことがあるかもしれない。

 もう、こんなことはないかもしれない。

 それでも、守るためには力がいる。

 今でも、十分な力は持っている。


 ……何のために戦っているの?


 幾度となく攻撃を身に受け、

 心の声に精神を削られ、


 わたしの体は、遂に力を失った。


「…………ぁ」


 倒れ、横になった視界に、鈍色の鎌が迫る。

 そして----


 ザシュッ


 鈍い擦過音が聞こえた。

 鎌が切り落とされ、グレーテストマンティスの絶叫が響き渡る。


 気付けばわたしとグレーテストマンティスの間に、一人の女性が立っている。亜麻色の髪を風に流し、健康的に焼けた肌、整った顔を半分だけこちらに向けている。

 わたしは、その人のことを知っていた。


「……静香しずか?」

「相変わらず弱いね、空」


 そう、静香は言った。

 軽く振った右腕、それだけでグレーテストマンティスは細切れになる。

 断末魔すら許さぬ、圧倒的な一撃だった。


「んと……あった」


 静香はグレーテストマンティスだったものの中から、拳大の宝石のようなものを取り出すと背を向ける。


「目的は果たしたから、あたしは行くよ。じゃね、空」

「あ、ま--」


 次の瞬間、静香の姿は消えていた。

 なにが起こったのか理解できなくて、途方にくれるしかない。

 ただ一つ、


『相変わらず弱いね』


 その言葉だけは、胸に突き刺さった。

 わたしは弱い。

 前世で妹を……優理ゆりを守れなかったように、今世でもユリを守れない。

 それは……それだけは嫌だと、強く思った。




   ◇◆◇




 移動型の隠密結界の中で、静香は小さくつぶやいた。


「相変わらず空は、自分のためには・・・・・・・力を使えない・・・・・・んだね……。それじや、あのクソな学校はともかく、ここじゃ生きていけないよ」


 その声は、誰にも届くことはない。


こんな形になりました。

本当はノエルに勝たせてあげたかったんですけど、今のノエルじゃ勝てませんでした……。

まあアレです。魔術使われるとどうしようもないです。それにノエルの場合精神的な問題もありますし。


さて、これにて第1章:森の蟷螂 編を終了します。

申し訳ありませんが、活動報告にも書いた通り、受験のため更新をしばらく停止します。遅くとも三月には再開するので、それまで待っていて頂けると嬉しいです!


追記

すみません嘘ですエピローグ投稿してから更新停止です。

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