13話
幕間その2。
次回から本編再開です。
視点は……オスカーさんかな?
森の調査から数日が経った。
街から人が列を作って移動しているのが見えた。
背に荷物を背負い、子供を連れ、家具などを積んだ馬車を引いている者もいる。
皆の表情は一様に暗い。
生まれ育った街を捨てるのだから、当然だろう。
避難が始まったようだった。
ギルドの総括だか国の王だかは知らないが、トップはこの街を切り捨てることを選んだらしい。ただ、民を見捨てない分良心的だろうね。
しばらく見ていたが、歩き続ける民衆に護衛のように付き添う冒険者たちの中に、調査隊にいた面子が見えない。
今もまだ治療中か……あるいは、低ランクは避難させて高ランクは防衛戦力としたのか。
ただ、あの支配級はどう動くかな。
明らかに知能を持った動きだったし、魔物の思考回路なんて人間ベースのわたしには理解できない。言葉も通じないしね。
今まで引きこもってたんだから特に動きがなくても驚かないけど……いや、刺激しちゃったから襲ってくるかな?
《魔の森》の中には三百近いマンティスがいたはずだし、戦力としては十分。ま、それを見越しての避難なんだろうけど。
何にしても、わたしはこれで手を引くつもりだ。
あんな規格外と戦うとか冗談じゃない。
後はこの国、この世界の問題。
余所者は引っ込みますよ。
街の様子を見て満足したわたしは森の中へと戻っていく。
あ、《魔の森》じゃないよ。
ゴブリン狩った初心者用の森だよ。
この森は魔物が比較的弱いので、野生動物も普通にいる。ザカリーとその他から奪った【鷹の目】【気配察知】【直感】で獲物を探す。
しかし、何だろね。
剣術みたいなスキルがないのには何か理由があるのかな? 彼奴ら、それなりに武器は使えてたはずだけど。
あ、鹿発見。
触手を伸ばし、首を刎ね飛ばす。
頭は今食べちゃう。で、胴体の方は簡単に解体して貯蔵。酸って便利だね、触手の先を尖らせて触るだけで簡単に肉が切れていく。
街の偵察を終え、食料も取れ、わたしのやることはすべて終了。
帰って寝ますか。
森の奥にある、川の近くの小さな洞窟。
そこが今のわたしの寝ぐらである。
ああ、宿のベッドが懐かしい。
◇◆◇
それから更に三日が経過した。
王国軍が来たらしい。
街では見かけなかった、全身を金属鎧で包んだ騎士らしき人が森に入ってくるようになった。
魔物を狩っているのを見ると、避難民の護衛としての役割なんだと思う。あとは食料調達か。
狩りをするのが難しくなってしまった。
それと同時に、街の周辺にマンティスが現れ始めた。
グレーテストマンティスは、《魔の森》から出ることを選んだようだ。
避難民の足は遅く、未だ距離は稼げていない。
王国軍は避難民を守るように、街を挟んだ草原に陣を構えていた。
空気が張り詰めているように感じられる。
◇◆◇
そして、激突は起こる。
《魔の森》から現れたのは、マンティスの大群。
数えるのも阿呆らしく思えるほどに大量の、マンティス、マンティス、マンティス。
そしてその中に混ざる、五体ほどのグレーターマンティス。
グレーテストマンティスはまだ出て来ていないようだが……この時点で、街を一つ落とすには十分過ぎる。
魔を率い、災厄を振り撒くもの。
人はそれを、魔王と呼ぶ。
魔王種、グレーテストマンティス。
その陣営が、王国軍に迫る。
鈍色の鎌を、不気味に光らせながらーーーー




