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転生やらかしシリーズ

私、転生しました。ちょっとやらかしたらえらいことになった

作者:

私は女である。

私は辺境子爵の長女である。

私は前世の記憶がある。

私は調子に乗っていた。


この四点からやらかした。


なにこの世界ちょろい。

と言わんばかりに新しい私の頭と体と容姿はハイスペックで、辺境にある領地であるが、一応子爵の生まれっていうんでヒャホーとなっていた。

学院という中小貴族の通う学校に入って何故かいた第三王子と仲良くなった。俺はこの国の王になるっ!と意気込んでいたのだが、心のなかで無理だろwwwアホや。とか嘲笑ってやった。

だってヤツは第三王子だし、側室の子供だし、兄達優秀だし?

でも第三王子も優秀なのは認める。彼が王になったら、辺境子爵である我が領地も安泰だろうと思う。

ヒャホーとなっていた私は、あいつ友人だからちょっと助けてやろうぜ精神で彼が王になれるよう手伝った。

なにこの国チョロい大丈夫?と言わんばかりに上手くいって、学院を卒業する頃には我が友人が王位有力候補。ウケるwww

けれども、卒業というイベントを目前にセンチメンタルな心情の中。

あいつらのせいで我にかえる。


やらかした、と。


ヒャホーと色々やっちまった私だが、子爵家の長女である。兄弟はいない。つまり婿をとって領地を継がなければならない。

ていうか。

その為に学院入ったし!

ハイスペックに狂乱していた私だが、私を生んでくれた両親が大好きである。めっさ可愛いがられて甘やかされて、でも叱るときはちゃんと叱ってくれて。で、その上美形だし。好きにならない方がおかしい!

婚約者も5歳の時には決まっていて、私と入れ違いに学院を卒業している彼は領地で辺境子爵のお勉強をしてる。もう私と結婚するの決まってるし、父直々に教育してるわけよ。

婚約者のスペックは普通だけど、私を大事にしてくれるし。何より女嫌いとかいう・・・え、ちょ、何それどこの二次元?的なスキルを持っているので浮気の心配はない。しかも女嫌いであっても私は例外という、テンプレ?萌えるよね!!

学院卒業と同時に結婚して領地で夫と両親とバリバリのびのび暮らすのが当初の目前である。学院に来たのは人脈を広げて領地改革に役立てようとかいう割と貴族的で正当な理由だし。


確かに、人脈広がりましたけど。

第三王子(私の友人。次の王有力候補)。

宰相(私が抱き込んだ協力者その1)。

公爵家の長男(私が籠絡した協力者その2)。

王妃(息子と夫に蔑ろにされるという心の隙間を、さり気なく埋めてあげて以来私に協力的な人)。

学院の友人達(領地改革に必要だと思われる人材)。

王様(学院パーティにゲストで来た時にやらかしたが気に入られた)。


あれ。これあかんやつや。


子爵の人脈づくりにしてはそうそうたるメンバー過ぎて眩暈が。


やらかしたと思ったのは、第三王子と公爵長男から求婚されたこと。

なんでやねん。


公爵長男は籠絡しましたよ?確かにね。でも第三王子なんでやねん。

王と王妃から私と結婚すれば安泰だろうと言われてる?次期王妃候補?何より俺の為に献身的に頑張ってくれた姿に惚れた?

知らねーよ。


ニッコリ笑って身分不相応ですわー。と断ったが。諦めるような奴等だったら第一、第二王子差し置いて王位分捕ろうとする訳がない。やべえ。

夜逃げよろしく領地に逃げ帰り婚約者と結婚しました。

人妻になればさすがに諦めると思ったわけだよ。


んなわけ無かった。


学院を卒業した奴等は順当に王位を継いで、そのセレモニーに訪れた辺境子爵家の両親と私と夫にこう言いやがった。

私を妻にくれないと領地と爵位ひねり潰しちゃうぞ☆

オブラートに包んだがそういうことだ。

両親と夫は呆然。

私は渇いた笑いをするしかない。

だが、切り札がある。

私は妊娠していたのだ!!もちろん夫との子供をな!

そう言ってやれば奴等はこう宣った。

じゃあその子供産んだら嫁に来いと。

ねえよ!お前らどんだけ私好きだよ!諦めろよ!おい、王に王妃も微笑ましげに王子達見てんなよ!

そこまで王族に言われてしまえば拒否権なんてあるはずもなく。


私は夫との子供(可愛い男の子でした)を領地に残し、結局は王妃に収まったのである。

第三王子か公爵長男かって究極の選択だったが、第三王子の方が正直仲が良かったしそっちを選んだ。決して公爵長男が美形過ぎて眩暈がしそうだとかいう理由じゃない。


バツのついた女を王妃にとかマジないわーと反感があったものの、元王と元王妃と現王、さらには宰相に公爵(公爵長男の父)までもが賛成し歓迎ムードだったので周りは何も言えるはずもなく・・・。言ってくれよ、頼むから。

ポポポポーーンと子供産んだ。

側室いないから頑張った。


側室を入れないのかと夫に言えば、怒り出して焦った。なんでだ。


人生設計狂ったがそれなりに幸せだ。


領地に残してきた子供は立派に成長し、この間は両親と会いに来てくれた。私に似てメチャクチャ可愛いかった。くそ、現王との子供も可愛いけど、やっぱり一番最初の子供って特別だよ!


私が王に嫁いだのをきっかけに、我が実家の領地は広がり、爵位も伯爵となりました。

私と泣く泣く別れた夫は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・恋人が出来たらしい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・男の。


そ、そうだよね!女嫌いだったもんね!でもどうしてそうなった!

久しぶりに会った息子に、

ーーお父様の恋人もお父様なのです。

と意味不明な事を言われて、両親に解説された時の私の心情は・・・。


察してくれ、頼むから。


しかも相手は私の元従者だった。

二段階の衝撃に膝をつきたくなった。


王族になってからは元々いた従者は付いて来れなくて、涙を呑んで別れたのだ。ぶっちゃけ夫よりも長く一緒にいた従者と別れるのは寂しくてしょうがなかった。


その元従者は領地で元夫の従者となり、私トークで盛り上がり、愛も盛り上がり、ーーあーーーっとなったらしい。まじか。元夫はともかく元従者はノンケだったぞ。

最近では私を知り尽くした元従者が、私のコスプレをして夫婦ごっこするのがデフォらしい。なにそれキモい。てかそれでいいのかお前ら。息子に何見せてんのぉ!?

いつか、僕にも恋人がって紹介された恋人が男だったらどうすんのぉ!?泣くよ?


とまあそんな感じで実家も安泰・・・安泰?不安しかない。が、息子に期待するしかない。両親、息子を頼む。


転生してちょっとやらかしただけなのに、なんかえらいことになったなぁ、と空を見上げる。

隣には現王である夫。

腕には新しく生まれた四人目の王子。


そう言えば私は彼の事をずっと第三王子と呼んでいて、今も夫か王としか呼んでいない。


ふう、と息を吐き出して私は自分よりも高い目線の夫を見上げた。

パチリと視線が合う。


「お前は後悔しているか?」


「そう思われますの?」


「・・・無理矢理、だったからな。でも俺は後悔していない・・・幸せだ」


「ふふ、私もですわーーーー、」


唇を耳元に寄せて囁く。

彼の、王の、夫の名前を。


彼は幸せに満ち溢れた笑顔を向け、私に口付けをした。



やらかしたけど、こんな人生もありだよね。


長い人生でやらかす事は多々あったけれど、息子(第一王子)が王位を継いで、孫も生まれ、元夫や元従者・・・夫に先立たれ、そして私も。

子供達と孫達、ひ孫に見守られ、眠るようにこの世を去った。


ああ、穏やかな幸せだ。

私は人生に満足していた。





で、





「なんでやねん」



また転生した。

しかも侯爵家に。侯爵家であるが前世の求婚者であった公爵家長男の子孫である。なんだそれ恐い。


孫が王になってた。

時代近すぎんだろう。


「今世では絶対やらかさない」


決意を胸に私は立ち上がった!




・・・まだ歩けないけどな!




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― 新着の感想 ―
[一言]  面白いです。  関西弁とか、あの地方のノリとか、好きじゃないんですけどね、ていうか、むしろ苦手なんですけどね。 面白かったです。  とにかくテンポが良くて・・・。 ぶっとんでるから、設定と…
[良い点] スパスパ読めて落ちが面白いところ [一言] おちでこう来たカーって感じでした!! 元だんな...なんというかかわいそうなような...かわいそうじゃないような...まあ元気そうなので何よりで…
[良い点] スナック菓子みたいに気軽に楽しめる作品。とてもいいと思いました。
2015/08/02 23:25 退会済み
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